魔術師の少年に、ルーム・ハインリヒの観察を依頼して――数日後。
定期報告のため、少年はいつも通り魔術を使ってヴァレナが滞在する部屋に現れた。
「今日もありがとう」
「……もうさすがに驚かなくなったね」
「そりゃあ、毎日見てればね」
少年の来訪を知っているヴァレナは、すでに用意しておいた椅子を勧めた。
「それで、今日はどうだった? 何か動きはあった?」
ここ数日、ずっと「まだ大きな動きはない」という返答だったが――今回は違った。
「動き、といえるかはわからないけど……たぶん、まだ表に出ていない情報を拾えたよ」
「! どんな情報?」
「あの第二王子、暗殺未遂に遭ったのは一度だけじゃないみたいだよ」
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