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#長編
結愛
373
#界隈雑多
ruruha
464
私は今、荒野の廃城を歩いている。
「ねえ、君は僕のこと忘れない?」
そう誰かは言った。
私は答える。
「きっと忘れるよ」
すると、空竜像(くうりゅうぞう)の裏からひょっこりと、片羽の少年が羽をバタつかせながらやってきた。
「忘れちゃダメだよ!ぜーったいダメなんだよ!」
「記憶は、いつか霞んで見えなくなってしまう。
だから君のことは、きっと忘れてしまうよ」
そう言うと彼は、表情も翼もしゅんとなり黙ってしまった。
彼は、誰かに忘れられてしまったことが、あるのかもしれない。
「でも大丈夫。忘れても、またいつか会えるよ」
「ほんと?ほんとに会えるの?」
「うん、いつか会えるよ」
「…それでも忘れないで」
私は答える。
「やっぱり、それは難しいな」
「じゃあ何なら覚えているの?」
「…何かが変わったと思ったとき…かな?」
「それじゃぁ忘れてると一緒にだよ!」
「それもそうだね…」
彼はしばらく考え込んだあと、思い出したようにこう言った。
「…じゃあ、また会えるんなら僕、信じるよ…。」
そういうと彼は私に触れ、瞬きの隙に消えてしまう速度で、光を残し静かに消えた。
私はその後、城の探索を続けたが、祈世黙字は見つからなかった。
コメント
1件
第1話、すごく詩的な世界観で一気に引き込まれたわ。廃城の情景と「忘れるよ」「忘れないで」のやりとりが切なくて…。片羽の少年の必死な感じと主人公のどこか諦観したような優しさの対比が印象に残った。たった1話でこれだけ感情揺さぶられるの、すごいと思う。「何かが変わったと思ったとき」っていう記憶の捉え方、すごく好きだわ。続きが気になる〜!