テラーノベル
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じーわじーわとセミの鳴き声が大きくなっていくにつれて温度が上昇していくような暑さ。風がびゅうっと体全体を通り過ぎていっても、熱で熱風に変わってしまう。涼しいなんて言葉が最初から存在しなかったような暑さに見舞われた。
「はー暑すぎ〜」
緑で生い茂った草や木が充満している神社の近く。木の下にある木陰のベンチに座った君が、うーんと唸りながらパタパタと手首を動かして熱風ではない風どうにかを送ろうとしている。
「ほんと、なんで夏なんかあるんだろう」
じーわじーわとセミが鳴り止まない、モワッとした空気感。首筋を一筋、二筋、と汗が流れ落ちて服の中で混ざるようになくなる。
「夏嫌い?」
「嫌い。」
すぐさま答えた君は、なんでもないようにそっぽを向いてギリギリ地面についていない足をブラブラとしている。暑さなんて嘘のような空気感だけが君の周りに存在している。
「俺は好きだけどな」
見てはいけない存在を見ているかのような罪悪感が全身を巡るようだ。冷たい空気が身体の中を走る。
「なんで?こんなに暑くてムシムシしてるのに?」
意味がわからない。そういう表情を俺に向けるようにこちらを見る。相変わらず、セミの声は鳴り止まない。じーわじーわとこの町中を支配するように、この空間だけのように大合唱が続く。
「だって、夏がなきゃ君に会えないじゃないか」
じわじわと視界が滲んでいく。暑さで蒸発してしまいそうな勢いで消えていく汗と涙。それを君は呆然と見ている。
「…ごめん」
この夏、また君に会えたことを光栄に思うよ。また来年。
【ふたパターン目】
「だって、夏がなきゃ君に会えないじゃないか」
まるで、真夏なんて嘘かのように背筋に冷や汗が走って落ちていく。もう耳の奥からはセミの声なんて聴こえない。あの暑さも、あの思い出も、全部、全部、無かったかのように。
「なんだ、もう気づいちゃったか」
その日、俺は町から姿を消した。
コメント
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真冬の花火さん、第8話、読ませていただきました🕊️ 夏の暑さとセミの声がぐっと迫ってくるような描写から、最後の「夏がなきゃ君に会えないじゃないか」が刺さりました。ふたパターン目の冷や汗と「気づいちゃったか」の静かな転調も、ぐっときます。この二人の距離感と、夏にしか会えない秘密みたいなものが、すごく繊細で切なくて…。またここからどうなるのか、気になります🌿
暇人A
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名無しさん
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らむね瓶@フォロバ100%
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