・続きました!
・少し2人が仲良くなります
・誤字脱字絶対あります、報告お願いします🙏🙏🙏
以上がよろしければどうぞ!
俺の名前は小峠華太
「何だこの魚。本当に中まで火通ってるのか?」
「……」
訳あってマフィア「羅威刃」のボスである城ヶ崎と昼食を食べている中堅の極道だ。
「うっせぇな、文句言わずに食べろ」
「フン、こんな貧相な物をよく文句も言わずに食えるな」
城ヶ崎が魚をお箸を使ってぶらぶらと持ち上げる
「おまっ、行儀悪いだろ!」
「………で、お前…これ本当に火通したか?」
城ヶ崎が訝しげに聞いてくる。
「…通しはした」
「何火で、何分だ」
「…強火で50秒」
「馬鹿か」
城ヶ崎が引け目にこちらを見てくる。
「う、うるさいな、今月カツカツなんだよ!」
「だとしても50秒で火が通る訳無いだろう」
「強火だし良い位だろ…!」
「そんな訳あるか」
そう文句は言っているが、少しづつ城ヶ崎は魚に手をつけ始めようとした。
流石に自分の飯で体調を壊されるのはいたたまれないので俺は魚を取り上げ再び火に通す。
食べ物を無駄に粗末にしないところは好感持てるんだよなコイツ
「…ふぅ、ご馳走様でした」
「卵焼きは美味かった」
「そりゃどうも」
俺は食器をシンクに持っていき水に浸ける。
そして皿を洗おうと食器用洗剤を取り出したが、中身が空なのに気づく。
「あ、やべ…切らしてたの忘れてた」
俺は小さくため息をつく。
地味に洗い物が溜まっているためこのまま放置するのはよろしく無いだろう。だが城ヶ崎を1人にするのも不安だ。
(どうしたものか…)
そんな俺に気づいたのか城ヶ崎はソファーにふんぞり返ったまま話しかけてくる。
「別に変な事などしない。この家に価値のありそうなものなんて見当たらん」
「一言余計なんだよテメェ」
だが城ヶ崎の無関心な目を見る限り本当に手は出さないようだ。
(…まぁすぐ近くだし、ぱぱっと買ってこよう)
「分かった、すぐ帰ってくる。くれぐれも外に出るなよ、絶対だぞ?」
「ああ」
そう言い残し、俺は部屋の扉のドアを開け、青空のなか外に出た。
「…」
俺はあの後近くのコンビニで目当てのものと、後は食べてみたかった菓子類や惣菜を購入した。…したのだが。
(何だ…、誰かにつけられてる…)
コンビニを出た後、城ヶ崎が心配で即帰路に着いた俺だったが、いつも感じない違和感に後ろを振り返る。
…電柱の後ろに、全身を黒の衣装で染め上げた1人の男がこちらの様子を伺うように隠れている。
一般人なら気付かないだろうが、こちらは何度も死線をくぐって来ているのだ。これ位の気配に気付かないはずがない。
(シマを狙ってる半グレか…?にしては殺意を感じねぇな…)
俺は不安を感じながらも、相手の存在を気取った事を気づかれないよういつものスピードで色々な道を通り家に帰った。
しっかり撒けただろうか。
ガチャリ、と音を立てて部屋に入る。
「はぁ、……」
俺は城ヶ崎の存在など気にせず憂鬱を含んだため息を小さく漏らした。
とりあえず食器を洗おう。そう思いシンクを見下ろした時だった。
「っは…!?あ、洗われてる…ッ!?」
俺は驚きの表情を隠せないままバッと城ヶ崎の方を振り返る。
「あ?…あぁ、俺が洗っておいた。奥に予備の洗剤があったからな。」
そ、そうだったのか…!
俺は城ヶ崎の気遣いに少しだけ感動した。
「何だ、お前もたまには気を使えるんだな。少し見直したぞ城ヶ崎」
「はは、そうだろう。わざわざ取り越し苦労をするお前を見ても心の中でしか嘲笑わない俺は気が使えるな」
「やっぱくたばれよお前」
ッチ、と小さく舌打ちを鳴らす。
そうだコイツはそういう奴だったなクソが。
俺が顔をしかめて壁にもたれると、城ヶ崎が「それで、」と言葉を続けた。
「外で何があった?」
「えっ、」
何とあの城ヶ崎が溜息を気にしてか外であったことを聞いてきた。
まぁ城ヶ崎の事だ、外で羅威刃の奴らに会ったのかとか、昨日の出来事を目撃した奴がいたのかとか、そこら辺の心配だろう。
「…別に、お前が気にするような事ではねぇよ。」
俺が話題を逸らそうとすると、城ヶ崎も続いて大きくはぁ、とため息をついた。
「いいか?お前が俺に関係ないと思っている事でも、そこからこの状況がバレたらどうする。可能性はゼロとは言えんだろう。」
城ヶ崎が呆れながら呟く。
「だが…」
「いいから早く言え。…それとも無理やり言わされたいか?」
その言葉に俺は少し背筋がぞくりと震えた。
「う、分かった、言うよ…、ったく、お前が言うと洒落になんねぇんだよ」
俺は震えたことに目を背けながら小さく溜息をついた。
その言葉に満足したのか城ヶ崎は「それでいい」と再びソファーに背を預けた。
そうして俺は先ほどの出来事を包み隠さず城ヶ崎に伝えた。
「…ふん、ストーカー、な」
城ヶ崎が小さく呟く。
「全く、お前は変に余計事を作るんじゃない。」
城ヶ崎が咎めるように話す
「お、俺だって好きでこうなった訳じゃ…、だが、まぁ…すまない。」
確かに、これは俺が普段から周りを警戒していれば起きなかった。こちら側にも少しは非があるのかもしれない…。
そう思い謝罪の意を示した俺だったが、それを聞いた城ヶ崎は何故か呆れたように肩を揺らす。
「…全く、何を弱気になっているんだお前は。…別に、謝罪など求めていない。」
「?…そ、そうか」
俺は城ヶ崎の意向を探れずにいたが、その後小さく城ヶ崎が呟いた「いつものようにつっかかってくれば良いものを。」を聞いて、俺の表情は一気に明るくなった。
「…はは、何だ。まさか俺の事を元気づけようとしてくれたのか?お前にも良い所あるんだなぁ」
俺が少しからかうように話すと
「…別に、そんなつもりなど無い。」
と、城ヶ崎は静かに答えた。もう少し反抗してくると思ったが城ヶ崎の耳がほんのり赤くなっているのを見つけた。
「…っふ、あはははっ、はー、そうか、お前も照れるとかいう感情、あるんだな。…っはははっ、」
「殺されたいのか」
そう会話を交わしながら俺は先程買った商品を漁る。
そうして俺は2個入りのちりめんじゃこおにぎりを取り出す。
コイツがちりめんじゃこが好きなのは伍代から確認済み。
実は以前路地裏でぶつかった後、のちに奴とぶつかった場合を考えて色々聞いていたのだ。
「ほら、やるよ。好きなんだろ」
俺はぽん、と城ヶ崎の手に半ば無理やり握らせる。
「…どこから聞いた?」
「はは、秘密だ」
そうして俺も残りの1つを食べる
「んん、美味しいな。」
続いて城ヶ崎も1口だけ口にする。
「……ああ、さっきの魚よりは何倍も美味い」
「お前さぁ」
こうして時間は過ぎていき、時刻はいつの間にか23時を回った。
「そんじゃ、早くアジトへ帰れ。空龍街で変な事すんなよ」
俺は壁にもたれながら城ヶ崎を見送る
「空龍街の利権など興味に無い」
「それは…喜んで良いんだよな?」
コイツ、最後まで本当に食えない奴だな。
「……じゃあな、気をつけて帰れよ」
「俺に歯向かうやつが居るとでも?」
「はいはい、そうだな」
こうして城ヶ崎は夜道を進んで行った。
部屋がしん、と静まり返る。
(…何だか少し、物寂しいな)
なんて俺は珍しく感傷的な気分になった。
昨日から引き続いて色々な事があったな…そう出来事を思い出していると、ふと朝の会話を思い出す。
「……、ん?待てよ、アイツ結局手合わせしてねぇじゃねぇか!クソが、タダ飯食われた!」
俺は時刻を配慮して少し抑え目に叫んだ。
次会ったら絶対殴ってやる。
夜道にて。
「……」
小峠と別れた後、城ヶ崎は人気のない路地裏に入る。それに着いていくように1つ、城ヶ崎の後ろから黒い影が動く。
そうして路地裏を進んで角を曲がったかと思うと、黒い影の男が城ヶ崎を見失う。
その瞬間、
「お前か」
「がッ!!」
突然辺りに鈍い音が響く。
どさり、とその場に倒れ込んだ男の視界に映ったのは割れた透明の酒瓶を持っている城ヶ崎だった。
「お前が小峠のストーカーだな?」
そして城ヶ崎は倒れて体を動かす事が出来ない男の鞄を取り上げ、ひっくり返して中身を全て床に落とした。
そこには何枚もの小峠の姿が映し出された写真が入っており、なかにはプライベートの姿もいくつか入っていた。
「…危機感が無いのか、アイツは。」
城ヶ崎が小さくつぶやく
「本来なら気にも留めなかった筈なんだがな」
するとゆらりと城ヶ崎が男に近づく。
男も血の流れる頭を抑えながら必死に後ずさる。
「そうだな、飯と、手合わせをしてやれんかったお返しとでも言っておこうか。」
そうして城ヶ崎が先程の酒瓶を大きく振りかざす
「じゃあな」
そうして再び、路地裏に鈍い音が鳴り響いた。
1週間後
華太の家にて
「泊めろ」
「は????」
続く。
コメント
2件
羅威刃のボスまで虜にしてしまうとはね、さすがは人たらしめ!続きを是非お願いします!