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若き覇王に、甘くときめく恋を

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若き覇王に、甘くときめく恋を

36 - 第二章 恋の分岐は、ありやなしや?  EP.2「三度目の出会いは、何かが起こる予感」⑨

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2025年01月05日

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「……冷たい? 私がか?」


掛けているメガネの奥の目を細め、怪訝そうな顔をしている彼に、


「初めて会った時も、二度目の時にも、なんだかとても無愛想な感じだったので、てっきり私を遠ざけるつもりでと思っていたんですが」


口にしてしまったからにはと、思い切ってわだかまっていたことを打ち明けてみた。


すると彼は、「無愛想な……いや、それは、そうした方がいいからと……」低くそう呟いて、眉間に微かなしわを寄せ苦悶の表情を浮かべた。


「……そうした方がって、もしかして、どなたかに言われていて……?」


話の真意をはかりかねて問い返しながら、まさかあの女性からの進言だったりは……と危ぶんでいると、


「久我社長、そろそろ新商品のオリエンテーションをステージでお願いします」


側近らしき男性が近づき恭しく告げて、彼は「すまない、また後で」と言い残し行ってしまった。


もう少しで核心に触れそうだったのにと思い、やきもきしていると、


ステージに上がった彼は、なんとあのくだんの女性を伴っていた──。


(嘘……やっぱりあの人が正式な婚約者で、私はただのカムフラージュなんじゃ……)


そんな考えが頭をよぎるも、それは一瞬でくつがえされた。


「KOOGAが新たに発表する、新商品のご紹介をします。そして彼女は、こちらの商品のキャンペーンモデルである、オーディションで選出した新人のAYAさんです」


以前に見た時と似た深いスリットが入った艶やかな原色のドレスを纏った彼女にスポットライトが当たると、彼が手の平を差し出し壇上へエスコートをした。


たったそれだけのことなのに、その光景に胸がチクリと痛む。さっきは私にあの手が差し伸べられていたのになんて考えている自分は、会場で湧き起こる拍手喝采に、ひとり浮いているような疎外感を覚えていた。


「オーディションで選ばれた女性だったんだ……。どおりで綺麗な人で……」


小さく独り言をこぼす──(だったら彼女は何も関係はなくて、彼とのことはただの思い過ごしで……)


ただの思い過ごし……なのに、二人の場面を目撃した際には、あれほど落ち込んでいてと感じると、知らず知らずため息が漏れて、製品の画期的な機能がスクリーンを交え彼の熱弁によりアピールされるさ中で、私だけがいたたまれないような気持ちを抱え立ち尽くしていた。

若き覇王に、甘くときめく恋を

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