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no title
ザーーーッ雨が降っている
ザー--ッ雷はけっしてならない
ザー--ッそれは二人を祝福しているから
それは二人を嫌っているように
「一緒に行かない?」そう聞いてきたのは神をおさげに結った少女だ。別に嫌とは思わなかったから、彼女の後をついていった。彼女とは十日ほどの付き合いだ。初めて会った時からそう長くはないし、まあそれなりに上手くいっているのではないかと思う。一緒に居ても一人みたいに静かだ。声を出さない時は全く出さない、何かある時も一言で終わる。私はそれが嫌いではなく、むしろ気を遣わなくていいから居心地はいい。聞いてほしい面白いことがあっても話さない。だって、今までも周りは自分がいないみたいに話す。だから自分が話しても意味ない。自分が話しても意味ないのだから。親もそうだ。親を自分を生んでくれた人と定義するのなら、親はいる。でも、そこに愛はあるのかと問われれば、答えはわからない。「可愛い子、愛してるなど言われたかどうかなんて覚えてない。」「ダメな子、終わってるなら忘れたくても忘れられないのに。」これは私の気持ちのせい?私をこんな気持ちにした親のせい?・・・・・・なんて考えるだけ無駄。もう何も思わない。もうどうでもいい、だって彼女は違うかもしれないから・・・・・・
「一緒に行かない?」そう聞いたのはただの気まぐれだったのか、決心がついたのかわからない。いつものように無表情に頷いた彼女は、気ままに伸ばした髪を揺らし、ひよこのようについてきた。彼女の声はいつ聞いたっけ、会ってからそんなに経ってはいないけど、きっと片手で数えられるくらい。どこに行くとも、何をするのかとも言ってないし、聞かれてもない。それでも付き合ってくれる彼女は優しい人。それに比べて私は・・・いや、比べてはならないとママに言われてたんだ。ママは皆のママだから、ママは正しいとママが言ってたから。お兄ちゃんもお姉ちゃんもママの言ったことは必ずしていたから。どんなことでもしてたから。でも、今私がしていることはいけないこと、勝手におうちを出て、優しい子を巻き込んでどこかに行こうとしている。ママにきっと怒られる。お兄ちゃんとお姉ちゃんにも怒られる。ご飯がなくならないようにちゃんと謝らなきゃ・・・・・・後で・・・・最初で最後だから許して。もうしないから・・・・・・
「「いこう・・・」」
二人は特に急ぐこともせず、ただ歩いていた。どこに行くか決まっていないが、彼女らの足に迷いはないようにみえる。意図してか意図せずか、行く場所はなんとなくわかっている気がした。人通りを抜け、家もまばらになった頃、今にも落ちそうな木の橋を渡り森へ入った。整った土の道を進むこと幾ばくも無く、獣道へ入り、いつ倒れたのかわからない苔まみれの一本木の橋を慎重に渡り、人一人がやっと通れそうな小さな草でできた冒険心をくすぐられそうな長いアーチをくぐる。見えてきたのは、木でできたぼろぼろの小屋だ。屋根からは雑草が生え、窓ガラスは割れ、全体的に傾いたそれは、過去に二人が出会った場所だ。