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らむね瓶@フォロバ100%
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「あの、大丈夫ですか」
頭上から聞こえてきた小さく、不安が帯びた声に反応する。
「ん?あー、ごめんごめん大丈夫だよ。」
シャツのボタンを1番上まで留めたサラリーマンだ。ざっと20代後半か?ご親切にこちらにひとつのビニール傘を差し出して心配そうな面持ちで立っている。
「でも、びしょ濡れですよ?」
そりゃそうだ。1時間ほど前にミカ…元カノに家を追い出され、行く宛てがなくなってしまったのだから。それに加えて雨も降っている。
「あはは…色々あってね」
顔を背けるように苦笑いをした大学3年生の少年は水で濡れまくった小汚いベンチのそばでしゃがみこんでいる。びしょびしょの白Tの裾で頬に伝う雫を拭い、ぶるっと寒そうに体をふるわせた。そのくせに、平気そうに無表情を保つ。
「お兄さんこそ、こっちに傘渡しちゃったらびしょ濡れになっちゃうよ?」
いやだろう?と聞くように正論を言ってくる少年は、これ以上関わるなと言われているような境界線を引くように1歩後ろに下がる。
「いいですよ。ここで貴方を見つけてしまったのですから、最初からそういう運命なんだと思います。」
なんだその言い草。腹が立つ。まるで俺がここにいるのが不愉快のように言うではないか。
「あーそうですか。じゃあ傘借りますね。」
ばっと雑に男性の手からビニール傘を奪う。反動で少しふらっとした男性はかがみこんでいた姿勢を正し、んーっと伸びをする。
「良かったです。では。」
「…いや、ちょっと待ってよ。何その顔。」
寂しそうに微笑んだその顔はどこかで見たことがあるような顔立ちだった。この優しさも、一昔前に自分が受けたようなそんな気がした。
「すいません。変でしたかね?気をつけます。」
そう言って急ぐかのように、いや、急いでいるように見えたのは気のせいだった。だが、気づいた頃には消えていた。
直ぐに退散しようとしたのに急に手首を掴まれて驚いてしまった。その顔は昔とは変わらない幼さが残っていた。あの日、自分があんなことをしでかしていなかったら、きっとあいつもあんなとこでびしょ濡れにならずに済んでいたんだろうな。
「次会えるのはいつだろうか。」
コメント
1件
うわ、この第9話、冒頭から胸にくるものがありましたね。傘を差し出すサラリーマンと、びしょ濡れの少年、一見ただの親切な出会いなのに「寂しそうに微笑んだ顔」が過去の記憶を呼び起こす展開が絶妙です。最後の「次会えるのはいつだろうか」にグッと引き込まれました。雨の情景が二人の距離感や時間の隔たりを象徴しているようで、次が気になります!