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❤️涼太side



俺は宮舘涼太。

アイドルをしている。

職業柄、恋愛には慎重にならざるを得ないのだが、実は俺にはずっと心を寄せている相手がいる。



渡辺翔太。

同じグループでアイドルをしている男。

彼を意識し始めたのはアイドルのオーディション会場で再会した時だった。

幼稚園以来、習い事で会う以外にはあまり会わなくなっていた翔太とオーディション会場でまた会えた時は嬉しくて、心強くて、合格が告げられた時には本当に震えた。

その頃は恋愛感情というより、友情だと思っていたのだが…。



慣れない環境で翔太に色々と教えてもらいながら、進学では迷わず同じ高校を選び、アイドルとしてのいろはは彼から学ばせてもらった。



そして俺はいつからか、翔太から目が離せなくなっていった。



翔太は幼稚園の頃から愛らしい子供だったが、今では日に日に美しくなっていく。

黒く艶のある髪、白い肌、女性かと見まごうような華奢な体躯、どれを取っても魅力的だった。口は悪かったが、いつも想いはまっすぐで、正直で、時には乱暴で笑、それでもとにかく綺麗だった。



そう、彼は本当に美しかった。



そんな翔太と同じグループでデビューを目指すことを告げられた時には、大袈裟でなく天にも昇るような心地になったものだ。



💙お前とは腐れ縁だな(苦笑)



そう笑う翔太を、俺は本当に、本当に大切に思うようになっていた。

絶対に翔太を失いたくない。

ずっと守りたい。

ずっと一緒にいたい。



想いを言葉にするのが苦手で、あまり感情的にならない俺は、翔太から見て どう映っているのだろう。



でも



男同士、なんだよな。



いくらジェンダーフリーな世の中といったって、業界には多い同性愛といったって、想いを告げるのには勇気が要る。

しかもそれを言ってしまったら、今まで大切に大切に育ててきた信頼関係を壊してしまうかもしれない。

そう思うと、正直に告白するのは気が引けた。



毎日一緒に練習して、

時にはステージに立って、

隣りで冗談を言い合う、

それくらいが一番近くで翔太を見つめていられる最高の距離感なのかもしれなかった。



好きだよ、翔太

本当に大好きなんだ



俺の立ち居振る舞いがロイヤルだとか、美しいとかもてはやされて、いつの間にかファンの間で舘様と呼ばれるようになっていっても、本当の俺の目は翔太しか見ていない。

ダンスの立ち位置で翔太の後ろにいる時、俺は本当に幸せなんだ。



💙はーあ。今日も疲れたな。


❤️そうだね


💙最近仕事増えてきたのは嬉しいけどさ、たまには家でグダッとしてたいよな



翔太はこの所個人の仕事も増えて、忙しい毎日を送っている。

俺もありがたいことに、得意な料理で番組をやらせてもらったり、時代劇に出させてもらったりとデビュー前には考えられないくらいのスケジュールをこなしていて、翔太と会う頻度は少なくなっていた。



💙お前さ


❤️?


💙休みの日とか何してんの?


❤️買い物行ったり、家にいる時は料理したりしてるかな


💙ふーん。…じゃあさ、



翔太が何か言いかけた時



🧡しょっぴー!



向井康二が間に割って入ってきた。



🧡しょっぴー!次のオフ、空いてる?


💙なんで?


🧡またあのサウナ行こうやー!


💙…んー。


🧡ええやろ?その後、俺、しょっぴーを連れて行きたい店があんねん



康二は翔太とオフの日によく一緒に出掛けているようで、デビュー後、急激に仲良くなる二人を俺はただ見ていることしかできなかった。

俺はもともと口下手だしね。



🧡なあ、ええやろ?


💙考えとく。


🧡なんでぇ〜?泣


💙…俺にも色々あんの!


💛はい、練習再開するよー?



岩本照の号令で、それぞれ休憩していたメンバーたちがまた集まる。



俺も康二みたいに翔太を誘えたら、もっと一緒に過ごす時間を持てるのかな、と少し寂しく思いながら、練習に戻っていく。



💙翔太side



あーーー

まじで俺って、、、



俺は凹んでいた。

グループが売れていなかった時、メンバーがまだ6人だった頃やデビューする前はここまで



会えなくなかったよな?



隣りにはいつもあいつがいて。

いつも何考えてるかわからんけど、優しい瞳で俺を見てくれてた。



それは今も変わってないし、むしろ、昔より熱量は増しているように感じる。



口数があまりないやつだから、何を考えてるかわからない。

わからないことがもどかしかったり、物足りなかったり、寂しかったりするけど。

会っている間は安心だった。

いつも背中にその存在を感じて、だから俺も自由でいられた。



ここんところ、個人仕事で一人で現場に行くことが増えて



俺、前に進めてるのかな?

俺、ちゃんとできてるのかな?



そんな不安が時に俺を襲った。

だから今日は久々に会えると思って楽しみにして来たのに…



💙俺って、あいつにとって何なのかな…



ひとりため息が出てしまった。






練習後



🖤しょっぴー。この後うち来る?


💙行く。めめ、明日休みだっけ?


🖤いや、午後から撮影あるけど、昼ぐらいまでなら平気。


💙そっか。俺も明日はそんなに早くねーわ。行こうぜ。



メンバーの目黒蓮は、俺を慕う後輩。

よく二人で過ごすことが多い。

それと、さっき声をかけて来た康二とはよく一緒にいる。

二人といると気が楽だし、リラックスできる。

更衣室へと歩き出した俺と目黒に向かって



🧡しょっぴー!俺とも遊んでや〜



と、抱きついてくる康二を笑いながらふりほどいて、俺たちはレッスン場を出た。



❤️涼太side



はあ。

今日も大して話せなかった…。



メンバーが増員されて、人懐こい3人が入って来てからというもの、俺は翔太と話す機会が確実に減っていた。



寂しい。



顔には出さないように気をつけてはいるけど、やっぱり寂しいな…。



💚涼太


❤️?


💚疲れてない?


❤️いや……


💚じゃあ、何か、悩んでる?


❤️…悩んでないよ



阿部亮平が俺の目をじっと見つめている。

昔からどきっとするようなことが、阿部とはある。

時々、俺の隠している想いにこいつは気づいてるんじゃないかと考え込んでしまう時がある。



💚ふーん。それならいいけど。何かあったらちゃんと言ってね?


❤️…。阿部。


💚なに?


❤️今夜、うち来ないか?


💚!いいの?


❤️いいよ。俺、明日オフだし。



なんとなくだった。

なんとなく今夜は一人で過ごしたくなくて、俺は阿部を自分の家に誘った。

優しい阿部に癒されたいと思ったのかもしれなかった。



💚亮平side



阿部亮平です。

俺は宮舘涼太が好きです。

でも涼太にはきっと好きな人がいて、もし、この俺の勘が当たっていたら、この恋は実らない。



でも、俺だって…



少し自分語りをさせてください。



俺は、芸能活動がなかなかうまくいかない中、大学進学を選びました。

グループのために学歴キャラが一人は必要だと思ったから。嵐の櫻井翔くんは俺の憧れです。



その気持ちに嘘はない。

でも、それだけじゃなかった。



万が一芸能活動がうまくいかなかったときに、社会復帰するための準備として受験勉強していたという側面が全くなかったわけじゃない。



学歴がないよりは、あった方が絶対いいし。



そんな俺のどこか逃げの姿勢に気づいて、俺にキツく当たっていたのが涼太だった。

当時、メンバーの照が間をうまくとりなしてくれたけど、俺はそのことで涼太とギクシャクしてしまったことを残念に思っていた。



大学に合格して、学生生活の傍らでアイドル活動も頑張って、さらに大学院進学を選んだ時も、心のどこかで涼太のことを苦く感じている俺がいた。でも、そんなある日、涼太は俺に言ってくれた。



❤️あの時はごめん。 俺、これからは阿部を一番に応援するよ。


💚…


何も言えないでいる俺に、涼太は


❤️俺もガキだったなあ〜



と。

照れくさそうに笑った。



その時。

俺の中で急激にある感情が湧き上がって来た。



…好きかも。



あんなに話しづらかったのに

一時期は怖くて、何も関わらずにいたのに。

でもそれは涼太が一生懸命だったから。

何事にも手を抜かず、真剣にアイドル活動をしていたから。



正直、涼太は、俺なんかよりずっと真面目で、努力家なんだ。

今思えば、涼太がいたから頑張って来れたのかもしれない。

なあなあでなく、真っ直ぐに俺に気持ちをぶつけてくれた涼太は俺にとっていつのまにかかけがえのない大きな存在になっていた。



でも



涼太には好きな人がいる。

相手は俺にとっても大事な仲間だ。



涼太のその人への恋心に気づいた時、俺は正直、自分が男でも望みがあることに喜んだ。



でも同時に思った。



きっと敵わない。



ライバルはそれこそ、生まれた時から涼太のそばにいたのだから。

俺は涼太への恋心を自覚した途端、失恋していた。

でも今夜、初めて涼太が俺を家へ誘った。

内心喜ばずにはいられなかった。




🖤蓮side



ここは、俺の自宅マンション。

俺の家に着くなり、翔太くんはシャワーを浴びたいと言ってさっさと風呂場へ行ってしまった。



俺、そろそろいいかな?

気持ち、伝えても。



ドラマの仕事が増えてメンバーと過ごす時間が減ってしまった。

それでもアイドルグループの活動があるからステージ仕事やアルバムの収録ではみんなと会える。



何より

翔太くんに会える。

それが嬉しかった。



国宝級イケメンだの

めめ担だのって

女の子たちや共演者にキャーキャー言われるたびに



あーーー、翔太くんに会いてぇ、、、



と思わずにはいられない。



渡辺翔太は、俺の憧れの先輩だった。

ジュニアの頃、ずっと先輩として厳しい姿を見せていたが(そして理不尽な八つ当たりも多かったけど笑)仕事熱心で、真っ直ぐで、熱くて、男の中の男だと心から尊敬していた。



翔太くんは仕事には一切妥協しなかったし、何よりも負けん気が強かった。

今はだいぶ丸くなったけど、それでも仕事に真剣なのは変わらない。

俺たち3人が新メンバーとして加入することが決まった時、

「お前はお前のままでいいんだよ」

と笑顔で安心させてくれた翔太くんには本当に感激した。



あー、

好き



マジで

好き



一人で慣れない現場で頑張れているのも、個人仕事の時はこっそりスマホの待ち受け画面を翔太くんに変えているからだと思う。

時々画面を見てにやけていたのを、共演する女優さんに見つかった時は少しヒヤヒヤしたけど笑



だから今日は絶対言う。

俺の気持ち、ちゃんと伝えたい。


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