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「ん……っ」
「大事な部分は丁寧に洗わないとね」
涼さんは私の耳元で囁き、お尻をムニュムニュと揉んでから、割れ目に指先を滑らせてくる。
自分から「ちょっとだけなら」と言った手前、止める訳にもいかず、私は彼に抱きついたまま息を殺していた。
「……ひ……っ」
彼の指先が秘唇に触れた瞬間、私は鋭く息を吸って身を固くする。
「大丈夫、いつも通りにしていればいいから」
(いつも通り? ……いつも通りってどうしてたっけ?)
そんな思いが脳内でグルグルするなか、涼さんは陰唇に添って指を滑らせ、ついでに後ろの窄まった孔にも触れてきた。
「やっ」
緊張した私はとっさに声を上げ、ギュッと涼さんに抱きつく。
(無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理。そこは無理)
後ろでする行為があるのは知っているけれど、まだノーマルセックスとはなんぞや、も知らない私にはハードルが高すぎる。
「無理にはしないよ。ただ綺麗にしてるだけ」
涼さんは囁くように言い、クルクルと円を描くように不浄の場所を撫でる。
「……いつかはしたいって思ってるんですか?」
「恵ちゃんが受け入れるならね。いま言ったように、望まないならしないよ」
落ち着いて言う涼さんは、私の知らない間に色んな事を経験していそうだ。
「……誰かとした事あるんですか? 気持ち良かった?」
ボソッと呟くように尋ねると、涼さんは手を止めて私の顔を覗き込んできた。
「……気になる?」
まるで試されているように感じ、私はギュッと唇を引き結ぶ。
「……嫉妬する羽目になるなら、聞きたくないです。涼さんは〝経験〟するの大好きだから、掘ったり掘られたり、色々やったんだろうなーって思っておきます」
「ちょっと待って!? 掘ったり掘られたり!? そ、それは聞き捨てならないな!?」
涼さんが焦ったのを見て、私はここぞとばかりに、むくれた顔をして攻めてやる。
「涼さんが〝人気者〟なのは分かってますよ。私なんてノーマルセックスをするので精一杯で、免許皆伝してる涼さんの足元に及ばない、白帯ですから」
「話が膨らんだね? ついでに何をすれば師範代?」
「……んー……、四十八手コンプリート?」
「あっはははは! それはなかなか師範代になれる人、いないんじゃないの?」
「えっ? 恋人同士って、まず四十八手をコンプリートするもんじゃないんですか?」
「逆に誰から聞いたの? その情報。ネタならともかく、実際にやる人あんまりいないと思うけど」
涼さんに聞かれ、私は朱里ではない女友達を思い出す。……アンニャロウ……。
「…………この話はお蔵入りという事で……」
目を逸らして誤魔化すと、涼さんはシャワーヘッドを手にして、泡まみれになった私の体を流し始めた。
「恵ちゃんは純粋だから、あちこちでからかわれてるんじゃない? 今どき希少な天然記念物みたいな女の子だから」
「切手になりそうですね」
私はナキウサギを思いだして言う。
「そういえば、自分の好きな写真やイラストを切手にできるサービスあったよね。あれで俺と恵ちゃんのラブラブ切手作って、結婚式の招待状とかに貼ろうかな」
「後生ですからやめてください。ぶっ」
両手を合わせて本気でお願いすると、頭からジャー……とシャワーを掛けられた。
「バスチェア、座って。髪洗ってあげる」
「はい……」
私は一旦涼さんからシャワーヘッドを借りて、座る所を洗ったあと、ストンと座った。
「話は戻るけど、明日のショッピングで欲しい物、本当にない? 一つぐらいは恵ちゃんのほしい物をプレゼントしたいんだけど」
涼さんは優しく髪を洗いながら尋ねてくる。
「んー……、お陰様で色々満たされていて……。もともとあんまり物欲がないほうですし」
「俺とお揃いのアクセサリーをつけようって言ったら、やだ? あんまり目立たない指輪とか」
「……一目見て高価な物って分からない物ならいいですけど……」
「よし、じゃあ指輪を買おう」
涼さんは機嫌良さそうに言い、シャカシャカと私の髪を洗ってトリートメントもつけたあと、「あとで流すからバスタブに浸かってて」と言い、自分も髪を洗い始めた。
(豪華だなぁ……)
夜景を見下ろすジェットバスに浸かった私は、泡で体が隠れるのにホッとしつつ、窓から外を眺める。