「相川先輩、香山先輩!!」
将斗の通信機から声がする。
1年の和也の声だ。
心なしか、焦っているように聞こえる。
将斗「和也!今・・・こっちに吸血鬼が出た。晃輝たちにも伝えてくれ」
和也「わかりました!後・・・」
将斗「なんだ?」
和也「詩島先輩たちの所に、吸血鬼が4体出たんです!」
将斗「・・・よ、4体・・・?」
思いがけない数字に、将斗は息を呑んだ。
横でそれを聞く由依も、「嘘・・・」と呟いた。
将斗「わかった・・・今から向かう!」
将斗はそう言って、通信を切った。
研究所で1番身体能力の高い3年でも、2人だけでは4体の吸血鬼に敵うはずがない。
将斗と由依は、先輩の所へ走った。
☆・★・☆・★
颯「・・・ったく・・・よりにもよって俺たちかよ」
4体の吸血鬼を前に、颯はため息をつきながら矛を手にした。
彩は弓に矢を掛け、4体の中の1体に狙いを定めた。
ビュン!!
矢を射た。
直後その吸血鬼がとった行動を見て、彩は背筋が凍った。
彩(・・・さすがは吸血鬼・・・)
吸血鬼は矢を手で掴み、握り折ったのだ。
何度も見てきたことだった。
しかしそれを見ると、本当に彼らは強いのだということを感じた。
吸血鬼と戦う度に、そう思い知らされる。
颯「そっちばっか見やがって」
背後から声が聞こえ、吸血鬼たちが振り返る。
颯は矢を折った吸血鬼に高速で近づき、その腹に矛を刺した。
吸血鬼が呻き声をあげる。
それを見計らって、矛を抜いた。
吸血鬼はもう声をあげることなく、倒れた。
颯「2人いることを忘れるのは駄目だよなぁ」
残りの3体に向かって挑発するように言う。
その時、1体が弓矢を手にする彩の方に向いた。
彩「!」
颯「さすがに頭はあるか」
颯がニヤと笑い、彩に目で合図をした。
彩も頷く。
3年の圭一と菫が2人の所に着くのは、その直後のことだった。
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