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あなたはどこに行って どこをさまよっているのですか
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???side
ここは総合病院の中にある、
法医学者が集う場所。
名前は特になく法医学、
ただの病名を知るために解剖する
そんな場所である。
ココ最近は法医学に憧れてる子供は
100人に1人居たら奇跡というまでに、
無名な仕事となっている。
まぁ確かに無理な人は無理な仕事。
だって人間の死体を毎日のように
見るのだし、ましてやグロい。
親も教えないわけだ。
変な知識は親にとって敵である。
「さて、そろそろ始めましょうか」
「…ふぅ」
最近新人で入ってきたのは黄という
金髪のチャラそうな男の子。
かっこいい顔とは裏腹に、
声が天使のように可愛い。
それに医学部をトップの成績で
きたとかいう噂が流れている。
「….はぁ、何ボケーッと立って。
そんなに僕の顔が気になりますか?」
「青ちゃん」
「…やだなぁ、からかわないでよ〜
黄くんの顔はいつも以上に面白いよ」
「褒められてる気がしません..」
僕は青。
昔最愛の人を殺して、うつ病に
なった過去を持つただの人間。
誰か長々と一緒にいた人の事は
まだ思い出せず、消えた記憶を探るため
ここの「解剖医」に来ている。
もちろんご遺体には、その人には、
ちゃんとしたエピソードがある。
僕はそれを知りたい。
それを知って、もしかしたら、
自分に近い人が現れて
消えた記憶が帰ってくるかもしれない。
元々数学は出来たし、医療については
知らないわけではなかった。
だからバイトがてらここに。
てか割と高いし。
「カメラ、早く構えてください」
「分かってますよ」
「この人に幸がありますように。」
「それでは始めます」
幸を願い、頭を下げてから、
そこではじめてご遺体をさわる。
じーっ、とチャックを開けて、
黒いビニールをはがす。
そこには青白い肌に青い痣、
日常的に暴力を受けていた後。
とにかくその傷を拡大したり
全体図を撮ったりと、
パシャパシャと撮影していく。
黄は淡々と解剖して、
「ここお願いします」と言って
僕の持つカメラと肝臓にカメラを合わす。
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そして無事に解剖が終わり、
病名を遺族の方に伝える。
「病名は溺死でした、」
「肺が停止して、色が薄くなっていて
言わば腐ってしまっていたので、
かなり長時間肺に負担をかけたと思います」
「お子さんの肺は汚れていて
身体中に痣と怪我の跡があり…」
「この肺は煙草によって汚された、
と見なされていいでしょう」
「お父様やお母様は
煙草を吸っていらっしゃるか..」
「日常的に受けてた暴力、
まぁいじめを行った同級生か」
「こちらの情報を警察の方に
提供させていただいてもいいですか?」
この事件はいじめによる殺人。
決して罰せられない殺人。
ゆるやかな、殺人。
僕も、海で死のうとした記憶があり、
その場で一緒に居た人と、行った。
けど何も覚えていない。
それからの記憶はほとんどない。
寧ろその記憶しかない。
今日も空振り。
明日は、きっと光る。
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翌日
「おはようございまーす、」
「…あ、久しぶりですね橙くん」
「おひさ〜」
たまにサボって顔を出すのは橙という
チャラチャラした感じの人。
でも黄くんが入ってくる前に、
何百件ものご遺体を5ヶ月あたりで
解剖しているほどの凄腕。
それでも一つ一つのご遺体に
手抜きなど無くて、全て、
丁寧に、何よりも大切に扱う。
「あー、ほんと、俺合コンの時にさ、
仕事何やってますかーって聞かれた時」
「法医学者なんですよね〜って言ったら
ポカーンみたいな顔されるんよ!」
「ほんと、なんなんだよー!
俺だって頑張ってんのにさぁ〜!」
「…橙くんうるさい」
「ほんまやねんって!俺は….。
毎日のように見てるのに」
「..仕事じゃないって、言われたり
嘘とか、言われるのが嫌なだけ」
「…ほんと橙くんって馬鹿ですね」
「はぁ!?なんや黄!!」
「…」
橙くんは連続殺人に殺された
彼女の犯人を捕まえるため、
この法医学者という道を選んだそう。
連続殺人犯は巧妙な手口で
簡単に法を犯そうとするので、
かなり厄介らしくもう何年も経つ。
そろそろ人間の脳内からなくなる頃
さえも、橙くんは1秒も忘れてない。
彼は意外と一途だ。
「…橙くんは早く犯人捕まえてよ」
「俺を警察だと思ってんのか..
俺は法医学者だ!!」
「…..はぁー。」
「言っておきますが、僕は今から
警察との対談に行ってきます」
「行ってらっしゃーい」
「いってらー」
黄が外に出る。
がちゃっと、扉が開いて、
ばたんとしまる。
橙は近くにあったクッキーを
頬張りながら寝転んでいる。
「あー、そういえば青はさ、
彼氏探してんだっけ、」
「僕は記憶を戻すためですー、
彼氏かも分かりませーん」
「いやいや、長時間ずーっと
一緒にいたような人は、彼氏だよ」
「彼女ならどうすんの?」
「いや、青は男が好き
お前はあの有名作家に惚れたから」
「…何年前だよ」
「あの通り魔事件、俺も解剖した
全員ほとんどが心臓ひとつき..」
「青だけがあの事件で生きてる」
「いやー体強いねー!w」
「いーからそういうの」
「僕は生きてるんだから」
ただ、その通り魔事件から、
心が疲れて廃人のような人生を過ごして
そこから、、そこから
『青、』
紫くんじゃない声が、
度々聞こえるだけなんだ。
紫くんっぽい、包容感のある
あの芯のある声。
何なんだろう、夢まで出て。
僕にとってそれほど、
大切な存在だったの?、
「(考えれば考えるほど、
沼みたいに分からなくなる)」
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「この人に幸がありますように。」
「それでは始めます」
今回も解剖するのは
薄く桃色がかった髪色の、青年だった。
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ありがとうございます!!
法医学ってどんなんなのか
全くわからんがとりあえず、で
書いています!!いえい!