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真の救世聖女。ノヴァを救うため、隠された真の力を完全に覚醒させる。ギルベルト:ガルディニア皇帝。エルザの背中を支え、敵への容赦ない追撃を構える。ノヴァ:神竜。呪いの鎖に苦しむが、エルザの光に救われ、深い絆を再確認する。セレナ:ロストリアの第一聖女。エルザの規格外の力に直面し、絶望のどん底へ。「おーっほっほ! 苦しみ、ひれ伏しなさい黒き竜よ! 本物の聖女であるこの私が、新たなる主(あるじ)となってあげますわ!」謁見の間に、セレナの高慢な高笑いが響き渡る。黄金の鎖――『神の鎖』に全身を縛られたミニ竜のノヴァは、紫色の邪悪な光に包まれながら、苦しげに小さな爪を床に立てていた。その瞳が、過去の凄惨な裏切りの記憶で濁っていくのが分かる。「ノヴァ……! 今、助けるからね!」私が一歩前に出ると、セレナは哀れむような目で見つめてきた。「無駄ですわ、レムリアの落ちこぼれさん。それは神が創りたまいし至高の聖物。一介の鑑定スキルしか持たないあなたに、何ができるというの? せいぜい、私が神竜を従えて世界に君臨する姿を、指をくわえて見ていなさい!」「至高の聖物……? 笑わせないで。そんなの、ただの……」私は右手を真っ直ぐに突き出し、セレナが握る鎖の核(コア)に、私のすべてである『万物看破』の視線を集中させた。視界に、眩い文字が浮かび上がる。【神聖魔道具・神の鎖】状態:神聖魔力を偽装した『古代の精神支配呪詛』耐久度:経年劣化による内部構造の深刻なバグ(亀裂)あり本質:『他者の魂を強制的に摩滅させ、操り人形にする最低最悪の呪具』「ただの卑劣な『呪いの道具』じゃない!!」私の叫びと同時に、全身の細胞から、今まで体感したことのないほどの莫大な聖魔力が爆発的に噴き出した。あまりの光の強さに、謁見の間全体が昼間のような輝きに包まれる。「な、何ですの、この魔力量は……!? レムリアの聖女の力は、その程度ではないはず……っ!」セレナの顔が初めて恐怖に引きつり、後ろの聖騎士たちも強烈な光に目を灼かれて悲鳴を上げた。「エルザ、行け。後ろは私が守る。お前の思う通りに、その不届き者を裁くがいい」背後から、ギル様の低く力強い声が聞こえた。ギル様が私を信じて、莫大な魔力を私の背中に注ぎ込んでくれているのを感じる。私を縛るものはもう何もない。「ノヴァの心を、二度と踏みにじらせない……。世界の歪みを直すのが私の仕事なら、その程度の呪い、今すぐ一瞬で上書きしてあげる!!」私は駆け出し、ノヴァの体に巻き付く黄金の鎖へと直接、両手を伸ばした。バグの構造はすべて見えている。精神を支配している黒い呪いの魔力線を、私の純粋な癒やしの聖魔力で力任せに塗り潰し、正常な状態へと『上書き修正』していく。パキィィィィン……!!!空間を割るような、甲高い硬質な音が響き渡った。「なっ、うそ、私の『神の鎖』が……ひび割れて……!?」セレナが目を見開いた次の瞬間、黄金の鎖は内側から溢れ出た眩い白銀の光によって、木端微塵に粉砕された。『……ハァッ、ハァ……。主……!』呪いから解放されたノヴァが顔を上げる。その瞳には、すでに絶望の色などなかった。「よかった、ノヴァ!」ノヴァは私の胸に飛び込んできた。私は愛しい小さな体をぎゅっと抱きしめる。けれど、これで終わりではなかった。上書きされ、行き場を失った私の膨大な聖魔力の奔流が、鎖の持ち主であるセレナへと一気に逆流していったのだ。「ぎゃあああああああ――ッッ!?!?」謁見の間に、セレナの凄惨な絶望の悲鳴が轟いた。光に包まれた彼女の体から、他国から吸い上げて貯め込んでいた「偽りの聖魔力」が、滝のように剥ぎ取られて宙へ霧散していく。「わ、私の魔力が、消えていく……!? 嫌、嫌よ! 体が……私の美しい顔が、手が……っ!」光が収まった時、床に頽れていたのは、先ほどまでの絶世の美女ではなかった。髪は完全に白髪に染まり、肌はシワだらけになり、まるで百歳を越えた老人のように干からびたセレナが、ガタガタと震えながら自分の手を見つめていた。彼女が持っていた「美」も「若さ」も、すべては神の鎖で他人の魔力を奪い、偽装していただけのバグだったのだ。【第一聖女(元)・セレナ】状態:魔力完全喪失・急激な老化・精神崩壊寸前本心:『嘘よ、嘘よ嘘よ! 私がこんな、薄汚い老婆になるなんて! 助けて、誰か私の魔力を戻してぇぇぇ!』「ば、化け物……! 鑑定スキルで神の道具を壊して、私の魔力を奪うなんて……そんなの、あり得ないわ……っ」カサカサの枯れ木のような声で私を指差すセレナ。「私は奪っていません。ただ、あなたのバグ(嘘)を直しただけです」私が冷たく言い放つと、私の胸の中からノヴァが人間の姿(黒髪の美青年)へと戻り、冷酷な目でセレナを見下ろした。『数百年ぶりの再会がこれとはな。ロストリアの聖女よ、因果応報という言葉をその身で知るが良い』その時、玉座から立ち上がったギル様が、冷徹な足音を響かせながらセレナの前に歩み出た。その銀の瞳には、一切の容赦のない、本物の皇帝の殺意が宿っている。「ロストリア聖帝国……我が国を騙し、我が最愛の妻と守護神を公然と襲撃した罪、万死に値する。……おい、その老婆と、連れてきた兵どもをすべて地下牢へぶち込め。――本日をもって、我がガルディニア帝国はロストリア聖帝国へ宣戦を布告する」「ひっ、ひぃぃぃ……っ!」白髪を振り乱して泣き叫ぶセレナは、帝国の容赦ない兵士たちによって、引きずられるように謁見の間から連行されていった。
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つかであきひろ
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