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当時は、“あの騒ぎ”から1年ほど前。
パレルのセレブっぷりは、世界を席巻しかけていた。
セレブトレンド先取り気取り、
分別と審美眼の長けた者たちにとっては、見るに値しないものだった。
彼女にとってはリツイート数や閲覧数が増えることよりも、
フォロワーたちから続々とつけられ続けた「♥️」や「👍️」の隣の数字が爆速で増えるのがとてつもない快感だった……
もちろん、パレルをチヤホヤと持ち上げ褒めそやす信者フォロワーたちからのコメントやDMも山ほど届いた。
中でも、
パレルの古参フォロワーのひとりで本人もセレブの娘だった、ローザ・スペンサー【別名・情熱と棘の女王】からは、
【パレル!ガンガンやっちゃいなよ!私は全面支持するXXX】
なんて軽々と、届く。
ローザのこのツイートをリツイートしたパレルは、
独りでニヤニヤが止まらず、つい……
《A lot of T H A N K S !!!!》
なんて文面をDM(ダイレクトメール)でローザ宛に送信してしまった。
これだけで済めばまだ良かったのだが、
哀れなことに、このやり取りが現○ックス職員の告発から漏洩。
2人とも各所から叱責を受けることになった。
*
ある日のマンハッタン郊外。
緑茂る区画のレンガ造りのアパルトメント。
ローザは恋人のミハエル・クローネンバーグとともに居た。
昼間からウィスキーをロックで飲みながら、
「ねぇ」
「何だい?ローザ」
「アタシたちどこかへ行っちゃわない?遠いとこ。例えば……」
「南極大陸」
「いいねぇ〜♡」
「白クマでも観に行くか」
「アレは観るものじゃなくて狩るのよ」
「ハハハ」
「フフフ」
程なくして、連名で、
【私たち、しばらく僻地へ、消えます。
追っても追わなくてもお好きに。 ローザ・スペンサー&ミハエル・クローネンバーグ】
2人ともどこかへ消えてしまった。
言ってしまえば、彼らは現代のボニー&クライド。
自ら勇んで時代の徒花になったのだ。
残されたパレルは父・正継の手回しによって、日本のメディアでは無傷の扱いにされた。
パレルはこれに味をしめて、
《これが使えるあいだは、私は安心だわ……
ひかるママとも離れず暮らせる。
私たち母子(ははこ)にはパパっていう神様がついてるの♪》