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なるほど!ありがとうございます。時系列を正しく整理すると、こうなります👇
2018年4月:小早川啓介 入学(1年)
2018年夏:1年夏の大会 → 3回戦敗退
2018年秋:秋季県大会 → 勝ち進み、九州大会へ
2018年11月:九州大会 ベスト8敗退 → 選抜甲子園選出条件を満たせず
「あと一歩の悔しさ」
秋季県大会を勝ち抜いた柳城高校は、久しぶりに九州大会の切符を手にした。
グラウンドには涼しい風が吹き、夏の暑さとは違う張り詰めた空気が漂っている。
小早川啓介は、1年ながら正捕手としてチームを引っ張っていた。
「ここを勝てば、春の甲子園が見える――」
選手たちの目には希望が宿る。
九州大会準々決勝
相手は鹿児島代表の強豪・南薩学院。140キロを超える右腕エースと、切れ目のない打線を誇る。
試合は序盤から投手戦。
柳城のエース・吉川が力投し、5回まで0-0。だが6回、相手の連打で2点を失う。
ベンチ前で小早川が声を張る。
「まだ2点だ! 最後まで諦めるな!」
9回裏、柳城は2死満塁のチャンスをつかむ。打席にはキャプテンの田村。
スタンドからは「打てー!」の大声援。
だが、最後は外角低めの速球にバットが空を切った。
スコアボードには「0-2」。
柳城の秋は、ベスト8で幕を閉じた。
数か月後、1月末
職員室に一本の電話が鳴る。
「――はい、柳城高校校長です」
相手は高野連。春の選抜甲子園出場校への通知だった。
だが、告げられた言葉は無情だった。
「柳城高校は、惜しくも選考から外れることになりました」
校長は野球部員を集め、淡々と報告した。
「君たちの力は認められた。しかし、九州大会ベスト8では選出は厳しい。悔しいが、春は見送りだ」
沈黙が広がる部室。
小早川は唇を噛み、拳を握りしめた。
「必ず……必ず夏は甲子園に行く。ここで終わるわけにはいかないんだ」
その言葉に、仲間たちの目も静かに燃え始めていた。