『 雪降る世界に真紅の花を 』
ー スノードロップ ー
AM 8:00
教室のドアを開ける 。
私の教室はいつもの五月蝿さが嘘のように
静まり返っていた 。
最近はずっとこんな調子
あの日から 、ずっと 。
窓側に空いた一つの席の机には、
綺麗な 、綺麗な 、
雪のように白い花 。
「 … 綺麗 、笑 」
微笑と共に小さく声に出た言葉は
誰にも届かず空に消えた 。
思わず口元が緩んでしまう 。
それを隠すために
白いマフラーで口を覆った。
「 おはよう 」
隣の席の燈に声をかける
「 … おはよ 」
いつもより少しだけ遅く返ってくる返事
これも最近はずっとそう 。
「 … 燈?元気ないね 」
「 … 当たり前でしょ 、?
同じクラスの人が “行方不明” なんだから 」
「 え 、じゃあ 、あの花は?
死んじゃったから置かれてるんでしょ?」
「 … ほんとになんにも知らないんだね」
燈は私の目を少し見つめてそっと逸らした。
「 … 知る必要がないでしょ 、」
口にした言葉は静かな教室に小さく反響して
跳ね返ってくる 。
その言葉が燈にどう聞こえたのか 、
私には分からない 。
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