登場人物
ツカサ…ある王国の王。何者かに殺害される。
ルイ…ツカサの重臣。ツカサの第一発見者。
トウヤ…貴族。ツカサの死で傷心している。
アキト…トウヤを守る騎士。トウヤのためにツカサ殺害の事件を追っている。
ネネ…城のメイド。
from.アキト
はぁぁぁぁ……ため息なんか無意味だ。分かってる。
けど、どうしても分かんねぇ…もし、ルイ様がツカサ様を殺したとしたら、理由はなんだ?
俺がもし、トウヤ様を殺すとしたら……
「アキト?」
「トウヤ様ッ?!」
「すまない、驚かせるつもりはなかったんだが…」
「い、いえ、大丈夫です。それより、体調はどうですか?」
「まだ少し…受け入れられない所もあるからか、やはり辛いな。」
「そうですか…無理はなさらず、安静にしてて下さい。」
「そういう訳にもいかないんだ。仕事が…」
「そんなの俺がやっときますから。」
「だが、アキトの負担が増えてしまう。」
「いいんですよ。それより、トウヤ様のが大事です。」
「そんな事ない。俺からすると、アキトも大事だ。聞いたところによると、ツカサ様の事件の捜査をしているんだろう?」
「ああ、まぁ…早く解決したいですし、なんで俺がやる事になったのかは謎ですけど…」
「だったら尚更、そっちに専念して欲しいからな。俺としても、早く解決してほしい。」
「…分かりました。くれぐれも、無理はしないで下さいね。」
「ああ。ありがとう。」
こんな方を殺すなんて誰が出来ようか。
ツカサ様は民衆にも、貴族にも、使用人からも評判が良く、好かれていた。恨まれる事とかはなかっただろう。
だから怪しいのが、痴情の縺れなのだが…そうだ、婚約者。ツカサ様の婚約者だった方も関係があるかもしれない。
「ツカサ様の婚約者に話が聞きたい…?」
ルイ様はとても端正な顔立ちをしている。しかし、ツカサ様が亡くなった傷心でか、溜まった仕事でか、あるいは両方かは分からないが、随分やつれていた。
「悪いけど、恐らく不可能さ。」
少し不機嫌そうにそう言った。
「なぜですか?」
そう聞くと、キョトンとして
「死体がどうやって喋るんだい?」
「……え?死体??」
動揺を隠しきれなかった俺はルイ様にそう聞いた。
「ああ、ツカサ様の婚約者は亡くなられたんだよ。たしか……3ヶ月前だったかな?」
「そ、そうだったんですか?!」
「あぁ、葬儀は本人の希望で少人数で行われたのさ。あと、あまり公表もしていない。」
「なるほど……婚約破棄したのはいつですか?」
「4ヶ月前さ。」
「ではその婚約者の死因は?」
「病だ。ずっと患っていたらしくてね。」
婚約者が関係ないとなると…やはり、ルイ様が1番怪しいな。
「ルイ様、先程は何をなさってたんですか?」
「…愚かな王様が遺した仕事を片付けてるのさ。次の王が見つかるまでね。」
ルイ様は今日はあまり機嫌が良くないみたいだ。
「そうでしたか。お邪魔してすみませんでした。今日は帰ります。」
「ああ、そうか。」
思い出せ。ツカサ様とルイ様は、どんな距離で、どう話していて、お互いをどんな目で見ていたか……
ツカサが死ぬ1ヶ月前の城
「おお、トウヤにアキト!」
「ツカサ様、こんにちは。」
「ツカサ様、仕事してます?」
「失礼な!ちゃんとやっとるわ。」
「昨晩は終わらない〜って、僕に助力を求めたのはどちら様ですかねぇ。」
「んなッ!あ、あれは…だな、違うぞ!」
「いや、無理がありますよ、それは。」
「ツカサ様、大変なら俺もお手伝いします!」
「は?!トウヤ…様!貴方も自分の仕事ありますからね?!」
「お互い、主人には苦労するねぇ。」
「おい、ルイ。どういう意味だ」
「おやおや、そのままの意味ですよ。ツカサ様。」
「むぅ……お前も言うようになったではないか。」
「フフッ、どうも。」
「いや、褒めてはないからな?」
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そうだった。こうやって仲良さそうに…言い合ってたっけ。
ツカサ様は大分、ルイ様を頼ってるところがあった。信頼も厚かっただろう。
もう1回、ルイ様の証言を思い出せ。
ルイ様は真夜中にツカサ様の部屋へ行き、ホットミルクを持っていった。その時、ネネもいたと。
それで……朝、ツカサ様は自身の剣が心臓を貫いて亡くなっていたと。
それを最初に見つけたのはルイ様だ。けど、これは不自然じゃない。あの人は毎朝起こしにいってるから。
ネネと別れた後は何をしていたのだろうか。目撃者がいればいいんだが…
ああ、ダメだ。やっぱり俺一人じゃ無理ですよ
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コメント
4件
いやぁわからないな。るいくんがやつれてるのは少しわかる。
うーん…?ルイくんが怪しそうで犯人じゃないパターンかしら…?
あーーわかんねえ!!!😭アキトが「オレがやることになったのは謎」って言ってたことくらいしか突っかかることないよ………🥲最後の一文で誰かの力を借りるのかなあ?って思った。出番すくなかったネネとか