「ちなを奪うなよ」
ホイッスルを吹いた後、私は無意識のうちに 佐伯(さえき)のパーカーを握りしめていた。
出場者は泳ぎに自信がある人ばかりなだけあって、みんな速い。
でも私の目には 侑(ゆう)と佐伯しか映らなかった。
(侑……佐伯……)
だれが一番になってもいいけど、どうしたってふたりが気になる。
「佐伯さーん!! 」
「頑張って、佐伯さんー! 」
三上姉妹(みかみしまい)がみんなの最前列で佐伯に声援を送っている。
しばらくして、最初にテトラポットで折り返したのは侑だった。
侑に続いて佐伯が折り返し、少し遅れて、ほかの参加者も次々に浜に向かって折り返す。
「松永くーん! 頑張ってー! 」
「佐伯さーんっ!! 」
大声援に包まれ、一番に浜に上がったのは侑。
歓声がわぁっと湧き上がり、侑がビーチフラグのほうへ駆け寄ってきた。
二番手の佐伯は今まさに******************
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