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雪あそびをひとしきり楽しんだ6人は、少し頬を赤くしながらも満ち足りた表情でキャビンへと戻っていった。玄関先で雪を払うと、こさめが「なんかもう、お腹すいたかも〜!」と声を上げ、全員が思わず笑った。


「じゃあ、そろそろお昼にしよっか」とすちが言い、リビングのキッチンへ向かう。


昼食は、前日に買い込んでおいた食材を使ってみんなで作ることに。

すちは調理担当で、手際よく具材を切っては鍋に入れていく。みことは隣で、野菜を洗ったり味見役を務める。


「このスープ、あ ったかくて美味しそう……」

「ん〜……まだちょっと薄いかも」


すちがそっと味見用のスプーンを口元に差し出す。みことが微笑んで口に含む。


「…たしかに、もうちょっと塩入れよっか」




らんはこさめと一緒にホットサンド用のパンを焼いていて、焦がしそうになるこさめを慌ててサポート。


「ちょ、こら!見てなさいって言ったのに!」


「えへへ、ごめーん、焦げパンも愛嬌だよっ!」





ひまなつといるまは食器を並べたり、テーブルを拭いたりと静かに準備。

でもふと、いるまがひまなつの手に触れて「さっきの散歩の後、冷たかっただろ」と言って手を包み込むと、ひまなつがふいっと顔をそらしながら「……べ、別に平気」と照れ隠しする。


やがてテーブルに温かいスープ、香ばしいホットサンド、簡単なサラダが並び、自然と6人は輪になって座った。


「いただきまーす!」


小さな声が交差して、昼下がりのやさしい食卓が広がっていった。

外はまだ雪がちらちらと舞っていたけれど、その食卓には笑いとぬくもりが満ちていた。



___



昼食を終えて、それぞれが満足げにくつろぎ始めた頃――


こさめとみことは、焚き火や雪遊び、はしゃぎっぱなしだったせいか、いつの間にかソファに寄り添って座っていた。

みことは目を半分閉じながら、こさめの肩にことんと頭を乗せる。こさめもそれに気づくと、にこっと微笑み、みことの頭に自分の頭を軽く重ねて目を閉じた。


2人ともまだかすかにスープの匂いを纏ったまま、体を預け合ってうとうと。ほんのり赤くなった頬が寄り添い合う姿は、まるで兄弟か、それ以上に自然で、あたたかだった。


その様子を見ていたらんは、スマホをそっと取り出し、シャッター音を立てないように撮影した。


「……かわいすぎるだろ」と、ふっと笑いながら呟く。


だがその横で、じっと一点を見つめる気配――

すちだった。


無言でこさめを見つめるその表情は、一見穏やかそうだが、目の奥にわずかに嫉妬の炎が灯っている。

らんはすぐにそれに気づき、肩を揺らして小さく笑った。


「すち、そんな顔すんなって。こさめに罪はないぞ」


「……うん、わかってるけど……」とすちは少し眉を下げて視線を逸らす。


「なんか、俺以外の誰かにくっついてるみこと見ると、胸がざわつくんだよね」


「いや、むしろみことが安心して寄りかかってる相手がこさめだから良かったって思えば?」


「……うん、そう思うようにする」


そう答えながらも、すちはそっと立ち上がり、寝落ちしそうなみことの前にしゃがみ込む。


「みこと、起きて。……俺のとこで寝よ?」


優しく声をかけると、みことはうっすら目を開け、「すち……」と呟いて、眠そうに頷いた。


「あー、独占欲出た」とらんが茶化すと、すちは「許して」と真面目に返した。


こさめも眠そうなまま「おやすみ〜」と手を振り、すちはみことをそっと抱き上げ、寝室へと連れて行った。


みことを抱えて寝室へ連れて行ったすちの背を見送りながら、らんはソファに残されたこさめの隣にふわりと腰を下ろした。


「……さてと。次は俺の番かな」


こさめは眠そうに目を細め、らんの顔を見上げてにっこりと笑うと、何も言わずにその膝に頭を乗せた。


「えへへ……らんくんの膝、あったかい」


「はいはい、照れないのな」


「ん〜、ねむいから……照れてる余裕なーい……」


そう言って、こさめは小さくあくびをひとつ。らんの膝の上で身を丸めるようにしながら、ほんの数分も経たずにすうすうと穏やかな寝息を立て始めた。


らんは苦笑しつつ、そっとこさめの髪を撫でながら、頬にかかる髪を指先で優しく払ってやった。


「ほんと、無防備すぎるって……」



一方、別のソファでは――


「やっば、今の見た!?マジ紙一重だったって……!」


ひまなつがスマホを構え、ゲームに夢中になっていた。

その横には、まるで当たり前のようにいるまが寄り添っており、ひまなつの体をしっかりと支えている。

頭はいるまの肩に乗せ、脚はラフに崩しながらも、安心しきった様子だった。


「なつ、そんな姿勢で肩こらねーのか?」


「だっているまがちょうどいい角度なんだもん。文句ある?」


「ねぇよ。俺が“ちょうどいい”とか言われたら、そりゃ嬉しいに決まってんだろ」


「うっ……そ、そういうのいちいち言うなよ……っ」


耳が赤くなったひまなつは、慌ててゲーム画面に集中し直すフリをしたが、その口元はほんの少し緩んでいた。



___




窓の外には冬特有のやわらかな夕暮れ色が広がり、グランピング場の空気も少しずつ夜の気配を纏いはじめていた。


ふと、みことがすちの腕の中でまぶたをゆっくりと開ける。


「……ん……すち……」


甘えるような声で名前を呼ぶと、すちは微笑みながらみことの髪を撫でる。


「よく寝てたね」


「うん……あったかくて……」




同じころ、こさめもらんの膝の上で目をこすりながらゆっくりと起き上がった。


「……あれ? もう夕方?」


「そ。ぐっすり寝てたぞ。俺の足、完全にしびれたけどな」


「えへへ、ごめんごめん。ありがと、らんくん♪」




そんな和やかな空気の中、6人は自然とキッチンに集まり、夕食の準備を始めることになった。


「今日の晩ごはんはー……カレー!!」

こさめが元気に宣言。

「それ、最初から決めてたろ」と、ひまなつが笑いながらツッコむ。


いるまは手際よく玉ねぎを切り始め、ひまなつはじゃがいもと格闘中。

「この皮むき器、意外と難しいんだけど……」


「貸してみ? 怪我すんなよ」


すちは人参をスライスしながら、隣でみことが切った具材を見て目を細める。


「いっぱいあるね」


「大丈夫、大丈夫。俺が一緒にやるから」



らんとこさめはご飯係。

「ねぇねぇ、カレーって何日か煮込んだ方が美味しくなるんだよね?」


「それは次回のキャンプに持ち越しかな。今回は炊きたてごはんで勝負」


和気あいあいとした調理風景。

笑い声と、スパイスのいい香りがあたたかな空間に広がっていく。



___



カレーが完成し、テーブルの上には湯気を立てる鍋と、こんもりとよそわれた白いご飯。

ふわりと漂うスパイスの香りに、6人の表情が自然とほころんでいた。


「完成~っ!!」

こさめが両手をあげて宣言し、ひときわ明るい声をあげる。


「いただきます」と声をそろえて、6人は夕食を囲んだ。


すちがみことの皿によそってやると、みことは「ありがとう」とほわっと微笑んだ。

その笑顔に、すちはちょっとだけ照れくさそうに笑い返す。


「このにんじん、みことが切ったのか? 形いびつだけど、寝ぼけてた?」


「…そうかも」


「俺のじゃがいもも見て。皮むき、結構うまくなったんだぞ」


ひまなつが得意げにじゃがいもを指すと、いるまが「はいはい」と苦笑しつつも、ひまなつの頭を軽く撫でた。


らんはみんなの皿の盛り具合を見て、さりげなくおかわりの分をよそい始める。


「うまいな。みんなで作ると違うな、味が」


「らんくん、それ言いたかったやつでしょ〜」


口々に「おいしい」「これ、ルー何入れたの?」「みこと、ちゃんと食べてる?」と和やかに会話を交わしながら、

心まで温まるような夕食の時間が過ぎていく。


――鍋の中のカレーはどんどん減っていったけれど、笑顔と会話は尽きることなく、穏やかな夜の食卓にやさしく灯っていた。







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