テラーノベル
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「――表」
チャンスが手の甲をゆっくりと開いた。
コインの光が、シャンデリアを反射する。
エリオットが、ほんの少しだけ目を細めた。
「……じゃあ今日は、俺が決める」
言葉は落ち着いているのに、どこかぎこちない。
けどその不安定さすら、妙に様になっている。
「へぇ。やっと来たな」
チャンスは楽しそうに笑うと、テーブルへと顎で示した。
「まず何やる?」
「……ブラックジャック」
即答だった。
「堅いな。らしいけど」
席に着く。
ディーラーの手元、配られるカード、周囲のざわめき。
全部が一気に現実味を帯びる。
最初の数回は、エリオットが普通に勝った。
小さく。確実に。
「悪くねぇじゃん」
チャンスは横でグラスを揺らしながら、興味なさげに見ている。
けどその視線は、ずっとエリオットから外れていない。
「……こんなもんだろ」
エリオットはチップを指で整える。
少しだけ余裕が出てきた、その瞬間――
「じゃあ次、倍にしろ」
「は?」
「お前が決めるんだろ?」
チャンスの声が、低くなる。
「守ってどうすんだよ」
一瞬、迷う。
でもその視線に押されるみたいに、エリオットはチップを前に出した。
結果は――
「……っ」
負け。
一気に、さっきまでの積み上げが崩れる。
「ほらな」
チャンスが小さく笑う。
「こういうとこだよ、お前」
「うるさい」
すぐに次を賭ける。
取り返すみたいに。
でも、焦りは隠せない。
カードがめくられるたび、呼吸が浅くなる。
勝って、負けて、また負けて。
気づけば――
「……減ってる」
ぽつりと零れる。
「当たり前だろ。冷静じゃねぇんだから」
チャンスが隣でグラスを置いた。
「もうやめとくか?」
その言い方が、妙に優しい。
――いや。
試されてる。
エリオットは、ゆっくり顔を上げた。
「……もう一回」
その目に、さっきとは違う熱が宿る。
「いいね」
チャンスは笑う。
「そういう顔、好きだわ」
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ゆゆゆゆ
ゆゆゆゆ
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