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スタートヽ(*^ω^*)ノ
その日の夜、キヨの家のキッチンからは優しい香りが漂っていた。
レトルトが手際よくフライパンを振るう姿は、いつもとは違って少しだけ頼もしく見えた。
『なあ、レトさん、料理うまいな。なんでそんなに上手いの?』
キヨが驚き混じりに声をかけると、レトルトは照れたように笑った。
「俺、家にいること多いからさ。暇つぶしに覚えたんやで」
『そうなんだ。これ、俺のために作ってくれてるんだよね?』
「そらそうやろ!
キヨくんに美味しいって言ってもらいたいからな。」
部屋中にいい匂いが漂ってきて
思わずお腹が鳴る。
「キヨくん、お待たせ!出来たで!」
レトルトが出してくれたのは、煮込みハンバーグにほかほかのライス、付け合わせの野菜も彩りよく盛られていて、まるでレストランのようだった。
『すげぇーー!いただきます!』
一口食べたキヨの頬が自然と緩む。
『マジで……うまい。これ、店出せるレベルなんじゃない?レトさん天才じゃん!』
「…..ほんま?よかったぁ」
レトルトは嬉しそうに眉を下げて、でもどこか恥ずかしそうに笑った。
『レトさん、ほんとすごいな。料理まで完璧かよ。……やば。俺の彼氏スパダリすぎじゃん。
なんか、幸せすぎて怖いわ。』
「な、なんやそれ……この位普通やろ/////」
顔を真っ赤にしながらモジモジするレトルトと
これでもかと褒めちぎるキヨ。
幸せな時間。
ずっとずっと続いてほしいとお互い心の中で思う、そんな夜。
食後、食器を片付けようとしたレトルトの手をふと取って、キヨがにやりと笑う。
『デザートは……レトさんかな?』
「……っ!!!」
真っ赤になったレトルトは言葉も出せず、そのままキッチンに逃げ込んでいった。
「な、な、、なっ何言うてんのよ、キヨくんっ……!」
シンクの前で顔を両手で覆いながら、小さく呻くレトルトの後ろ姿を見て、キヨは声を出さずに笑った。
『…かわいすぎだろ、レトさん。』
レトルトの作ったご飯よりも、今の反応が一番、甘くて美味しかった。
つづく