「あのね、猫を合計7匹なんて飼えるもんじゃ無いのよ。」
「うっ…..(だよね….)」
2匹でさえ大変なのに、7匹なんて飼えるわけが無い。
もし7匹飼うことになっても、また去勢手術・検査もしなければならない。
それだけじゃなく、お世話・金銭の面も考えると… そりゃあ無理に決まっている。
「あなた達は飼いたいだろうけど、こっちからしたら地獄よ?」
「猫じゃなく、人間のお世話もしなくちゃいけないっていうのに….」
「…(私と妹も含めて、合計11の動物の世話を…)」
そうなると、言われることは….
私達は、覚悟してお母さんの話を聞いた…
「あの子猫たちの『里親』を見つけなさい。」
「え____!?子猫、だけ!?」
「この2匹は…?」
もしかして―――?
「この2匹のみ、飼うことを許しましょう。」
「や…. やったあああああ!!!!」
「うるさいわね、静かにしなさい。」
私達2人は、道路も何も関係なしに飛び跳ねて喜んだ。
この7匹共の里親を探すと思ってたけど、この2匹は飼えるなんて…!
――でも、子供5匹の里親さんを探す事には変わりない。
即急に探さないと、この5匹にも迷惑がかかる。それだけは避けたい。
それと全く同じ事を 妹も考えているらしく、二人して気が重くなった。
私達は無言で歩き続けていく。
「….あ!(良いこと思いついた…!)」
「お姉ちゃん、どうしたの?」
「良い案があるの!」
「何なに!?」
亜梨沙は、前のめりになってこちらの顔を覗いていた。
「もう、短気なんだから。家に帰ったら教えるったら!」
「ちぇ。」
妹は、分かりやすいふくれっ面をした。
本当に気が短い妹だ。自分が好きな事となると、いつもこんな風になるんだから…
・・・
――私の部屋
「よ〜し、早速探すぞ〜〜!」
「里親さんを?そんなのどうやって…」
「ネットで探せば良いだけじゃん。子猫を引き取ってくれる所もあるはずでしょ?」
「確かに…!お姉ちゃんにしては良い事言うじゃん!」
「一言多いよ!」
子猫なら引き取れる という場所もあるかも知れないと思い、協力して探し出すことにした。
「うーん….(みんな無理なのかなぁ…?全然出てこないや…)」
やっぱり、子猫5匹となると難しいのかも知れない。
『一匹なら』という所は出てきたものの、5匹を飼える所は少ないらしい。
「うむむ…. 亜梨沙はどんな感じ?」
「見つけたーーーーーー!!良い感じの所!これはどう?」
そう言って妹が見せてきたのは、【猫引き取ります!】という、名前は怪しげなサイトだった。
「ちょっと怪しくない…?」
「ううん!全然そんな事無いの!これ見てーー!」
妹に急かされ、私は仕方なくサイトを見ることにした。
・ご家庭でどうしても飼えない猫、犬も大歓迎!! 何匹でも、どんな種類でも引き取ります!
・しかも、引き取る際の代金は無料で!!
・登録なども必要無し!! 子猫、子犬もOK!!
誰でもどうぞ!! 電話番号はこちら〜〜↓↓
090ー〇〇〇〇ー✕✕✕✕
内容を見てみても、怪しいとしか思えない。
妹はこんなサイトを見つけて、「何か怪しい」と思わなかったんだろうか?それの方が不思議だ。
「ねぇ、やっぱ怪しいよ。」
「大丈夫!だって、隣の隣の家がやってる事だもん!」
「え!? それを早く言ってよぉーー!」
「まぁまぁ!早く行こうよ!!」
「うん。」
そんなこんなで、隣の隣の家の人に引き取ってもらう事になった。
その家の人は頼りがいがありそうで、安心して引き取ってもらえそうだった。
OKももちろん貰えたし。これで、私達の現在の任務は完了だ!
――家に帰ってきて
「よしっ!受け取ってもらえたし、猫に名前でもつける?」
私は、さっきから名前のことをずっと考えていた。
どうせ飼うなら、名前がついている方が良いに決まってる。いや、みんなつけてるしね!
その私の案に、妹も大賛成だと言った。
だから、私はオスの方に。妹はメスの方に名前をつけることにした。
「(うーん、何にしよっかなぁ?カッコイイ名前が良いよね….)」
そういえば、このオスの猫、家に連れて帰った後に走り回ってきたっけ。
私は、ふとそんな事を思い出す。
――その時、爽快に駆け回ってたなぁ… 汗もかいちゃって。
「そーだ!」
爽快に走ってたから、 「爽(そう)」 だ!! うん、これにしよう!
大して悩むことも無く、名前を決めれた私。
だけど、妹は真逆で、悩みに悩んでいた。
「ちょっと、遅くない?早くしてよーー!」
「うーん…. オッケー!決まった!」
「メスの名前、何にしたの??」
「名前は….」
『“もく” だよ!!!!』
「良いじゃん!それはなんで?」
「感触がフワッフワでさ、雲みたいだな〜 って思ったの!雲はモクモクしてるから、 もく !」
まったく、亜梨沙らしい命名の仕方だ。
でも “もく” って凄く可愛い名前だ。その性格・様子から付けられた名前なら、より大切に出来そうな気がする。
「じゃあさ、早くオスの方の名前教えて!」
「うん!名前はね…. 爽ソウ!」
「なーんで?」
「爽快に走ってたから!」
「良いね!!これからは、猫も名前で呼ぶことにしよっ!」
「そうだね!」
私達は、そんな子供っぽい会話をして楽しんだ。
気づけば夕方になっていて、茜色に染まる夕日が出ていた。
空全体が、夕日に包みこまれていくような… そんな幻想的な眺めだった。
そんな中、猫2匹はまだ遊び回っていた。
昼寝もあまりせず、ひたすら部屋の中を駆け回っている。
その姿に思わず見とれ、部屋は静寂に包まれて… 私はあっという間に眠りに落ちてしまった….
コメント
5件
続きが気になりすぎる!