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6 - 太i宰i治(黒)×愛重めの束縛

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2024年06月19日

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太宰治(黒の時代)×愛重めの束縛


start













「ねえ、また男と連絡を取っているのかい?」


携帯電話で部下の男性とやり取りをしていると、横からそんな不満気な声が聞こえた。


「仕事の事で一寸ね」

「ふぅん」


横目で彼を見ると如何にも不満ですという顔をしている。

彼、太宰治はポートマフィアの幹部であり、私の上司であり、恋人でもある男だ。私達は少し前から同棲をしているのだけど、家で携帯電話を使うと直ぐに厭な顔をする。


「私と居る時に態々他の人間とやり取りしなくてもいいじゃないか」


と抗議の声を受け流して、やり取りを続ける。私だってしたくてしているわけじゃない。私は今日は休みだけど、部下は仕事。其の事で緊急の相談に乗っているだけだ。


「少し待ってて、仕事の事で相談を───あ!」


そう彼に目を向けずに云うと、横からひょいっと携帯電話を取り上げられてしまった。


「一寸!」

「やっと此方を見た」


取り返そうと手を伸ばすと更に高く腕を上げられてしまう。パタリと画面を閉じられてしまった。


「緊急の用事なの、返して」

「君の指示がないと何も出来ない部下なんて捨ててしまえば良い。私と彼、何方を優先すべきだと思う?」

「私だって休みの日に仕事の話なんてしたくないよ。だけど仕事は仕事だから仕方ないでしょ?」

「強情だなぁ。もういいよ」


話にならない、なんてソファに携帯電話を放り投げる彼。其れは此方の台詞だと云い返そうと口を開いたら、彼の唇で塞がれてしまった。乱暴な手付きに少しの恐怖を覚える。

其の勢いのまま押し倒されて、両手首を強く押さえ付けられた。


「君みたいな中級構成員、私の力で何時だってクビに出来るのだよ?君にしか出来ない仕事も、任務もない」

「それは……」

「君は私だけ見ていれば良いんだよ。仕事だって行かなくて良い。ただ此の家で私と過ごして、私を仕事に見送り、私の帰りを待って、出迎える。其れで良いんだ」


冷えきった真っ黒な瞳に見つめられ、喉がヒュッと鳴る。動物の本能なのか、言い返す事も動く事すら出来なかった。


「君が今の仕事にやり甲斐を感じているから放っておいたけれど、云う事が聞けないのならこうするしかないね」

「!?」


と、手首にひんやりとした感触がする。カチャリと音が鳴って、手首に目を向けた。そこに繋がっていたのは、手錠。


「ま、待って!」

「今迄散々待っただろう」


ジタバタと暴れる私を難なく抱き抱えて、寝具ベッドに放り投げる。寝具の柱に手錠から延びた鎖を繋げた。


「首領には私から上手く伝えておくよ。まあ、君みたいな中級構成員の事なんてはなから覚えちゃいないだろうけどね」


之でもう私の事しか見れないね。


其の表情は、何処か切なげで苦しそうだった。

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