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「はぁはぁ。うふふっ♡…あ♡やっとコツが掴めたんっ♡。…みたい♡。どお?。ん♡あは♡。はぁはぁ…気持ちいい?。…ああん♡奥が…ん♡ 」
「うん…凄く良いよ。…く。…あう。サクラ…。そんなに動くと、また気を失うよ?。…もっとゆっくりで良いから。ほら、もうお尻が震えてる…」
「はぁはぁはぁ。ま、まだ大丈夫ぅ♡。んん♡。レオちゃんのごりごりがぁ♡おヘソにまで来てるわぁ♡。んんあっはぁ♡。だめぇ…飛んぢゃう…」
その部屋は真っ暗な虚数空間に、ふわふわと漂う真っ白な泡にも似た部屋だった。高位の黒色魔法を極めたサクラが使う、多層次元干渉の魔法によって作られた彼女だけの部屋だ。内装はシンプルながらもゴージャスで、淡く優しい灯りを零すクリスタルなシャンデリアがふわりと浮いている。
壁や天井が球状ながらも床は平で、調度品は美麗なレリーフの彫られた木製のチェストや、輝くほどに磨き上げられた円卓や、ゆったりと座れる揺れる椅子やソファーセットなど高価な物ばかり。特に初めて見る円形のベッドはふっかふかで弾力に富み、58年の人生で過去イチに快適だった。
「はぁはぁはぁ。……騎乗位って♡…はぁはぁ…なんかスゴいわぁ♪。腰が震えちゃったし。ん?。あ。…ごめんねぇ。抜いちゃうの早かったぁ?。はぁはぁ…ちょっとだけ休ませてねぇ?次はも〜っと頑張るからぁ♡」
「いやそうじゃなくて。この2日間…ずっとまぐわってるよね?オレ達。そろそろ外に出てもいいんじゃないかなぁ?。…って思ったんだけど… 」
「うん♪まだ2日よねぇ♡。って。…ああっ!。もしかしてレオちゃん!わたしのアソコにもう飽きたんだぁ!。ひっどーい!。わたしはこんなにも夢中なのにぃー!。わかったわ。次からはレオちゃんが上になって!。まだちょっと怖いけど……飽きられちゃうよりずっといいから。…いい?」
玉の汗を素肌に輝かせている彼女が、積んだ枕に凭れている俺の胸に乗り上げながら唇を尖らせる。紅潮した頬と潤んだ紅い瞳に愛しさが満ちた。俺の下腹を跨ぎ、迷うこと無くお尻を下ろした大魔法使いのサクラさん。狭い膣をメリメリと広げられて、身体の奥深くを強く圧し上げられながらも、驚くほど情熱的に尽くしてくれる彼女の情愛には舌を巻いてしまう。
「サクラさんに飽きる?冗談だろ。ただ俺は天災が気になるんだよ。もうすぐ果樹園とかがある農耕地帯や森林に差し掛かるし、ネオ・クイーンの街からも視認できる距離にも入るんだ。残りの日数が4日もないだろう?ヤツの進路を変更しなきゃいけない最終防衛線がそのエリアなんだよ…」
「本当に飽きてない?。わたしは、わたしの全身全霊をレオちゃんに捧げるって決めたの。だけど、まだまだ足りていない気がするのよね。…肉体的には深く繋がっていても…まだ精神域が繋がっていない気がするのよ。」
「あのさ?毎回すっごく気持ちいいのは確かなんだよ。俺に何が足りないのか教えてくれないかなぁ?。その傾向によっては対策も変わるんだし。(…セ…セックス依存になってないよな?…大丈夫だよねサクラさん。)」
とても官能的で…何もかもが満ち足りた2日間。美味い食事に美味いワイン。広い風呂もあって、その全てが快適そのもの。そして乾く間も無いほどに抱き合った。だがこのままでは、あのフロッグを決死の覚悟でかっ飛ばし、なぜ遠く離れた国境線沿いの平原にまで来たのかさえ忘れてしまいそうだ。俺の推測だとあの巨大スライムは、もう遥か南西にいる筈だし…
「ほんとレオちゃんって真面目なんだからぁ。私に飽きないって約束するなら、ちょっとだけ外に出してあげる。きっと驚いちゃうと思うけど♡」
「約束するから外に出してくれ。天災の現在位置を確認したいんだ。やり損ねていい依頼でもないし歯も立たなかったからね。やっぱり不安だよ。(サクラさんの飽きるの意味が分からない。…こんなに素敵なのに…)」
「…わかったわ。もう少しだと思っていたけれど、レオちゃんがその気なら上手くいくかも知れないし。…そうね、決戦の用意をしましょ?。その前にもう1回♡。今度はぁ〜もーっと奥まで入れちゃうんだからぁ〜♡」
「いきなり?。…サクラ?無理してるよね。うっ。…任せてていいのか?」
「ええ。任せてもらわないとぉ!んあ♡。んくっ♡。わたしはねぇ?レオちゃんだけを見ていたいの♡。あっ♡。あっあっ!ひぁああ♡。だからもっと夢中にぃ!んっんあ♡。なりたいの♡。はぁはぁ…んあ!奥がぁ♡」
サクラさんもサクラさんだが俺も俺だ。この部屋に籠もってから二人とも服を着たこともない。これもチャーム・スペルの後遺症なのか、彼女に求められると俺の下半身は即座に反応してしまう。そして前戯もないままに彼女は俺の反り立ちを蜜穴の最奥に迎え入れてくれるのだ。その快感につい腰が引けてしまうが…彼女と俺の汎ゆる相性はこの上なく良好らしい。
「え?嘘だろ。まだこんな所にいるのか。…2日前から殆ど進んでない。」
「うふふっ♪。どお?驚いた?。さっきまでわたし達がいたあの虚数空間は、この次元よりも時間の流れが少し速いの。大よそ2倍だったかしら。コチラの世界で起きた問題を解決するための考察や準備をするにはけっこう便利でしょ?。でも…もう1日は抱き合いたかったかなぁ〜わたし♡」
彼女が純白な部屋の壁に触れると、瞬く間に四角い扉が開かれた。サクラに手招かれて部屋を出ると、そこには白銀色なフロッグと広がる草原が眩い太陽のもとに照らされている。その好天を吹き渡る風も爽やかだった。
なのだが…まるで狐にでも抓まれたかの様な不思議な感覚だった。そして何よりも驚いたのは…未だ目前をのんびりと進む半透明な超巨大生物の姿だった。時速8キロとしても丸二日が経過しているのだ。24H×8Km×2となるからには…少なくとも380Km以上は進んでいるハズなのに。
「これが片付いたら好きなだけ抱かれてやるよ。…こんな事を言うと誤解されるかもだけど…なんだか全身が凄く軽いんだ。…頭の中も冴え渡ってるし。その上で…有り余っている何かが身体中を駆け巡っているようで…」
「うふふ♪。実感があるのなら覿面だったみたいね?。…そう。レオちゃんとわたしは確かに結ばれた。ひとりの男として、そしてひとりの女として。求め、許しあい、深く溶け合うように繋がったわ。そしてそれは、レオちゃんの肉体だけではなく…その精神域にも確実に影響を与えている。まぐわうことは命を紡ぐこと。新しい命を授かるための男と女の絆よ?」
雲一つ無い青空の下。また身を縮め始める天災を眺めながら、俺は寄り添い立つサクラさんの細いくびれを抱き寄せる。風に乱された髪を手で撫でる彼女を見下ろしながら、俺は本心を告げようと思った。いや。告げるべきだと思ったのだ。過去の俺には無縁だった胸の痛み。今こそ伝えよう…
「…俺は…その絆を恐れていたのかも知れない。…頑なに目を背けて、自己解決する事で誰も傷つけないし…自分も傷つかないと思っていたんだ。だけど間違っていた。…生きているからには避けて通るべきでは無かったんだ。…サクラさん。…俺は短命種族の人間だから貴女と比べれば一瞬しか生きられないかも知れない。…でも棺桶に収められるまで貴女を愛し続ける自信がある。俺があのデカブツを倒せたら一緒にいてくれないか?」
できうるだけ穏やかに、しかし力強く。今も腕の中にいてくれる愛しい女性に俺は思いの丈を告げた。種族が違うことは確かに厳しいハンデキャップだろう。当然ながら俺は先に死ぬ。しかしそれがサクラさんにとって、とても短い時間だったとしても、俺はその間だけでも幸せにしたい。たくさん笑って、たくさん愛し合って。そしてもしも…子供を授かれたなら。
「!?。…あらあら。わ、わたしは…そんなつもりなんて無かったのに。ただ108枚の金貨で買われただけの遊女よ?。レオちゃんよりもちょっとだけ魔法が上手いだけのね?。欲しくなった時に呼んでくれれば相手になるし…Sクラス討伐者になるレオちゃんの側にいて良い女じゃないの。それにわたしは人間じゃないわ。…神にすら呪われた…酷く古い種族よ…」
「……知ってるよ。…サクラさんの魔力の源は子宮なんだろう?俺の心臓と同じように。…そこに触れている間は、サクラさんの記憶領域が俺にすごく干渉してきていた。慣れない快楽のせいで心の鍵が緩んだんだろうな。俗に言うダーク・エルフ。魔族とエルフのクォーター。…そうだよね? 」
俺に悪気は無かった。ただサクラさんの『魔核』に触れたことで、俺は彼女の過去を知ったのだ。薄い腹を撓らせ、恍惚とした目を向け喘ぐ美女に抱かれながらも、映像となって頭の中に雪崩込んでくる彼女の苦悩とつらい過去。それは大魔法使いサクラの…心の傷そのものなのだと理解した。
「そうよ!。だから一緒にはいられないのっ!。人界に捨てられて…貴族に拾われて…奴隷として生かされてただけ!。身体が女になってからは性玩具よっ!。わたしが処女を護れたのはその鬼畜が『汚れたエルフを犯せば永遠に呪われる。』って迷信を本気で信じていたからよ!。アソコ以外の穴は…すべて犯されてるのっ!。口も!肛門も!飲まされもしたわ!」
腰に回された俺の手を払い除けたサクラさんが、睫毛の濃い眼を剥くようにして睨んだ。大人な女の色気を漂わせる桃色な唇を震わせながら噛み締めている。きっと魔核に触れられた事もなければ、記憶が干渉を受けることも知らなかったのだろう。己の過去を俺も呪ったことがある。それは彼女の抱いてきた苦痛の比ではないだろう。しかし理解だけはしてやれる。
「……だから何だ。…そんなの俺には関係ない。…俺はここにいるサクラさんが好きなんだから絶対に手放さない。…傷付いているのなら俺が癒やすし、笑えないならオレが笑わせる。泣きたいなら俺が胸を貸すし、淋しいなら全力で抱きしめる。…これは願望なんかじゃなくて、サクラは誰にも渡さない。…俺と一緒に生きろ。お前がいない未来なんて救いたくない。」
だからこそ俺は、身も心も傷だらけな彼女を手放したくないと強く思う。それはただ、サクラさんが美しいからだけでは無いし、セックスの相性が抜群だからだけでもない。そして大魔法使いだからでも無いし、理想的な女性だからだけでもないのだ。一糸纏わぬ姿で抱き合いながら、ふざけあって何気に笑いあえた瞬間に、俺は…得も知れぬ幸福感に包まれたのだ。それは快楽でも悦楽でもない。彼女がいることへの感謝そのものだった。
「レオ…ちゃん。」
「だから…俺を信じてここで待ってろ。…サクラの心を見た俺は…絶対強者だからな?あんな水風船なんか秒で片づける。だから一緒に帰ろう。」
「…はいはい。…ぐしゅ……ここで見てるから。…ぐすっ。…早く行って…」
「ふふ…絶対に逃げるなよ?。……我が名は八門…この界にそぐわぬ者。…傷つき、憤怒し、身を震わす大地の蛇よ。…魂の不浄に穢され荒れ狂う空の翼よ。…我が血肉に集いて…その白骨さえ喰らえ。…我が名はヤツカ…」
俺は苦手だった呪文詠唱を開始した。魔力の収束を始める際に、自らの名を告げるのは禁呪の序章とされている。これは黒魔法を使う者の手法であり、森羅万象への魔力干渉を宣言するものでもある。それに呼応する自然界の霊気や魔素は、まるで撒き餌に群がる小魚のように集い来るのだ。
サクラの身を呈した献身により、俺の肉体は精神領域と完全に繋がった。つまり俺は自分の脳を、余すことなく使用できるとゆうことになる。そして彼女が与えた魔族の血は、俺の魔核で無尽蔵に精製される魔力の負荷に耐性を持たせてくれた。もう魔力の放出量を気にする必要も無いのだ。
『……ズズズ……ズズズ……ズルズズズ。……ズリュリュ。…………ジュリ!』
俺が術式詠唱を終え、次の段階にかかろうと手印を組み始めたところで天災が動きを止めた。ギュルンと素早く方向を変えると俺の方へと向かってくる。距離にして三百メートル程なのに、その半透明な小山は体表をギラギラと七色に変化させながら迫って来た!。しかも、あまりに素早いっ!
「……。(俺を排除したいのか?。最初は見向きもしなかったくせに。残りの手印は14。…方向も悪いし…確実に消滅させないとだな。しかし…)」
『ズリュリュ!。ズリュリュリュリュ!。ズリュッ!ズリュリュッ!』
そろそろ奴の攻撃範囲だ。あの毒々しい触手でまた襲ってくるのだろう。真上から差す日光の加減で、迫る巨大スライムの核が見えてきた。何かの粒らしい物体がその赤紫な球体の中で蠢いている。残りの手印はあと9個だ。だがそのひとつひとつに魔力を注がなければ、この術は完結しない。
しかし、轟雷とゆうひとつの術式を保ちながら、魔力を圧縮するようにしてそこに注ぎ込んでいるのだ。後半になればなるほど手印への集中力は増さなければならない。残りは6つ。もしも今ここで、焦って手印をしくじれば最初からやり直し。しかし俺を排除したい巨大スライムは眼の前だ。
そして急襲してきた無数の触手たち。残る手印はまだ3つある!。言霊にして唱える呪文詠唱よりも遥かに速いはずなのに、このままでは直撃してしまう!。しかし敢えて受けよう。いま両手を離せば…詠唱が途切れる。
「爆炎障壁っ!。ったく!わたしのダーリンに何してくれるのよっ!?」
その声と同時に天災が燃え上がった。いや、燃え上がったように見えた。裂けた地面から噴き上がる真っ赤な炎の壁は、奴の触手を火だるまにして迷走させる。その巨体を堰き止めるように燃え続ける炎の柱は天を焦がさんばかりの高さだ。それでも天災の全高には届かない。まるで怯えるように動き、激しく蠢いている赤い核。単細胞生物でも痛みは感じるらしい。
「ふぅ。サクラさん、ありがとう。(はぁ。死ぬかと思った。ナイス♪)」
「もう。レオちゃんはいっつも焦らすんだからぁ♡。さ。頑張って♡」
「ああ。……これで最後だ。サクラさん…俺の背中に。……一気にいく!」
「やぁん、待ってぇ♡。イクときは一緒に♡でしょ?。うふふふふっ♪」
俺はようやく最後の手印を組み終えた。あとはこの両手を離せば轟雷は発動する。守ってくれていた炎の壁が少しずつ沈静化してゆく。そして直上には、ギラギラと七色にテカる触手がウネウネと蠢いていた。更にはその奥、俺達を確認するように接近している巨大な核の内部に映る、無数の粒に俺は我が眼を疑った。そこには何千何万に及ぶ…人の顔が蠢いていた。