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※時代は2017年位に設定しています。2017年が8年前とはにわかには信じ難いです。(個人の感想)
本日はブレグジット(EU離脱)に関する非公式会談があるということでドイツさんに参りました。
重要な議論をする際の会談ほど恐ろしいものはあるのでしょうか。非公式とはいえ怖いです。
その時に間違えて誤ったことを言ってしまったら大問題です。マスコミに取り上げられてしまいます。
非公式ですけれども外れたことを言えば相手は記憶に残りますから、自らの発言を吟味できるテキストメッセージで会談を行いたいほどです。
そんなこと不可能なのはわかっていますけど。
しかしドイツさんの街並みは慣れないものです。どの国に行っても基本的に慣れないものですが。自国からは出たくないものです。
自分の知らない街並みというのは不安と緊張を私に与えてきます。
知らない場所での人混みはパニックに陥りますし、聞き馴染みのない言語は怒っているように、失望しているように、私を笑っているように、そう聞こえてしまいます。
頭では彼らは私のことなんて見向きもせずそれぞれの会話を愉しんでいること位わかっています。
しかし解れないです。
笑い声が聞こえるものなら私を嘲笑っているように聞こえますし、小声で話している声が聞こえるものなら私の陰口を言っているように聞こえます。
何故なのでしょう。彼らはそんなことをしないのはわかっていますし、もしかするとそんなことをする人に逢ったこともないかもしれません。
しかしあたかもそれが当たり前かのように感じてしまいます。何処からか聞こえてくる笑い声は苦痛極まりないものです。
会談場所に到着しました…異国の会談場所というのは踏み入る行為自体がプレッシャーです。
相手チームのサポーターで満杯な試合会場でスポーツを行うような、そんな感じがします。
会談場所というのは同じ国家でも日によって場所が異なりますから何回会談を行っても慣れないものですね。
本日はドイツさん、フランスさん、ポルトガルさんが出席するようですね…説明はできないのですがなんとなく感覚的に怖いメンツです。
ドイツ「これで全員か?」
フランス「そうだね」
ドイツ「それじゃあ会談を始める。みんな知ってるとは思うが今日はイギリスのEU脱退についてだ」
ポルトガル「うん」
自分のことについて話されるといつもより荷が重いといいますか気分が乗らないものですね…早く終わらせたいところです。
しかもこの件に関しては私が一方的に離脱しますから肩身が狭いです。
皆さんは私をどう捉えているのでしょうか。
弱虫?成り下がり?自分勝手?考えるだけで頭が重くなります。
ドイツ「基本的にはEUの規則に沿って脱退手続きが行われるが、なんせ脱退国が出るのは初めてだから確認事項が多くてな。慎重にやっていくから確認に付き合ってくれ。気になる点があったら随時教えてくれるとありがたい。」
フランス「ちなみにどれくらい確認事項あるの?」
ドイツ「ざっと100といったところだな」
フランス「いや多すぎ!」
ポルトガル「100とはこれまた大変な…」
「申し訳ないです…」
ドイツ「まぁ仕方ないからさっさと終わらせるぞ」
私のことでこんな面倒な事態を対処しなくてはならなくなった皆さんに申し訳ないです…
3人とも面倒そうにしていますし罪悪感に圧し潰されそうです。
「こんなやつごときに」と思っていますよね…目線が怖いです。溜息が怖いです。本当にすいません。私のせいで。
ドイツ「それじゃあこれに関してはこのままで良いな」
ポルトガル「良いと思う」
フランス「良いんじゃない?」
「良いと思います」
どれくらい経ったかわかりませんがどの会談よりもしんどいです…
ドイツさんって冷徹な口調をお持ちですから、それが心に重く響いてしまうもので中々慣れないです。
ドイツさんとなれば本当に接しにくいものです。私は彼の父親(ナチス)と祖父(ドイツ帝国)と真っ向に対立していましたから。
ドイツさんは私のことをどう思っているのでしょう。
私がいなければ彼の父親と祖父は大戦に勝利することが出来ていたでしょうし、現状ももっと良いものになっていたのかもしれません。
嫌われても仕方がありませんよね。
2代にわたって私に蹴落とされ続けていたものですから。
しかも私がEUを離脱すれば、負担というのはドイツさんにより集中することになるでしょうから余計恨まれているでしょうね。
必ず誰かには嫌われることは分かっています。全員に好かれることなんて不可能です。
理性はそれをとても冷静に理解しているのですが、どうしても心が理解してくれないです。
本心は嫌われることを拒絶しています。嫌われることが怖いです。
フランスさんも私が差し押さえ続けましたから相当恨んでいるでしょうね。
しょうがないです。私がいなければ覇権国になることも世界標準言語がフランス語になるのも可能だったはずです。
フランスはトップに君臨することを渇望していたでしょう。
ナポレオン時代からも一連の植民地支配からもよく読み取れます。それも十分理解しています。
でもやはり無理です。嫌われたくないです。割り切れないです。
ポルトガルさんは随分長く同盟関係を保っていますが建前な行為に過ぎないように感じてしまいます。
長い同盟関係の中で関係が緊張したことは何度もありました。
きっと同盟関係を断つ理由を模索しているはずです。同盟関係にメリットなんてものは感じていないでしょう。
ポルトガルさんには何年にも渡って迷惑をかけ続けました。
本当にごめんなさい。嫌わないでください。
ドイツ「それじゃあ今日は終わりだ。お疲れ様」
フランス「お疲れ~」
ポルトガル「やっと終わった~」
「お疲れ様です」
疲れました。もうさっさと帰りましょう。