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掃除の時間。
あの人と会った。
声を掛けるのはちょっと恥ずかしくて、また、小さく手を振った。
あの人は、笑って手を振ってくれた。
名前も知らないのに、友達みたい。
嬉しくて、少しニヤケながら帰った。
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ある日、涼太とカフェに行った。
「何食おっかな〜」
「俺カルピスで良いわ」
「ちっ可愛いかよ。キモ」
なんか聞こえたけど、知らない振り。
「じゃあ俺は、チョコレートケーキ☆」
「お前の方が可愛いやんw」
「うっせぇよ」
笑いながら店員を呼んだ。
「はい、ご注文お伺いします!」
笑顔で注文を取りに来たのはあの子だった。
名札を見ると『(アルバイト)紅山 佳音』と書かれていた。
名前を知れた。
「カルピスとチョコレートケーキで」
「…はい!少々お待ちください。」
駆け足で戻っていくあの子を見ていると、涼太がニヤニヤしながら言ってきた。
「あの子、最近手振ってる子じゃね?彼女?」
「いや、友達でも無いよ。名前も今知ったし。」
「は?じゃあ何で!?」
「朝練の時ぶつかって……」
ぶつかって…何で手を振り合う仲になったんだ?
友達でもねぇし…
「そっからどうなったんだよ…w」
………やばい
「……一目惚れしたかも」
「ぶはっwまぁ、確かに可愛いわ」
「笑うなよ」
その数分後、あの子がカルピスとチョコレートケーキを運んでくれた。
その時に、目が合って気付いたらしく、驚いた様な顔をしていた。
正直可愛いかった。
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明日は休みだし。
あと1週間で体育祭だし!
疲れた〜けど、頑張れる!
気合を入れて行った金曜日。
お昼休み、悠羽ちゃんとお弁当を食べ終わり
中庭を散歩していると、あの人を見つけた。
カフェに来た時は心臓止まるかと思った。
話してみるなら今かな…?
隣に居た悠羽ちゃんは他クラスの人に話し掛けられて、楽しそうだし。
あの人の隣の人は慌てて何処かに行った。
2人きりになるなら今?
いや、でも…
そんな事を考え、周りを見渡していると、あの人が目の前に居た。
「ちょっと話さない?」
透き通った声で言われ、気付けば頷いていた。
木陰のベンチに座ると、あの人から口を開いた。
「カフェに行った時に見たんだけど、佳音ちゃんって言うのかな」
「は、はい!」
「カフェの時もだけどぶつかった時もごめんね」
「いえいえ!カフェの時美味しそうにケーキ食べてくれてて、店長が喜んでました」
「そっかー良かった」
名札の色が3年生の色だった事に気付く。
「その…先輩?ですよね?」
「あ、うん。佳音ちゃんは1年生だよね?」
「はい!あの…」
名前…知りたいな…
「ん?」
「……何でもないです…すいません!」
「そっか。」
にこっと優しく笑いかけてくれる。
それだけで、顔が熱くなる。
何だろうな。
って…あ!
競技の練習あるんだった!
「すみません!練習入ってるの忘れてて…失礼します!」
「うん。頑張って!」
頭を下げて、走って教室に向かう。
その日の練習は、いつもより上手くできた気がした。