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第2章 第1話「新チーム始動」
夏の大会が終わり、柳城高校野球部は新チームに切り替わった。
3年生が抜け、主力は小早川啓介(捕手・2年)、エース候補の吉川翔(投手・2年)、打撃の要・田村(内野手・2年)、俊足のリードオフマン中村(外野手・2年)らが中心となる。
秋の練習初日。グラウンドはまだ夏の暑さが残り、照りつける日差しが新チームの緊張を増幅させていた。
「監督、オレらで本当にやれるんでしょうか」
田村が不安げに口にする。
城島史也監督は、かつて甲子園ベスト8に導いたエースだった。その目は鋭いが、選手を見つめるときは温かさが宿る。
「不安なのはみんな同じだ。だがな、あの夏ベスト8で止まった悔しさを知っているお前たちには、もう恐れるものはない。――やれるかどうかじゃない、やるんだ。」
小早川は黙って頷いた。
キャプテンを任された彼の胸には、夏に交わした「必ず甲子園に行く」という誓いが今も熱く刻まれている。
秋季大会の抽選
県大会のトーナメント表が張り出される。
初戦は地元の実力校・福岡西工業。投打のバランスが良く、ベスト8常連。
「いきなり山場だな……」吉川が肩をすくめる。
「いや、むしろここを突破すれば勢いに乗れる」小早川が言い切った。
城島監督はその言葉に目を細める。
「小早川、お前がチームの要だ。お前がどれだけ引っ張れるかで、この秋の柳城が決まる。」
グラウンドに戻った小早川はキャッチャーミットを叩きつけるように構えた。
「さぁ、ここからだ。甲子園への道は、今日からまた始まる!」
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