それは素早く幸造さんと林老人の方へ這い寄っていく。復活できなかった靄が、煙のような形のまま、二人に危害を加えようとしているのだろうか。
「幸造さん!」
彼も気がついたのだろう。とっさに靄から林老人を守るように抱きしめたまま彼の体を抱え込む。
だが、靄はその手の隙間をかいくぐり、林老人の耳のあたりからあっという間にその体の中に入り込むかのように消え失せた。
「嫌な予感が」
金髪が小さく呟く。
俺の頭にも同じ予感とやらが浮かんでいる気がする。
その予感は、床に放り出されたままぴくりとも動かなかった林老人の手が、ゆっくりと握られていくのを機に確信に変わった。
「おっさん!」
金髪がそう言うのと、林老人が幸造さんにつかみかかるのは同時だった。
重たい音をたてて、幸造さんの体が床に転がる。
「行け!」
幸造さんが叫んだ。その声は苦しげにつぶれている。
林****************
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