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初めてあの仄暗い瞳で見つめられた時は、目の前のあべちゃんのことも、自分の中で駆け巡る感情のことも処理しきれなくって、 ふと気づけばいつも通りのあべちゃんが、心配そうに顔を覗き込んでいたのを覚えてる
その日も、今日みたいに雲が厚く空を覆っていて、まだ夕方前なのにずいぶんと部屋が暗かった
今日と同じように先に仕事が終わった俺は阿部ちゃんの部屋のソファに寝転がっていた
「あ!あべちゃん、おかえり!お仕事おつかれさま」
その時はまだ付き合って半年で、会える嬉しさを隠しきれずに上機嫌な声で仕事終わりのあべちゃんを迎えた
「ん、ただいま翔太」
「んわっ!」
「…びっくりした。上着くらい脱ぎなよ」
ソファにどさりと座ったあべちゃんに勢いよく起こされ、そのまま抱きしめられた
「ん、翔太が脱がして」
「え、いいけど」
いつものあべちゃんと雰囲気が違うなとは思いつつ、抱きしめられたまま上着を脱がす
ハンガーにかけようと思い、あべちゃんの腕から抜け出そうとすると、腕に力を込められた
「わ!ちょっとあべちゃん、上着かけてこないと。シワになっちゃう」
「いいから」
俺の手から上着を取るとそのまま適当にソファの端にかけた
体が少し離れたかと思うと、両手で顔を包み込まれ、じっと目を覗き込まれた
少し乱れた前髪越しに見つめてくる瞳が暗くて、ドキリとする。思わず息をのんだ
「っ!…あべちゃん…?どうしたの…?」
返事はなく、いきなり唇を塞がれる
「んっ!…ん、ん」
「…んっ、はぁ、あべちゃん、今日なんか変じゃない?」
暗い瞳のまま、見つめ返される
「いいから、黙って俺に愛でられてて」
「っ!」
普段とは違う威圧的なものいいに、声が出ない
怖さすらも感じてるのに、目が逸らせない
ゾクゾクとした感覚が背中を駆け上がって、怖いのとは違うドキドキを感じる
初めてのことで、自分から湧き上がる感情が理解しきれない