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日本(えーと、これ、どうしましょう……)
目の前の2国の静かな争いが終わりそうになく、日本はあわあわしていた。
逃げようにも、アメリカは日本の手を、中国は肩をがっちりとホールドしているため、身動きがとれない。
そんな時、すたすたと誰かが歩いてきて、アメリカのことをぽん、と軽く叩く。
?「兄さん、喧嘩はよくないよ?」
日本はパッと目を見開く。
それもそう、近づいてきたのは、日本と目が合った時に微笑みかけてくれた、あの優しそうな国だったのである。
その国はすらりと背が高く、人の良さそうな笑みをにこにこと浮かべる。
アメリカ「カナダは関係ないだろ」
カナダ「え〜? 家事いつも誰がやってるか知ってる、兄さん? また太るか、この世のものではない料理食べるの?」
アメリカ「それだけはほんとにやめろ」
カナダ「あははっ♪」
中国はその隙に、アメリカの手を日本から引き剥がし、日本をホールドから解放した。
日本「あ、ありがとうございます」
中国「……別に」
日本「え、」
そっけない態度をとられ、日本は少ししょぼんとする。
このままではいけない、何か話題を作らなくては。
日本「……中国さんって、まつ毛長くて綺麗ですね。羨ましいです」
中国「は、?」
中国は驚いたようで、目を見開く。そして日本をじっと見つめ、見定めるように目を細めた。
日本(? 何か変なことを言ったでしょうか?)
中国「……そんな、こと、ないアルよ……」
中国は日本からサッと目を逸らし、ぼそぼそと小さな声でつぶやく。
日本「え、どうしてですか? すごく素敵だと思うんですけど……」
不思議に思った日本は、すっと中国に顔を近づけ、少し背の高い中国を見上げた。
すると中国は慌てて、日本のことを控えめに押し返す。
中国「近寄んなっ……アル……」
日本「えっ」
中国「我は席を外すアルっ!」
ずかずかと中国は日本から距離を取り、大股で歩き出した。
残された日本は、ぽかんと後ろ姿を見送るのみ。
日本(もしかして……距離を詰めすぎました……⁉︎)
やらかした、と頭を抱える日本。
しかしそこに、カナダがにっこりと笑いかけてくる。
カナダ「ねぇ、さっき僕と目合ったよね? 僕はカナダ! 兄さんが迷惑かけてごめんね〜」
日本「あっ、いえ全然大丈夫ですよ……! 私は日本といいます」
カナダ「日本くん! よろしくね〜」
カナダはキラキラと擬音がつきそうなほど、眩しい笑顔を振り撒いている。
はっと日本はアメリカのことを思い出して、チラッとそちらの方を見た。
アメリカは退屈そうにあくびをして、机に顔を伏せている。
日本(不思議な兄弟ですね……)
日本「あ、助けてくださってありがとうございます」
カナダ「いいのいいの、僕の家族、ニュージーは比較的まともだけど、大体皆やばいから、対処には慣れてるんだよね」
日本「へ、へぇ……」
どんな家族構成なのだろう、と日本が興味を持った時。
?「うっせぇな南! 大体いつもお前には–––」
?「はぁ⁉︎ こっちのセリフだバカ北! 一生師匠かなんかに尻尾振ってろ!」
?「あぁ⁉︎ 今なんつった!」
?「あれ、北はとうとう耳が遠くなったのかな〜⁉︎」
–––罵詈雑言の嵐が聞こえてきた。
日本はぎょっとする。
なぜこの学年は不仲が多いのか……。
遠距離で様子を見守る1人の国際組織も、そう頭を抱えたのだった。
?「入学してきた日本家の末っ子の話……聞いたか?」
?「知らね」
?「聞いたんね! 日帝が自慢げに語ってたんね!」
?「気になるよな、弟が同じ学年だし」
?「そういやそうなんね! 帰ったらどんな様子だったか聞いてみるんね!」
?「……面倒くせぇ……」
?「お前らは兄弟仲悪いもんなw」
?「人のこと言えねぇだろ……」
最後の会話、誰がしてるかわかりますかね……?
口調のくせが強いので、わかる人はすぐわかりそうですね!
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