ウィリアムの一手が、ついに宇宙人(雅也)の将棋盤を覆した。決定的な「王手」をかけた瞬間、ウィリアムの表情に確信が浮かび上がった。しかし、その目の前に、最後の逆転の一手が待ち構えていた。
宇宙人(雅也)は、ウィリアムの王手を受けた瞬間、冷静に一歩引いたように見えたが、その時、盤面に微妙な変化があった。ウィリアムが飛車を進め、まさに勝利を確信したその瞬間、雅也の顔が不敵な笑みを浮かべた。
ウィリアム(心の中で)
「もう終わりだ…。王手だ。」
しかし、その瞬間、金がずれた。ウィリアムは、微細な変化に気づかず、次の手を進めた。
ウィリアムが王手をかけた際、彼が飛車を進めたことで、雅也の金の位置がわずかにずれた。それは、ウィリアムにとって致命的なミスとなった。金の位置がずれたことにより、角が自由に動けるようになり、雅也が仕込んでいた最も強力な一手を発動させた。
宇宙人(雅也)「王手はまだ早い、ウィリアム。」
その言葉が響いた瞬間、雅也の角が盤面を駆け抜け、ウィリアムの王を直接攻撃する位置に到達した。金がずれたことで、角の進行方向が開き、王の守りが崩れたのだ。
ウィリアムは、自分の一手を進める中で、微かな違和感を覚えたが、その時にはすでに遅かった。雅也の角が駆け抜けた瞬間、自分の王が倒される未来が見えた。
ウィリアム「……まさか…。金が動いたことで、角が動けるように…?」
雅也の動きは、まさに計算された逆転だった。金がズレたことで、王を倒せる位置に角を進めるという、徹底的に考え抜かれた一手が生まれた。
宇宙人(雅也)は、最初からこの瞬間を待っていた。そして、最終的に王手をかけた角の位置から、ウィリアムの王を完全に倒すことができた。
宇宙人「これで、終わりだ。」
雅也は冷徹にその一言を放ち、盤面に残る全ての駒を静かに見つめた。ウィリアムの一手が完全に裏目に出て、雅也の角が、ウィリアムの王を倒した。
ウィリアムは、その瞬間、自分が敗北したことを理解した。思い通りに進めていた戦局が、あまりにも微細なミスで一転し、敗北に繋がったことに、驚きと同時に深い悔しさを覚えた。
ウィリアム(呆然として)
「……どうして、こんな…。」
彼の目の前に広がるのは、冷徹な勝者の姿。宇宙人(雅也)は、すべてを見越して、わずかな隙間を突いて逆転を果たしたのだ
雅也は、冷静に盤面を見つめながら、ウィリアムに言葉を投げかけた。
宇宙人「将棋は一手のミスが命取りだ。君の勝ち誇った顔が見えた瞬間、確信していた。君は、決して気づかない。」
雅也の言葉は、単なる勝者の余裕ではなく、長年の経験から来る冷静な分析だった。金のずれを予測し、角を動かし、最後の一手を決める瞬間を待っていたのだ。
ウィリアムは、敗北した後、ただ黙ってその場に立ち尽くしていた。勝利を確信していたその瞬間から、ほんの一手で全てが変わる。その微細なミスがすべてを決めた。
ウィリアム(静かに)「これが、将棋の恐ろしさか…。」
ウィリアムは、もう一度盤面を見つめ、その冷徹さを心に刻んだ。敗北から学んだその瞬間、彼はさらに強くなることを誓った。