テラーノベル
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親ガチャという言葉がある。子供は親を選ぶことができない。生んでくれた親により優劣が決まっており、それをガチャに例えた言葉だ。私の親ガチャは、上位3%を超えるSSRと言っても過言ではないほど恵まれた環境だ……と思っていた。
父はイケメンの敏腕経営者、母は社長の美人秘書。私は一人娘で、兄弟姉妹はいなかった。小学校受験で大学までエスカレーター式の学校へと入学し、周りの友達も裕福な家の子供ばかり。みんな心に余裕があり、いじめなど都市伝説かと思うほど平和な生活を送っていた。
そんなある日、母の浮気が発覚したのだ。相手は父の会社の有望な若手社員だった。もともと母は若いイケメンを好んでおり、自身の権力と美貌を振りかざして、何人もの若手社員をとっかえひっかえしていたことがバレたのだ。
父は裏切り者を決して許さない人間だった。母とは離婚し、私は父と二人で暮らすことになった。しかし、生活自体は変わらなかった。もともと両親ともに多忙で、私の身の回りの世話はすべて家政婦さんが行っていたからだ。
両親が離婚してから数年後、私が小学5年生になった頃、父が新しい母を連れてきた。父が贔屓(ひいき)にしていたラウンジの元キャストらしく、顔もスタイルも抜群だった。しかし、私には一切興味のない人だった。
新しい母との会話は挨拶程度。
私にとって彼女を母親だと思う認識はなく、向こうも私を娘として見てはいなかった。
そんなある日、父の会社の経営が傾き始めた。離婚して解雇された前の母が、会社の有望な社員をライバル会社へ大量に引き抜いたのだ。前の母は若手社員たちに軒並み唾を付けていたらしく多くの弱みも握っていたようで、すでに会社の中核を担っていた者までもが次々と辞めていった。
それから父は私に暴力を振るうようになった。そんな父のことを新しい母は早々に見限った。私が中学生になった頃、再び両親の離婚が決まり私は新しい母に引き取られることとなった。
新しい母は父と結婚後、専業主婦になっていたが離婚後はラウンジ嬢として復帰した。一度味わった贅沢な暮らしが忘れられず、生活レベルを落とせなかったのだ。しかし、美貌はあっても年齢的に若くはなく、昔のようには稼げなかった。そのため、私は公立の中学校へと転校させられた。
幼少期から決まった友達としか接してこなかった私は、友達の作り方が分からなかった。さらにグループがすでに出来上がっていたこともあり私は孤立をした。別にいじめを受けているわけではない。そもそも、初めからクラスに存在しないような存在となっていたのだ。
中学から帰ると、新しい母が毎日違う男を家に連れ込んでいた。
母はラウンジ嬢として十分に稼げないため、枕営業を持ちかけていたのだ。しかも、効率化のために自宅をその場所にしていた。私が「ただいま」と言っても、返ってくるのは男に媚びるような母の喘ぎ声だけだった。
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私は「昔取った杵柄」で、勉強だけはできる方だった。そのため、都立で最難関と言われる高校に入学できた。しかし、中学時代に誰とも喋っていなかったせいか、相変わらず友達はできなかった。
「ただいま……。」
憂鬱な気持ちを抑えながら小声で挨拶し、玄関を開ける。どうせ今日も母と男が寝室で事に及んでいるのだろうと思っていたが、その日は珍しく喘ぎ声が聞こえない。
母が外出しているのかと思いリビングの扉を開けると、母とその愛人がソファでテレビを見ていた。会釈して自室へ戻ろうとした瞬間、男に腕を掴まれた。
あの時の父と同じ……男性の本気の力を感じた。掴まれた腕の骨がきしむ。ただ掴まれているだけなのに、下手に抵抗すれば骨が折れそうだった。
「痛い! 痛いです! や……やめてください!」
もう片方の手で相手の手を振りほどこうとするが、びくともしない。すると母が私の反対側の腕を掴み、耳元で囁いた。
「今日は貴女が相手をしてあげるのよ。もう高校生なんだから。」
背筋がゾッする。逃げ出そうとするが、あまりの力の差に身動きが取れない。
「助けて! 助けてよ、お母さん!」
寝室に連れ込まれ、ベッドへと押し倒された私は必死に叫ぶ。しかし母は、まるで屠殺前の家畜を眺めるような哀れんだ瞳をこちらに向け、静かに言った。
「お母さんって誰のこと? 私、貴女を産んだ覚えはないけれど……。」
涙があふれてくる。恐怖なのか、悔しさなのか、それとも悲しみなのか分からない。ただ心の奥底から湧き上がる感情が抑えられず、涙が止まらない。私は駄々をこねる子供のように泣き叫んだ。その瞬間、頬に重い衝撃が走り、一気に視界が回る。鼻水が流れたのかと思いすすり上げるが止まらない。少しして、それが鼻血であることに気が付いた。
私は殴られたのだ。久しぶりの痛み……かつて、父から何度も与えられた痛みだ。思わず身をかがめて頭を守ろうとしたが、母に両腕を押さえられ、ベッドの上で万歳の体勢を取らされた。その間に、男が私の唇にむさぼりつく。ナメクジのように粘ついたものが口内を這いずり回った。生臭い匂いと血の味が混ざったファーストキス。吐き気がした。
母は腕を押さえつけたまま、私の耳元に唇を寄せて、優しい声で囁く。
「少し我慢すればすぐに終わるわ。……ただ、初めてでしょ。彼のは大きいから、痛いかもしれないけれど我慢なさい。」
#ギャグコメディ
トド村
473
#ラブコメ
コメント
1件
みぃです…読ませていただきました🥀 ミィの過去が重すぎて、胸が潰れそうになりました。親ガチャって言葉が軽く感じられなくなるくらい、壮絶な環境で…。父からの暴力、新しい母の冷たい言葉、そして最後のシーン。まだ高校生なのに、なんでこんなに背負わなきゃいけないんだろうって。ファーストキスが血の味、ってところがすごく生々しくて、読んでるこっちまで息が苦しくなりました。 でも、この話を書ける尾津さんの表現力、本当にすごいです。この先ミィがどうなるのか、辛いけど続きが気になります📖