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新連載「狐の嫁入り」
1-1 出会い
🐹(モリタカ コーラ) side
⚾(シャオロン)「ホンマにここ?」
🐹「多分…?」
俺たちは依頼で”伝説のきのこ”を探している。
⚾ 「てか、きのこ探すんならトントンが依頼受ければええやろ」
🐹 「しゃーないやろ」
「出張やねんから」
⚾ 「ちぇ」
_カサカサ_
⚾ 「え…?」
「なんか、カサカサゆうてない?」
🐹 「なんや?」
そこにはこちらを見ている少女がいた。
伸びきった白髪を後ろでまとめ、 銀のピアスを付けている。
それに青の隊服…?
隊服1枚では、流石にこの時期には寒いだろう。
生気の宿らない瞳。
ただ、その紅い瞳は宝石のように美しく、何故か見入ってしまう。
?? 「誰…?」
⚾ 「え、あぁ俺らは怪しいヤツちゃうで」
?? 「そう…」
🐹 「君は?」
🦊 「茯 (フク)」
「…捨てられた」
🐹 「…そッ、か」
俺たちにはどうしようもなかった。
出来れば保護してあげたいが俺たちは今、お金がない。
だからこうして依頼を受け、お金を稼いでいる。
_ガォー_
🦊 「ヒッ(怯」
⚾ 「ッ離れろ!」
🐹 「獣人か?」
獣人 「 ガルルルゥ」
「ガウッ!」
獣人 「クゥーーン」
…逃げてった
⚾ 「大丈夫か?」
🦊 「…((ガクガク」
酷く怯えているようだ。
よく見たら耳としっぽが生えてる…?
⚾ 「君って獣人?」
🦊 「…」
彼女は無言で頷いた。
🦊 「途中までしか変身できないの」
「獣になろうとしても無理」
「人間に戻ろうとしても、耳としっぽは生えっぱなし」
⚾ 「珍しいな」
「…もりこー?」
俺は何故か、心臓がドキドキした。
今にも破裂しそうだ。
なんだこれは…
もしかして…
⚾「もりこー!」
※違います
⚾ 「おい!もりこー!」
🐹 「え?なに?」
⚾ 「大丈夫かお前?」
🐹 「いや、大丈夫やけど…」
…茯も心配そうにこちらを見ている
🐹 「あのさ、シャオロン」
「この子うちに連れて帰らん?」
⚾ 「…お前の気持ちも分かるけど」
「俺らには金がないんや」
🐹 「お願い!」
「この子に依頼手伝って貰ったりしてさ!」
⚾ 「お前がそこまで言うなんて珍しいな」
無言の時間が続いた。
俺は何故かこの子を守りたかった。
この少女のために必死になっていた。
⚾ 「しゃーないな」
「とりあえず連れて帰るけど」
「大先生に相談しなあかんで?」
🐹「分かっとる!」
「なぁ茯、ちゃん?」
少女は目の前で何が起こっているのか理解出来ないらしい。
🦊 「えっと」
「どういうこと?」
🐹 「俺らと一緒に帰ろ!」
🦊 side
理解が出来なかった。
こんな出来損ないの異種族を、 さっきの襲われた時もただ見てるだけだった私を、どうして拾ってくれるの…?
使用人にでもするつもり?
でも、行ったところでなんの役にも立たない。
…迷惑になるだけだから
だからッ!
🐹 「ええよ」
「迷惑かけたって」
…!
読まれた…?
🐹 「能力者やねん!」
「心詠み(ココロヨミ)」
🦊 「ッ… (泣」
泣いた。
初めて人前で泣いた。
大声で叫んだ。
それでも彼らは受け入れてくれた。
弱くて、醜い私を。
1-2 優しさ
🐹side
依頼を終えて帰ってきた。
🐹「ただいも」
🐦(ウツ)「おかいも」
ここは俺たちの家。
お金がないから皆で協力して暮らしている。
🦊「……」
🐦「え…?」
🕶(ショッピ)「どちらさんですか…?」
2人は俺たちの後ろに隠れた少女を不思議そうに見つめる。
⚾「もりこーがどうしてもって言うから」
🐹「連れて帰って来た」
🦊「どうも…」
茯は少し震えている。
誰だか分からない大きな(?)大人が4人もいるんだし、仕方ないことだ。
🐦「うちも今金ないねんけどなぁ…」
🦊「ッ…」
🐹「お金は俺がどうにかするから!」
「だからお願い!」
とにかく必死だった。
彼女を、茯を守りたかった。
🕶「珍しいっすね」
「もりこーさんがそんな必死なの」
🐦「まぁ、1人ぐらいええか」
🐹「ぃよっしゃ!!」
🦊side
🦊「…!」
ここでも受け入れてもらえた。
育ってきた環境も、文化も、何もかもが違う異種族なのに。
ありがとう。
あなた達は、優しいんだね。
あの人の時と同じように、
ならなけばいいな…
🐦side
もりこーから今までの経緯を聞いた。
🐦「ふーん、途中までしか変身出来へん獣人か…」
🕶「見た事ないっすね」
⚾「ってかリリペルって北の国やんな?」
🦊「はい…」
「あなた達はマピット族ですよね…?」
🐹「そう!」
※
🐹達は、中央の国「能力者 アビリティ」
マジック・ピトップ族
略して マピット
🦊は、東の国「獣人 ビースト」
リリマス・ペール族
略して リリペル
🦊「マピット…」
🐹「…もしかして、東中戦争のこと気にしてる?」
🦊「いや、別にそういうわけじゃ…」
🕶「ちなみに俺たちはリリペルのこと悪く思ってるとかじゃないですからね」
🦊「…ほんと?」
⚾「あんなもんだいぶ前の話やし、茯は生まれてもないんちゃう?」
🦊「今、中学生ぐらいなので…」
🐹「若ぁ」
🐦「まぁ、俺らも2、3歳の時やし 」
🕶「正直記憶にないっすね」
🦊「優しいんですね…」
🐹「あ、あとここには8人おって、残りの5人は 」
「🍄(トントン) 🎳(ゾム) 👓(エーミール)
🍳(チーノ) 🐯(ヒョウタロウ)って奴がおんねん」
🐹「全員うるさいけど、仲良くしてな!」
⚾「うるさいのはお前な」
🐹「エ?」
🐦「あと、メンバー内の担当があって、」
「主にグループで活動するメンバーをクラスタ、ソロで活動するメンバーは、サイドって呼んでんねん」
🦊「…(𖦹_𖦹)」
🕶「一気に説明しても分かりませんよね」
🐹「まぁ、これから覚えいけばええやろ」
茯はまだ少し緊張しているようだ。
しばらくは1人の時間を作ってあげよう。
🐹「〜〜♪」
⚾「えらいご機嫌やなw」
🐹「そう?…〜♪」
🦊「…✨」
少女は目を輝かせていた。
🐹の歌が気に入ったのだろうか
顔が少しだけ微笑んでいるような気がする。
🐦「歌、好きなん?」
🦊「うた…?初めて聴いた、!」
先程までは少し大人っぽく見えたが、まるで幼い子供のようにはしゃいでいた。
過去の経験からか、落ち着いてはいるもののまだ中学生ぐらいだ。
好奇心旺盛な子供にとって、初めてのものは興味を示すだろう。
🐹「初めてかー」
🦊「うん、!」
「もっかい聞きたい、!」
🐹「分かった、分かったw」
⚾「楽しそうやなw」
🐦「よっぽど気に入ったんやな」
🕶「懐いてますね」
その時、微笑みをかわす2人が兄妹のように見えたのは、きっと俺だけでは無かったはずだ。
俺たちは明るい月と、流れる星に見守られながら、深い眠りについた。
1-1 1-2 𝐹𝑖𝑛.