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【能力者名】ロカ•タランティーネ
【能力名】 エンプレス•ディスコ
《タイプ:友好型》
【能力】 肩に触れた相手の心をへし折る
能力。
【以下、細菌達の記録】
(15時30分、米津高校1年E組の教室にて)
「….では、土日を挟んで来週の月曜日は小テストの日です。事前に連絡してある通り赤点を取った愚か者は私が直々に能力を破壊します。各々勉学に励むように。
委員長、 号令!!!」
まるで軍人のような威圧感を発しながら
ロカ先生は言った。
「起立!!!気をつけ!!!礼!!!」
「「「ありがとうございました!!!!!!!」」」
生徒達が一斉に挨拶したのを聞き届けて
ロカ先生は姿勢を正しながら1年E組の
教室を出た。
(16時00分、影踏架空恋慕の影の円卓にて)
米津高校の一年担当教師5人が影踏先生の生み出した異空間《影の円卓》にて会議を始める。これは生徒達の能力によって会議の内容を知られないようにするための盗聴対策で あった。
「本当は生徒と私しか入れないよう設定してるんですが今回は特別ですよー。 やれやれ……。 能力弄るの超疲れるんですよねー…….。」
影踏先生はやれやれと言った表情で円卓の
席に座った。
他の先生も皆同様に円卓の席に 座る。
その様は、まるで 敵幹部の集合シーンのようだった。
「にしても相変わらず無茶しますねー。
ロカ先生は…….今週中ずぅっと親や生徒からのクレームの嵐でしたよぉ…….。」
ビーカーに入ったまだ湯気の出ている
ホットコーヒーを冷ましながら 影踏架空恋慕は言った。
「今回は緊急事態です。最悪、生徒の命に
関わる問題ですので止むを得ません。」
水筒のカモミールティーを静かに呑みながら
ロカ先生は言った。その水筒の重さはおよそ100㎏。
ロカ先生は常に体に幾つもの重りをして生活をしていた。
「何故…..人は歴史から何も学ばないんじゃろうのぉ……….。」
白い髭をしゃくりながらしゃがれた声で
米津学園最古参で歴史担当の神野まにまに 先生は言った。
神野先生の身体にはいくつもの傷があり、数々の修羅場を乗り越えてきた老兵と言った趣があった。
「でも…….都市伝説の噂……..本当?
生徒達の…….いたずらの説………あり得る…..。」
数学教師無量大数那野彦はぽけーっとしながらそう言った。
おそらく数学のことを考えているのだろう。
あるいは、何も考えていないのだろう。
「うーん、ただ、どうも妙なんですよねー。
学年のクラス内に明らかに数の少ないクラスが 存在する。一年はC組が、二年はD組が、三年はA組が他のクラスより7~8人は生徒が少ない。それなのに誰もそれに違和感を覚えてない。偶然かもしれませんが、現実改編系の能力を持った生徒の可能性は全然ありますよぉ。」
真面目で勤勉で平凡な教師、切名旅行は 彼が平凡な彼なりにこの件についてずっと考えてきたことを彼なりに先生達に説明した。
「そして、この噂が広まりだしたのは一年生達が入学してから。なので一年生の犯行である 可能性が高いです。故に、今年の一年生の小テストは私が見ます。今回の小テストは今までの2倍の難易度に設定しました。追い詰められた状態で彼らがどのような行動を取るのか。それで彼らの性格、あわよくば彼らの能力を測ろうと思います。ですので他の先生方は二年と三年の生徒のチェックをお願いします。」
ジャムのついたクッキーを上品に食べながら
ロカ先生は言った。
「へいへい。」
「わかった。」
「是非も無し。」
踏影、那野彦、神野の三人は口々に頷いた。
「ちょっと待ってください!!!ロカ先生だけで
一年全員を見るんですか!?いくら我々教師陣が 能力者にやられたり精神を病んで辞めちゃったりで人手不足とは言え、さすがに無茶 じゃ…….。」
平凡なる教師切名旅行は平凡な彼なりに
ロカ先生を気遣った。
「お気遣いありがとうございます。ですが
問題ありません。この学園のOBで私の元生徒に《人造エネミー》というアバターを現実世界に呼び出す能力を持つ能力者がいます。彼に 依頼して私のコピーを4体作ってもらいます。 これで人員不足の問題はクリアです。」
クッキーを食べ終え、純白のハンカチで口を
丁寧に拭いながらロカ先生は言った。
(ロカ先生が……5人?………怖ぁ…..。)
旅行は学園最強が5人に増えて暴虐の限りを
つくしてる様子を想像して戦慄した。
「へー、便利な能力者もいたもんですねー。
毎日その子にコピー貸してもらえば
いいのに。そしたらこんな残業地獄とも
おさらばですよー。」
ビーカーのコーヒーに駒込ピペットで
シロップを注ぎながら影踏先生は言った。
(普通に飲めばいいのに。)
と旅行は思った。
「残念なことに精密なコピーを作るには
それなりに時間と労力がかかるみたいで
コピー一体を1日レンタルするのに50万は
かかるんですよ。」
「ごじゅうま!!?ってことは全部で200万ですか!!?」
うっかり自動車が買えてしまう値段である。
思わず影踏先生が珈琲を吹き出した。
吹き出した珈琲が那野彦先生の顔に
かかった。
那野彦先生はちょっと嫌そうな 顔をした。
「現在の消費税もあわせて220万です。ご心配なく、全て私の自腹ですので。」
と表情一つ変えずロカ先生は言った。
(相変わらず大胆というか…..肝が据わっとるのー。)
と神野先生は緑茶を啜りながら思った。
「それでは他に何か意見、質問のある先生は
いらっしゃいますか……?(12秒待つ。)
….. ではこれにて、ミーティングを終了します。」
ロカがそう言うと、教師陣達は影の空間から
出ていった。
【運命の小テストまで残り2日】