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#幽霊
凛道桜嵐 新
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#日常
がくじゅつてき・あかげ
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わーい
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朝、佐和水香さんが峰家の術式を届けてくれた。仕事が早い。
俺は、事前に佐和さんに連絡をもらっていた。
「私は感情が顔に出ないタイプなので、千歳さんと直接対面するようなことは、大部分私が引き受けると思います」
そうか、千歳にバレないように、念には念を入れてか。
なんにも知らない千歳は「ありがとう!」と佐和さんから術式入り封筒を受け取った。
「急ぎなんだろ、明日の午後には渡すな」
「ありがとうございます」
佐和さんは頭を下げた。
そういうことで、千歳は『午後に念込めてそのままバタンキューして起きたらめちゃくちゃ食べるから、その前に作り置きする』と台所で忙しくなにか作っている。
『よし、米8合炊いた! 豚肉と野菜の焼き浸したくさん作った! 麻薬卵と山形のだしと味噌汁もたくさん作った! これで大丈夫!!』
千歳は冷蔵庫にいろいろ詰め込みながら、指差し確認するように言った。
「なんかごめんね、何も手伝わなくて」
俺、料理くらいやるつもりだったのになあ。
『別にこれくらい、手伝いいらない。昼飯のあと、ワシ術式にありったけ念込めるけど、そしたら疲れて寝ちゃうから、ワシ、夕飯は食べないと思う』
「そっか、明日の朝、夕飯の分も食べてね」
こないだ爆発しかけたあとの千歳は、寝て起きてから5合くらい食べたのだが、今回もそれくらいお米食べるのかなあ。
お昼に2人でサラダそうめんを食べ、俺が食器を洗っている間、千歳は早速机に座って峰家の術式を広げ、筆でなぞり始めた。
俺も仕事を始めたが、一時間くらいして『できたあ……』とふにゃふにゃな千歳の声がした。
「できた? もう寝る?」
俺が仕事の手を止めて聞くと、千歳は疲れ果てた顔で頷いた。
『布団まで連れてってくれ……』
「おんぶする?」
『肩貸してくれ……』
用意のいいことに、千歳の布団はもう敷いてあり、俺が千歳に肩を貸して寝室まで連れて行くと、千歳は布団に倒れ込んで眠ってしまった。俺は千歳にタオルケットをかけてあげた。
一瞬でこんなぐっすり眠れるの才能だな……しかも、起きて大量にご飯食べたら元通りっていうのも、強いな……。
仕事に戻るべきだったのだが、しばらく、すやすやの千歳の寝顔を見ていた。
……俺は、高確率で、この人を置いて逝くのか。
佐和さんが言っていた。千歳の霊力で、俺の術式を焼き切れる霊力の1/4なのだそうだ。あと、力のある人から根こそぎかき集めてもう1/4。あとの2/4は名のある神仏でなくてはもう無理だけど、そんな高位の神仏から力なんて借りられるか、わからないとのことで……。
千歳としたいこと、これからしたかったこと、たくさんあるなあ。また一緒にバラ園に行きたかった、秋もイングリッシュガーデンきれいなんだって。パフェをごちそうしてあげて喜ぶ姿も見たかった。旅行にだって一緒に行きたかった。また、みなとみらいを一緒に歩くだけでもいい。
これからも一緒に、もっとずっと一緒に過ごしたい。一緒にご飯を食べたり、なんでもないおしゃべりをしたり、それだけで全然いい。
でも……。
どうしようもない気持ちが湧き上がった。俺は不意に、眠る千歳の頬に触れたくなった。
でも、起こしちゃったらかわいそうだし、恋愛関係でもなんでもない無防備な相手にそんな風に触れちゃいけないし、と思って、俺は結局、何もしなかった。
コメント
1件
うわあ…今回もまた胸がぎゅっとなりました。 千歳ちゃん、いっぱい作り置きして「これで大丈夫!!」って言ってるのが、もう健気すぎて泣きそう。あの元気な姿の裏で、ちゃんと自分の限界知ってて準備してるんだなあって。 でも何より、主人公が眠る千歳の頬に触れたいって思って、でもやめるっていう自制心が…。触れちゃいけないって線引きしてるのに、心中では「バラ園行きたかった」「パフェごちそうしたかった」って未来の話をしてるのが、もう切なすぎます。 「どうしようもない気持ち」って、その一言に全部詰まってる気がする。ずっと一緒にいたいのに、叶わないかもしれないってわかってるもどかしさ。静かにぐっときました。 今日も素敵な一話をありがとうございます、がくじゅつてき・あかげさん🥀