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八雲瑠月
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『静粛にしろ! メタバースといえど、ここは学校だ! ファンもアンチもあんまりうるさくすると、垢BANするからな!』
口姫がマスクを取って、恫喝すると、観客席から嘘のようにブーイングと歓声が静まっていく。
『まったくしょうがない奴らだな……次はヤンデレ……ツンデレの親戚みたいなものだが、察してくれ。ちなみにヤンデレのアバターにちょっとしたバグが生じているが、パソコンのモニター故障でもパソコン不調や回線の不具合でもない。こういう奴だって事で察してくれ。ネットでホラー小説を書けば一流だが……最近は恋愛小説ばかりだな』
口姫の紹介でサーチライトが照らされる幽美の幽霊アバター。その幽霊アバターを見る観客達からざわめきが起こる。何しろ幽美のアバターは映像だけが砂嵐のように乱れたり、白くなったりと、本物の幽霊のようでもあった。
幽美にレーダーチャートが表示されるが、やはり砂嵐になったり、ステータスの数値が?になったり、Sや九十九になったりした。正常な数値と思われる比較的に長い間に表示される数値は【文章表現力五】【構成力二】【キャラ設定二】【世界観設定三】【知識三】【リアリティ三】【台詞回し四】【コンセプト三】であった。
『噂では、ある霊能者のホラー小説のゴーストライターとして活躍していたとか。これはそのせいか? 私はこういう現象は信じない質なんだが……機械の不具合ばかり起こされるとな……』
聞姫が恐る恐る幽美にマイクを向けると、火花が散るような音と共に女性の悲鳴のようなハウリングが響いた。
『っ……ぇ……よろしく』
幽美が何か意気込みを言ったように思えたが、マイクの不具合か、雑音によってほとんどの声が掻き消されてしまった。
観客のざわめきが静まらない中『またホラー小説、書いてください!』『ヤンデレさんのヤンデレな小説、期待してます!』などのコメントが流れた。しかし、拍手の中、観客の音声から【助けぇて……助ケテ……タスケテ……】と微量な音声で聞こえてくる。
『次、いくぞ聞姫……ヤンデレばかりに構っていると、なんか呪われそうだからな……最後はラノケンの部長、エロお嬢様だ!』
口姫の指示で聞姫が手を向ける。すると、サーチライトが照らされるエロスの裸みたいなアバターが姿を現すと、観客席から歓声が巻き起こる。
『その名の通りのエロをギリギリな展開で攻める小説はヤングな少年達にも人気が高い! しかし、何度かネット小説では何度も垢BANされ、諸刃の刃となっている。今回は垢BANされずマンケンに打ち勝つ事ができるか?』
エロスのレーダーチャートのステータスは【文章表現力四】【構成力二】【キャラ設定五】【世界観設定三】【知識三】【リアリティ二】【台詞回し四】【コンセプト三】であった。
『これでもゲーム会社レッドムーンの社長の娘で、シナリオを手伝った事もあったらしい。同人誌では毎年、一千部を売り上げるんだってな? エロお嬢様、今回は垢BANされずにマンケンに勝てる自信はあるのかな?』
悪戯な笑みでマイクを向ける聞姫にエロスはむすっとした表情になる。
『垢BANされる訳がありませんわ! これでも性的な表現はギリギリにしているだけで、私の表現ぐらいなら、アニメ、実写の昼ドラ、洋画でもやっている表現ですわ。そもそも絵画や彫刻作品には……』
『そのへんにしておこうかエロお嬢様。お前の音声だけでも本当にピー音を入れないといけなくなる』
観客席から笑い声が起こり、エロスはますますむすっとした表情になる。『勝負なんだからもう垢BANされるなよw』『マジでエロ小説、期待してるぞ!』などの本気か冗談か分からないコメントが多かった。
『後でルールは説明するが、当然に垢BANされたら、失格だからな』
耳元で言う口姫にエロスはそっぽを向く。
「分かっていますわ」
『じゃあ、次はマンケンの紹介だ。マンケンの期待の新星、DRAGONEYE! 部長にもバトル漫画の天才と言われた実力だ!』
スポットライトが当たるDRAGONEYEは竜の角を持った竜人のようで、半分が欠けたような鎧を纏い、蜥蜴のような尻尾と剥き出しの肌には鱗が見える。特に目立ったのは紅い瞳と白い瞳だった。そのアバターの表示は画竜点睛と表示されていた。
点睛のレーダーチャートのステータスは【画力四】【構成力三】【キャラ設定二】【世界観設定三】【知識三】【リアリティ三】【台詞回し四】【コンセプト三】と表示されている。
『今はラノベがなぜかアニメ化してもてはやされているが、漫画の表現力こそ最強だ! なぜなら小説の文章では激しい攻防の殴り合いのバトルシーンを再現できないからだ! だから必ずマンケンが勝つ!』
点睛は聞姫からマイクを奪い取ると、拳をぐっと力を入れ、観客席に言い放った。すると、歓声が巻き起こる。
『DRAGONEYE! 調子に乗ったラノベを叩き潰してやれ!』『お前のバトル漫画大好きだ!』などのコメントが流れる。
聞姫が嫌な顔をしてマイクを点睛から奪い返すと、営業スマイルで喋り始める。
『DRAGONEYEは小学生の頃からネット漫画投稿サイトでUPを続けている猛者でもある。続いては同じく一年の笑屋本舗。マンケン内でもコメディ漫画を描かせれば右に出るものはいないと言われる実力者だ!』
続いてスポットライトで照らされたのは着ぐるみのような虎の毛皮を被り、ハリセンを持った部族の少女のようなアバターであった。
アバターの表示には大阪笑美屋と記載され、レーダーチャートのステータスは【画力二】【構成力四】【キャラ設定四】【世界観設定二】【知識三】【リアリティ三】【台詞回し五】【コンセプト二】と表示されていた。
『いきなり勝負に巻き込まれて訳分らんけど……よろしゅうな』
虎少女、笑美屋が大阪弁を喋り、笑顔で手を振った。
笑美屋に対し、『大阪の漫画、本当に笑えるw』『作画崩壊漫画乙』など、賛否両論のコメントが流れていく。
『何でうちの苗字言うてんの!? 大阪弁やからか!? 作画崩壊!? しょせんはギャグ漫画やから許しぃや。多分、漫画キャラがツッコミすぎて骨格が曲がったんやないかな?』
笑美屋のツッコミに観客席から笑い声が響く。
『なんか漫才で盛り上がっているが……次、いくぞ。マンケン二年のロボ太。SFや巨大ロボットものが大好きで描き続け、そのオリジナルロボットの設定資料は同人誌で一千部を売り上げた事もあるとか……』
刑事ロボのようなアバターであったが、その背丈はまるで小学生のように感じた。実名の表示には祭防具炉保と記載されている。
炉保のレーダーチャートのステータスは【画力四】【構成力二】【キャラ設定五】【世界観設定四】【知識四】【リアリティ四】【台詞回し二】【コンセプト二】と表示されていた。
ロボ太は同人誌で売れていた事もあり、かなり人気の漫画家のようだ、『ついにロボ太のロボット漫画が見られるのか!?』『あのロボットの設定が出るなら、かなり期待!』と、高評価のコメントが流れていく。
『今回は好評だった設定資料X計画のパワードアーマーの漫画を描くつもりだ。期待して待っていてくれたまえ!』
聞姫に向けられたマイクに炉保が発言すると、一斉に歓声が上がった。