この作品はいかがでしたか?
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「旗が立ってねーじャん!」
先程までファミレスにいた筈なのに。
気付けば派手な化粧にきつい匂イの香水。ショッキングピンクのフリフリのドレス。
なンで?なんで俺がこんな事に。
何処からかやッて来た謎の野郎に台本を渡される。
成程、演技か。何故連れて来られたかは知らないがスカウト的な何かなのだろう。
そう思いながら台本を開く。だが何かが可笑しい。
名前はマイコ。ちょっとあざとい新人キャバ嬢。なンだよソレ。
待てよ、俺ァ男だゾ?なンでキャバ嬢…?風俗嬢じャ無いだけマシだ卦度。
フツー男ならまだホストとかあるだろ。なンでキャバ嬢なンだよマジでぶっ殺す。
「マイコちャ〜ン?接客ヨロシクネ。」
また謎の野郎に声を掛けられた。よし、此処で言うしか無い。
「おい、俺オトコなンだ卦度。ンでどーシてキャバ嬢なンだよ」
やや荒い口調でそう問う。奴からの返答は
「マイコはキャバ嬢だから。」
意味わかんねェ。此奴は駄目だ。
「ア、給料ならちャンとあるから安心しなヨ。」
給料?此れで給料貰えんの?無理矢理過ぎる女装で???
金、か。まアやッても悪くは無いのかもしれない。
「ほらほら、早く行って〜。お客さん待たせちゃ駄目だよ」
こうなったら腹を括るしか無い。笑みを貼り付けて客の元へ向かった。
「どうも♡マイコで〜ェす♡」
引き攣った笑顔と必死な裏声で言う。
次の瞬間、目を見開く。
だって其処に居たのは言うまでもない、東京卍會副総長だったンだから。
「ケンチン…??」
次の瞬間、無礼にも此奴は吹き出しやがった。
好きでやってんじゃねーのにその態度はなんなンだよテメー。
「ぶッ…マ、マイ…マイコ……」
テーブルをばんばん叩きながら笑い過ぎて声も出ないケンチンに一発拳骨をお届け。
笑顔なんぞ消え、如何にも不機嫌そうな顔でソファーに足を組んで腰掛ける。
「そもそも、ンでケンチンが此処に居んだよ。まさかそー言うシュミ??」
「違げーよ。そもそもキャバなんてウチで充分」
「じゃあ何で来たんだよ」
「知らね」 「ぶっ殺すぞ」 「俺なんも悪りーコトしてねーだろ」
そんな会話が続く。己の中では段々と苛つきが溜まって来て居り。
「もーケンチン嫌い!俺帰る。」
そう怒鳴れば控室に戻り、顔を洗って元の服は何処にあるか問い。
「ン、彼処にあるけど。もー帰っちゃうの?」
「ったりめーだろ。こんな所出てってやるわとっとと」
私服に戻った時の安心感。直ぐ様飛び出して家を探す。よく見たら歌舞伎町。
ホント風俗店じゃ無くて良かった。そう安心する。
歩いて居ると背後から声が。
「おいこらマイキー!!」
ケンチンだ。此処まで追い掛けて来たのか。
「ったく、勝手にブチ切れて飛び出してんじゃねーよ」
その後も長々と説教タイム。段々眠くなって来た。
「ケンチン、チョット背中貸して♡」
「はァ?」
勿論どう答えても背中で支えて貰う以外の選択肢は無いのだが。
ぴょんと飛び乗ると矢張り安心感。
何時の間にか深い眠りに落ちて居た。
目覚めると何時もの部屋の布団の上。
なんだ、夢だったのか。安心して着替えて外に出る。
「ケ〜ンチン♡オッハヨ〜。」
何時もの様に挨拶すれば
「ア、マイコ。」
くすくすと笑いながらそう言われる。
「…は?」
「オメー昨日のこと忘れてンの?」
「ケンチン…ちょっと面貸せコラ」
「嫌だね。」
今日も騒がしい追い掛けっこが始まりましたとさ、めでたしめでたし
昨日か一昨日か覚えて無いけど上げたヤツは悲しかったので
元気にしてみました。______終演
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