テラーノベル
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その日は、特別なことは何もなかった。
いつも通りの集合。
いつも通りの台本。
いつも通りの準備。
ただ一つ違ったのは、
俺の動きが少しだけ遅かったこと。
資料を開いたまま、止まってる。
考えてる、というより――疲れてる。
俺はそれを誤魔化すみたいに言った。
【ちぐ】「あっきぃ?どうしたの、大丈夫?」
【あき】「……ごめん」
「ちょっと頭、回ってなくて」
空気が一瞬だけ揺れる。
でも、そこでまぜがすぐに言った。
【まぜ】「じゃあ今日は、俺らがやる日な」
軽い。
本当に、予定確認みたいなトーン。
俺は顔を上げる。
【あき】「え、でも」
「俺の担当で――」
【まぜ】「今日じゃなくて明日でいい」
あっとが続ける。
【あと】「最近さ」
「やる日と、任せる日がちゃんと回ってるし」
「今日は“任せる日”でしょ」
俺は、言葉を失った。
責められてない。
評価もされてない。
ただ、役割を外されただけ。
でもそれが、
切り捨てじゃないのが分かる。
【あき】「……それはさ、」
「俺、居てもいいんだよね?」
【ぷり】「何言ってん」
「居る前提やん」
「やらない=居ない、じゃない」
その言葉で、
俺の肩が少し落ちた。
【あき】「……じゃあ」
「今日は、横で見てる」
【けち】「わかった!」
誰も振り返らない。
誰も気を遣いすぎない。
普通に進む。
企画は回る。
空気も崩れない。
(俺、今)
(何もしてないのに、成立してる)
不安より先に、
胸の奥がじんわり熱くなった。
途中、俺がぽつりと言う。
【あき】「…あ。ねぇ…ここさ」
「こうしたら、もっと良くない?」
【ちぐ】「いいね!」
【まぜ】「採用」
丸投げじゃない。
でも、負担も戻さない。
【ぷり】「今日は助言係な」
【あと】「責任は俺らが持つ」
【あき】「……楽だな」
その一言に、
誰もツッコまない。
終わり際。
【けち】「今日どうだった?」
【あき】「うーん…。…怖くなかった」
【まぜ】「それが正解」
【ぷり】「毎日、全力で居なくていい」
【あと】「今日は俺らの日」
【ちぐ】「明日、気が向いたら」
「また一緒にやろう」
【あき】「……ありがとう」
この声は、
助けを乞う音じゃなかった。
信頼を受け取った音だった。
このとき、俺は知った。
支えられる側に回る日は、
敗北じゃない。
ちゃんと、
グループが続くための役割なんだって。
ごめん!飽きてきちゃったから、次回、最終話!
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