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やがてオリエンテーションが終わり、彼がこちらへ戻ってきた。
「さっきは話が途中になってしまって、すまなかった。彼女のことは、新商品に関わる社外秘だったので、事前には話せなかったんだ」
彼が手短かに事情を告げる。
「ええそれは、わかっていて……だけど、」
と、ふと言葉を切る。だけど何だって言うんだろう……。もっと彼の言いようが違っていたら、きっと間柄を疑ったりすることもなかったとか……。ましてさっき感じていた、彼女へのつまらない嫉妬心だって……。
頭の中では、様々な思いが駆け巡るけれど、もうそれを口に出しても仕方がない気がした……。
「だけど、何だ?」
彼からの問いかけに、「何でも……」と、うつむいて首を振ると、無意識に気持ちが打ち沈んで、今日もまたなんとなくうまくは運ばない状況に陥ったようにも思えて、胸がキリキリと痛んだ──。