これは、ある王国に起きた物語。
真実は嘘になり、嘘は真実になる。
登場人物
ツカサ…王国の王様。人当たりがよく、城の者からも、町の者からも好かれている。
ルイ…ツカサの重臣。常にツカサの事を気にしており、仕事がとてもできる。そのため、周りからとても信用されている。
トウヤ…貴族。ツカサを兄の様に慕っており、自ら志願してツカサの家臣となった。
アキト…トウヤを守る騎士。ツカサやルイとも顔馴染みで、めちゃくちゃ強い。
ネネ…城のメイド。
from.アキト
「トウヤ様!」
俺は前を歩くトウヤ様に声をかけた。
トウヤ様はとても焦っているようで、俺の声もあまり聞こえていないようだ。
「トウヤ様!!」
もう一度声をかけた。すると、ゆっくりと振り返り、
「アキト…俺は、どうしたらいい?」
そう聞いてきた。
今朝、ツカサ様が亡くなったらしい。凶器はツカサ様の持っていた剣。
第一発見者はツカサ様の重臣であるルイ様だ。
トウヤ様はツカサ様をとても慕っていたから、相当な心労のようだ。
俺はトウヤ様を置いて、1人で城へと向かった。
「おや…久しぶりだね。トウヤ様は今日はいないのかい?」
そう声を掛けてきたのはルイ様だった。
「お久しぶりです。ツカサ様の件は…とても残念でした。トウヤ様もかなりショックだったようで…」
するとルイ様は悲しそうに、
「うん…そうだよね。……本当に…ッ」
「ルイ様!!」
「すまない、どうしても…ッ、まだ、受け入れられなくて…」
こんなに乱れるルイ様は初めて見た。いつも冷静沈着だからだろうか。本当に人間だったんだなって思った。
「辛いことを思い出させてしまい、申し訳ありません。」
「ううん、こちらこそ…急にごめんね。」
「ツカサ様は……先刻、ネネが地下へ運んでくれたよ。心臓を一刺しさ。とても正確だった。」
「なるほど…」
「君は犯人探しをしに来たのかい?」
「まぁ、そんな所ですかね。トウヤ様のためにも、早く犯人を見つけた方がいいですし。」
「そうかい…。僕も、早く解決して欲しい問題だ。協力はするよ。」
「ありがとうございます。」
ルイ様の話を聞く限り、犯人は剣の扱いにも慣れているだろうと推測ができる。
正確に心臓を一刺しするなんて、素人には到底出来ないだろう。
となると……トウヤ様や俺、その他騎士団が容疑者になる。
他にも手がかりが欲しいな……もう少し、ルイ様から証言をもらおう。
「ルイ様。ツカサ様と最後に会ったのは何時ですか?」
「えっと…たしか昨日の真夜中だったかな。恐らく12時は回ってなかったと思うよ。」
「何故そんな時間に?」
「ツカサ様に呼び出されたんだよ。寝れん…とか言ってさ。全く、最後まで困った方だ。」
「部屋に2人きりだったって事ですね?その証言的には貴方が1番疑わしいんですが…」
「残念、ネネもいたんだよ。後で聞いてみるといいけど、僕はホットミルクを持ってツカサ様と少し談話し、そのまま解散したよ。」
「なるほど…ありがとうございます。」
ホットミルクを持ってツカサ様の部屋へネネと…
ツカサ様はルイ様に気を許しているから剣を奪われてもおかしくない。
ネネの証言も聞いてみるか。
「昨日の真夜中?うん、確かにルイ様とツカサ様の部屋に行った。」
「何故?」
「ツカサ様に呼び出されたの。寝れないからって。それで、ルイ様がホットミルク持って部屋に向かったから、私も一緒に。」
「その時、ツカサ様は?」
「溜まった仕事を片付けてた。最近、元気なかったんだよね。ルイ様はそれを気にしてたみたいだけど。」
「元気がなかった…?その原因は分かるか?」
「さぁ…私にはサッパリ。ルイ様なら知ってるんじゃない?」
「そうか、ありがとう。」
やはりこうなるのか。この城じゃ重臣であるルイ様が鍵になる。
「そうかい、君はやはり、僕を疑っていると…」
「もちろん、貴方だけじゃなくトウヤ様や俺、ネネも容疑者です。」
「容疑者に自分をいれるのかい?」
「だって、俺が嘘をついてる可能性だってありますから。」
「へぇ…いいね。その考え方は好きだよ。」
「質問してもいいですか?ツカサ様の悩みについて、何か知っていることは?」
「ああ、最近元気が無かったからね。何度か聞いてはみたものの、いつも『なんでもない』の一点張りさ。」
「彼は、中々人を頼ってくれないんだ。」
「てことは、知らないんですね?心当たりくらいはありません?」
「心当たり…そう言えば最近、恋煩いをしていたようだよ。」
「恋煩い…ですか?」
「ああ。よくため息をつくようになったし、物思いに耽けることも多くなったからね。恋煩いでもしてるんですか?と聞いたら、そうだと言ったんだよ。」
「恋煩い…婚約者との結婚は破棄されたと聞きましたが。」
「ああ。馬が合わなかったらしくてね。」
「誰に想いを寄せていたのか分かります?」
「さぁ…そういう面ではあの人は感情を隠すのが上手かったからね。全く心当たりがないよ。」
「なるほど…ではもう1ついいですか?」
「どうぞ。」
「ルイ様はツカサ様に特別な感情を抱いてたりしますか?」
from.ルイ
「特別な感情……?僕が、ツカサ様にかい?」
なんなのだろう、この子は。
あまり頭が良くないと思っていたけど、勘は鋭いようだ。けれど残念。
「ツカサ様と僕は身分が違う。そんな僕が、ツカサ様に特別な感情を抱くことなんか許されない。君なら分かるだろう?」
「……まぁ、そうですよね。」
彼は大人しく引き下がった。
「ありがとうございました。まだ分からない事が多いですけど、少しわかりました。」
「そうかい。役に立てたのなら良かった。早く解決することを願ってるよ。」
そう言って彼を見送り、残された仕事に取り掛かる。
「……ツカサ様、貴方のせいで僕は大迷惑ですよ。」
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コメント
7件
謎系ですねぇ…
ツカサ、ルイに別れを告げたあとに自害したか、ルイがツカサの望みどおり刺したのかなあ……
息抜きだ…… てか終焉のやつの締め方分からんくなったんだが((( しばらく放置しちゃうかも() 書きかけのやつずっと放置してる、