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スタートヽ(*^ω^*)ノ
◆キヨ視点
ピンポン、ピンポン――。
インターホンを鳴らしても、反応はない。
LINEも既読にならない。
でも、家の中にいる気配はある。
『レトさん…?』
声を落として呼ぶ。返事はない。
不安に胸がざわついた。
少しして、玄関のドアがカチャリと小さく開いた。
「……キヨくん」
チェーン越しに覗いたレトさんの目は、いつもより暗い。
そして…俺を見ない。まるで、俺を見るのが怖いみたいに。
『…入っても、いい?』
小さく頷くレトさん。
チェーンが外され、ゆっくりとドアが開いた。
中に入ると、レトさんは少し距離を取って立ったまま、視線を逸らした。
部屋の明かりはついているのに、空気が妙に静かで重たい。
『レトさん』
俺が一歩近づくと、レトさんはビクリと肩を揺らす。
その仕草に、胸がチクリと痛んだ。
「…ごめんね、急に…こんなこと言って」
『いいんだよ。むしろ、俺を頼ってくれてありがとう』
静かにそう返しながら、そっと距離を詰める。
けれど、レトさんはまだ目を合わせてくれない。
「……見ないで。なんか、うまく笑えないから…」
か細い声。
それだけで、俺の心はぎゅっと締めつけられる。
『何があった?』
「…わかんない。でも…キヨくんが誰かと一緒にいるの見たら…急に…」
途中で言葉を詰まらせるレトさん。
声は震え、指先も落ち着きなく動いてる。
(ああ――)
レトさん、あれ見たんだ。
ガッチさんといるとこ。
『……レトさん』
もう我慢できなかった。
俺はゆっくりと腕を伸ばして、震えるレトさんの肩に触れた。
一瞬、ビクッとしたけど、抵抗はなかった。
だからそのまま、そっと、でも絶対に離さないように抱きしめた。
『誰とも比べないで。俺が好きなのは、レトさんだけだよ』
「……ほんとに?」
『ほんとに。…てか、俺こそこの前ヤバかった。レトさんが知らない男と笑ってるの見て、
心ん中で何回その男ぶっ飛ばしたかわかんない』
「…うっしーのこと? 親友…だよ」
『知ってる。でも関係ない。レトさんが他の人に笑いかけるの、見たくない。…独占欲、ヤバいでしょ、俺』
レトさんが少しだけ顔を上げる。
やっと、目が合った。
「……俺も、同じ」
消え入りそうな声だったけど、その言葉は真っ直ぐ心に刺さった。
キヨの声は少し柔らかくなって、レトルトの不安をそっと溶かしていく。
『一緒にいたのは、ガッチさんだよ。俺の秘書で、幼馴染なんだ。レトさんのこと、俺と同じくらい大事に思ってくれてる。』
レトルトはゆっくりと息をつき、目に少し光が戻った。
「ガッチさんって、どんな人なん?」
『真面目で頼れる奴だよ。さっきもレトさんと週末どこ行くかって話してたんだ。だから心配しなくていい。』
レトルトはその言葉に、すっと肩の力が抜けるのを感じた。
「そうなんや…そっか、安心した。ごめんな、かっこ悪い姿見せちゃって。幼馴染に嫉妬するなんてダサいよね、俺、、はは」
苦しそうに笑うレトルト。
今にも壊れてしまいそうな笑顔。
キヨはもう一度力一杯レトルトを抱きしめた。
『そんなことない!ごめん、、レトさん。こんな時にこんな事言うの不謹慎かもしれないけど。俺、、、今すっごく嬉しい。レトさんに嫉妬されて愛されてるなぁって思っちゃってる、俺。ニヤニヤが止まんないわ』
「ちょっ、、キヨくん。笑わんといてよ/////」
さっきまでの暗く澱んだ気持ちが嘘のように
キヨの腕の中で身を委ねて照れ笑いするレトルト。
二人の間に、少しだけ静かな安心感が流れた。
続く