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「私も、幸せ初心者です。……私も頑張りますから。二人合わせて一人前かもしれないけど、二人で立ちむかっていったら、きっと大丈夫」
私は尊さんの指に自分のそれを絡ませ、愛おしく彼に頬ずりした。
私たちは大切なものを失って、自分を半人前のように感じている。
でも尊さんは私を救ってくれたし、彼も私に救われたと思ってくれている。
「きっと大丈夫。大好きだから」
「ああ、俺も朱里とならやっていけると信じてる」
沢山傷付いて、傷つけられて、一人では歩いて行けないかもしれないけれど、二人でならきっと。
「……大好き」
私は尊さんに囁き、彼に脚を絡ませる。
「幸せになりてぇよな。…………いや、なるんだ」
「うん」
結婚、出産、子育てはいまだ経験した事がないから、余計に不安を感じる。
けれど世の中の人たちは何だかんだ言いつつもこなしているし、きっと私たちも〝その時〟がきたら粛々と現実に向き合うしかないんだろう。
「大丈夫だ。なんとかなる」
「……そうですね。なんとかなるなる●ンタッキー」
「それ、『食べたくなるなる』だろ」
尊さんはクックッと笑い、私の頭を撫でた。
「さて、イチャイチャしたので自分のベッドに戻りますね。このベッドで二人で寝るのはさすがにキツイので。尊さん蹴り落としちゃう」
「ははっ」
私は最後に尊さんにチュッとキスをし、自分のベッドに戻った。
「おやすみなさい。明日も暑いですよ」
「ん」
私は目を閉じてゆっくりと息を吐くと、眠れるようになるべく何も考えないよう努めた。
**
翌朝はパン食で、トーストにブルサンチーズのペッパー味を塗って食べた。
ナッツやクルトンの載ったサラダに祖母手作りのドレッシング、プルプルの出汁巻き玉子焼きにコーンスープ。
トーストの他にもクロワッサンもあり、みんなで美味しくいただいた。
京都は意外とパン食が盛んな都市で、パン激戦区だ。
偏見で、京都の人は薄味の和食ばかり食べていそうなイメージがあるけれど、実際のところはパンが好きだし、全国チェーンのこってりラーメンも人気だ。
けれど京野菜やお豆腐、湯葉が有名な所でもあるし、その土地の名産を上手に料理して独自の食文化が発達していると言っていいのかもしれない。
観光客のメッカである京都という街である以上、ボヤボヤしていると混んでしまうので、朝食をとったあと、車で十五分の距離をサッと行った。
「暑さが本格的になる前で良かったわ」
祖母はお墓を磨き、母も掃除をしている。
すぐ来られる場所にあるからか、祖父母は頻繁に来てはお墓を綺麗にしているようで、雑草が生えまくっているとかはなかった。
「さて、ここからは自由時間やで」
お参りが終わったあと、祖母がニコッと笑って言う。
「好きに観光して、好きなもん食べてきぃや。うちの事はホテルと思ったらええ。……それでも、あまり遅なったら開けられへんから、門限は二十二時な」
「はーい!」
私は元気よく返事をする。
「じゃあ、予定通り八坂神社から攻めていくか」
「アイアイサー」
私たちは家族に一旦の別れを告げ、車に乗るとすぐ近くにある駐車場を目指した。
歩いて八坂神社に向かうと、特徴的な朱塗りの楼門を写真に収める。
中に入って行くと、舞殿にびっしりと下がっている提灯に圧倒される。
普段あまり写真を撮らない尊さんも、京都観光はくるものがあるのか、写真を撮っている。
「朱里は毎年来てるなら、こういう鉄板な所は来慣れてないか?」
「いえ、一年経ったら忘れますから大丈夫」
それを聞いて、尊さんはブハッと噴き出す。
「冗談として、お寺さんや神社は何回来ても身の引き締まる思いをするから、飽きるとかはありませんよ」
「確かに」
私たちは会話をしつつ、本殿にお参りする列に並ぶ。