あの出来事をきっかけに、私は、冬青に話しかけるようになった。いまだに無口だけど。 久実から、
「冬青に話しかけるなんて、どんなことがあったの?」
と、聞かれた。私は、出来事を話した。
「さすが水澄って感じの出来事で、面白いね。」
面白いのかな…?私にとっては、驚きだったけど。ただ、本当に無口だから、何を話せば良いのか分からない。でも、なんだろう、心が、曇ってしまっっているような感じは…。久実に聞いても、
「自分で考えてみなさい。」
って言われただけで、手がかりなしだし…。そんなことを考えていたら、いつの間にか眠りについていた━━。
翌朝、朝食中、久実が、
「ねえ、水澄は、この時代にはもう慣れたの?」
「うん、一週間ぐらい前から。」
「早!?」
「そ、そうかな。」
学校に着いた。冬青が、席に着いている。私たちは二番目。冬青は、いつも早い。
「おはよ~、冬青。」
「……おはよ。」
「今日も早いね。何時頃に着いてるの?」
「えっと…今日は……今から数えて、十五分程度前。」
「さすがに早すぎない?なんで?」
「登校中、誰にも会いたくないから。」
「寂しく…ないの?」
「っ━━。」
「ご…ごめん。」
「寂しい。」
「え?」
「寂しいよ。俺、いつも、一人だったから、友達なんて存在、が━━。」
「そう…なんだ…。だから、いつも━━いや━━」
なんて言えば、良いんだろう。彼は、寂しいと言った。孤独感━━?私が、この時代に来たときと、同じなのかな…?だったら、今度は、私が━━!
「冬青、友達に、なろうよ。」
「っ━━━!?」
「寂しかったんでしょ?でも、友達が、作れなかった。多分、人と、うまく話せないから。だからさ、」
私は、一呼吸、置いて、
「友達に、なろうよ。」
「ありが…とう。ありがとう、水澄。」
「君は、もう、独りじゃない。」
━━なんだろう、少し、ドキドキしてる。もしかして、これが━━。いや、そんなこと…ない━━。って、思いたかった。でも、心の曇りが、晴れてきているような…。でも、今は、そんなこと、考えても、仕方がないと、思う━━。
それから私たちは、いつも、三人で行動するようになった━━。