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う"……、、最高です……、、 そして心の底から犯人さんを許せません(*ˊ˘ˋ*)💢 続き頑張って下さい!!
○タグ、あらすじを確認の上読み進めてください。
赤葦京治が行方不明になった。
それを木兎が知ったのは卒業式の前日だった。
「告白の返事は卒業式まで待っててください。」
最後に会った赤葦はそう言って笑っていた。
捜索を続けて一年以上が経った頃。
変わり果てた姿の赤葦が保護された。
連絡を受けた木兎はすぐに病院に向かった。
目当ての病室を見つけるとノックもせずに扉を開ける。
「赤葦っ…!」
真っ白なベットの上で木兎よりも先に来ていた見舞い客と話していた赤葦が振り向いた。
ひどく痩せていて血の気のない顔をしている。
それでも長い間生存すら確認できていなかった相手が生きていてくれたことが嬉しくて木兎は赤葦に駆け寄った。
「良かった…やっと会えたな…!」
赤葦の手を握り微笑みかけた木兎は赤葦の目を見て違和感を覚えた。
それがあまりにも親しい間柄の人間に向ける目ではなかったから。
「あの、失礼ですがどちら様でしょうか…?」
木兎は警察官に呼び出され別室に来ていた。
「順を追って説明します。まず行方不明になった当時のことから…」
木兎が最後に赤葦と話したあの後、赤葦は誘拐されていたという。
それから今日までの約1年の間監禁されていたのだ。
そして赤葦が見つかった経緯について。
それは監禁生活を苦に自殺を図った赤葦を見てテンパった犯人が119番通報して逃げたからだそう。
割れた酒瓶の破片で手首を切ったと聞かされた通り先程見た赤葦の手首には包帯が巻かれていた。
「そんな…」
なにかの事件に巻き込まれているのではと思ったことは何度もあったがまさかそんなことになっていたとは思いもしなかった木兎は言葉が出てこなかった。
「そして赤葦さんはこの事件に関する記憶を失ってるようなんです。」
「記憶を…?」
「はい。事件のショックで記憶を失くすケースは珍しくありません。脳が無意識にシャットアウトするんでしょうね。でも赤葦さんは木兎さんに関する記憶も失ってるとお聞きしました。」
淡々と話す警察官はパソコンを立ち上げながら話を続ける。
「失礼でなければ赤葦さんとの関係を伺ってもよろしいですか。」
「先輩後輩以上恋人未満…」
言ってからおかしな事を言ったなと思った木兎だったが警察官は驚きもしなかった。
「そうですか…本来なら親族以外に事件の詳細について教えることはできません。しかし、事件現場からこちらが見つかりまして」
見せられたのは透明の袋に入った1枚の紙。
チラシの裏紙かなんかに書かれた赤葦の字だった。
木兎さんへ
告白、嬉しかったです。
もう会えそうにないので無責任な返事はできませんけど
どうか幸せになってください。
赤葦京治
そう書かれていた。
「こちらの紙もあり赤葦さんのご両親からの許可も頂けましたので 木兎さんがご希望でしたら事件についてお話できます。ひいては捜査に協力して頂きたいのです。」
「なんでも協力します…赤葦の為になるなら」
「ありがとうございます。早速ですが見てもらいたい動画があるんです。」
その動画とは赤葦が誘拐犯に強姦されているものだ。
犯人の部屋のパソコンに残されていたもので言ってしまえばハメ撮り動画というものと大差ない。
そこに映る人物の体格や声から犯人に心当たりがないか確認して欲しいとのこと。
「内容も内容なので見るかどうかは任せます。ただ、それを見れば赤葦さんが木兎さんのことまで忘れてしまっている原因の1つがわかると思います。」
木兎は了承すると受け取ったヘッドホンをつけ、動画を再生した。
薄暗い部屋に鎖で繋がれた赤葦が映し出される。
梟谷の制服を綺麗に来ている様子からすると誘拐された日のものだろうか。
『京治くん、そんなに怖がらないで。これからずっと一緒に暮らすんだからもっと仲良くしようよ。』
優しく囁きかける男の声。
動画の赤葦は口を塞がれていて話すことが出来ないようで首を横に振りながら後ずさりした。
『あぁ、ごめんね。それじゃおしゃべり出来ないね。はい、これで話せるよ。』
『誰ですか、あなたは…一体なんのつもりで』
『木兎光太郎』
突然出された自分の名前に画面の前の木兎は肩をビクッと震わせた。
『いい選手だよね。僕もバレーやってたから分かるよ。でもさ、あんなパワーも技術も才能もあってさらに君みたいな美人なセッターがいるなんてずるいと思わない?』
賢い赤葦は男が言わんとしてることを理解したようだ。
『木兎さんは…木兎さんには何もしないで…』
『そんなに震えちゃって可哀想に…大丈夫、彼には何もしないよ。まぁ京治くん次第だけどね?』
そう言うとカメラを固定してフレームインした誘拐犯は赤葦の服に手をかけた。
赤葦は抵抗したが鎖で動きが限られている上まだまだ成長途中な高校生じゃ成人男性には敵わなかった。
『京治くんもしかして初めて?嬉しいな、優しくしてあげるからね。』
『いやだッ…やめ…』
そこからの行為をみて木兎は自分が寝取り系のもので興奮するタチじゃなくてよかったなんて心底どうでもいいことを考えた。
『お前木兎光太郎が好きなんだろ?あいつのだと思って喜べよ。』
『やッ…たすけて、木兎さんッ…木兎さ…』
動画はそこで終わった。
他にもいくつか動画が残っていたらしいが木兎は遠慮しておいた。
「動画の男に心当たりはありますか?」
「いえ…特には」
「そうですか。ご協力感謝します。ご両親は見たくないと仰られていたので。」
大切な一人息子のこんな動画見たがる親の方がおかしいだろと木兎は思ったが口には出さなかった。
「直に動画の解析が済んで犯人の顔も割れると思います。本日は以上ですのでおかえり頂いて結構です。」
木兎は立ち上がって軽く頭を下げると部屋を出た。
帰る前に少しだけ赤葦の様子を見たいと思った木兎が病室に行くとちょうど元梟谷のメンバーが見舞いに来ていた。
物音に気づいた赤葦と木兎の目が合った。
「あ…さっきの…」
「おう。その、体調はどう?」
「ちょっと貧血気味ですが大丈夫です。」
「そっか…良かった。」
会話が全然続かず長い沈黙が訪れた。
二人の様子に戸惑う元梟谷メンバー。
「お前らどうしたんだよ!?っていうのは触れても大丈夫なやつ?」
その中で最初に沈黙を破ったのは木葉だった。
木兎と赤葦の顔を交互に見やったがどちらも気まずそうに目を逸らした。
「俺が、思い出さなくて…」
「え?」
赤葦が小さく答えて木葉は木兎に説明を求めた。
「つまり赤葦はこの1年のことも木兎のことも記憶にないってこと?」
「…はい。誘拐されて監禁されていたとは聞かされましたが気づいたら病院で全くその事は覚えてないんです。」
そこで木葉が気を利かせ 二人で話したいこともあるだろうし俺らは帰るわ!また来るな! と言い帰って行った。
「なぁ、忘れるのと忘れられるのってどっちが辛いんかな?」
夕焼け空の下を歩いている木葉が同じ駅に向かっている鷲尾に尋ねる。
「…人にもよるんじゃないか?」
「忘れてもいい人ってこと?」
「そうじゃなくて…赤葦みたいなタイプなら思い出せないことに責任を感じすぎるから忘れられた方がマシだろうし、木兎みたいなタイプなら人に忘れられるなんて耐えられないだろうから忘れた方がマシだろう。」
「つまり今は2人とも最悪な状態って訳ね…」
……To be continued