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しぬほど定期投稿忘れてました
あるみかんです
・学パロ
・メイン▶︎フミト
それではよろしくお願いします
――あっ
目が覚めると、白い天井が見えた。
鼻につく消毒液や薬品の匂い、ベッドを囲むようにして閉められた白いカーテン、近くに置かれたパイプ椅子。
そして覚醒しきらない頭を無理矢理働かせて、思考する。
やっぱり――
「…あ、起きてる」
いつの間にかガラリと開けられたカーテンの隙間から、見知った人物が顔を出していた。
「また任務でヘマしたの〜?無茶するなって言われてるのに」
そう軽口をたたいてくる彼女はアル。
ここは軍の基地の医療室で、彼女の担当場所だ。
国最大の軍であり、他国とも負けず劣らずの勢力を誇っている。
自分もその軍に所属する一人である、はず。
「…分かってる。でも任務自体は完遂したからよくないか?」
「いやぁフミトにしては珍しくない?なんかこう、サラッとやってのけて、何か?って言うタイプかと」
「なんだと思ってるんだよ」
「特別部隊隊長様、でしょ?」
そうだ。
この軍の幹部であり、特別部隊隊長のフミト、それが俺だ。
特殊な任務を請け負うこの部隊では、心身が強いことや、相当な実力と臨機応変の対応を求められる。
その隊長という訳だから、ある程度実力者ではあるんだが…
「にしても、最近はよく怪我するよね」
「そうだな」
「…でもさ、フミト」
「…なんだ?」
「フミトの任務って偵察とか潜入ばっかりだよね。それを完遂したっていう事実もある。それなのに、どうして怪我をするの?」
…昔からコイツは勘が鋭い。
少し、厄介な相手だ。
「…疑うか?」
「…んーん、まったく。疑問に思っただけだよ」
「そうか」
警戒しておくべき相手だろう。
…バレないように。
ふと時計を見やれば12時を指していた。
怪我をして朝方に帰り、出血が原因でぶっ倒れ、今に至る。
今日は午後にまたするべきことがある。
アルには申し訳ないが、先にお暇させてもらおう。
「すまん、これからやる事あるし、もう行くわ」
「え、この怪我でまたなんかやるの?絶対安静レベルなんだけど、これ」
「そこをなんとか!」
「………仕方ないな」
きっとここで許してくれたのも、意味があってなんだろ、アル。
「それじゃーな」
軽く手を振って部屋から出る。
優しく扉を閉めた後、目的の方向へと足を向ける。
今日は特に忙しくなるだろう。
まぁ、この軍はいつも忙しいが。
規模が大きいからこそ、十分に管理が難しいというものだ。
俺がお偉いさんを労ってやりたいと思うほどだ、この俺が。
相当だぞ。
そんな余計な事を考えていると、目の前から歩いてくる人物に目がいく。
「お、ソラじゃん。なにしてんの」
彼はたしか、遠距離部隊の副隊長だったか。
軍の中でも、中々にマイペースな人として知られている。
「ん、特に何も。散歩みたいな」
「おま……まぁいいか。どこ行くんだ?」
「いや別にどこも…あ、じゃあフミトに着いてく。いい?」
言うと思った。
いや、分かっていた。
予定通りだ。
「……いいぜ」
「?…まぁいいや、何しに行くの?」
「ちょっとお前んとこの隊長さんに用事があるんだよ」
「ああ、リト隊長ね」
遠距離部隊隊長、リト。
頭が切れて優秀なことで有名だ。
その分、一般隊員に怖がられてるところをよく見る。
そんな彼女にちょっとした頼みがあるのだ。
「でもどこに居るか知ってるの?あの人も忙しいし、色んなとこ居そう」
「いや任せろ、知ってっから」
談笑をしながら射撃練習場へと向かえば、そこにはちゃんとリトが居た。
こちらに気付くなり、青い髪を揺らして近付いてくる。
「何の用?」
「ちょっとした頼みごと…つっても、伝言みたいなもんだけどな」
「事務作業残ってるから手短に」
「いやじゃあなんでここ居たんだよ…」
「息抜きに決まってるだろ」
「あそっすか…」
そういうとこだぞ、怖がられんの。
「んじゃ本題ね。これから起こる事態に備えて言っておく、“些細な違和感でも誰かに言うこと”。まぁ俺でもいいけどな」
「…そんだけ?理由とか、そういうのは?」
「…お前の観察眼を信用してんだよ。じゃ頼んだからなー」
「は?おい待て」
そんな言葉をスルーして自分の来た道に足を踏み出す。
「…なんでわざわざあんなこと言ったの?」
「保険だよ、保険」
「……?よくわかんない…」
「ま、気にしなくていーよ」
あいつならきっと気付ける。
いや、今までも気付いてきたんだ。
きっと大丈夫。
…あいつが気付く頃にはきっとギリギリになるだろうけど、仕方ないよな。
さて、次は武器庫の鍵を開けに行くのが仕事だ。
なぜか、それはこの後必要になるだろうから。
その後になればきっと分かるさ。
取り敢えずは、バレないように。
「よいしょ……っし、開いたな」
「…解錠許可は下りてないけど?」
「バカ、下りてないからコソコソやってんだろって」
そう、許可は下りていない。
それはそうだ、何も起きていないんだから。
無断でこんな事をしたら、スパイの疑いやら謹慎処分やらを食らうだろう。
それに、武器庫というものは防犯対策がそれなりに厚い。
それほどまでに、かなりリスキーな行動だ。
だが考え無しにやっている訳ではない。
理由はちゃんとある。
それと、武器庫のセキュリティが厚いとは言ったが、特別部隊の隊長サマを舐めないでいただきたい。
こういうのは得意なのだ。
それに、もう慣れてしまったから。
「…ソラ、武器持っとけよ」
「許可は」
「特別部隊隊長の権力で」
「…わかったよ。怒られたらフミトのせいね」
「はいはい」
これでソラ含め皆があの結末に行くことはないはずだ。
…ゲームのエンド回収みたいになってる気がする。
そんな軽いものじゃないんだがな。
「よし、じゃあソラ」
「ん、なに」
「今から戦争だぞ。備えとけ」
「…え?」
ジジッ
――内通者の存在を確認!戦闘態勢を取っています!
――武器の使用を許可する
――総員、戦闘準備!
「…っは、なーんか…予定より早いな」
「……知ってたの?」
「ああ、何回やってると思ってんだ」
「それってどういう」
瞬間、発砲音が響く。
既に戦争は始まっていた。
「危ねぇな…気抜くなよ、ソラ」
「っ、後でちゃんと聞くから」
敵をなぎ倒し、軍の中枢へと急ぐ。
お相手はやはり、最近動きの怪しかった国の一つだ。
元から関係は芳しくない様子だったので、思い切ったなとは思う。
だいぶ前から内通者は紛れていたようだが。
武器庫から中枢まではだいぶ距離がある上に、敵もこころなしか多く感じる。
武器庫を攻撃するのは当然か。
「にしても…おかしいな」
いつもならこの辺りで遠距離部隊の一般隊員が全滅する報告が入る。
だが今回はそうでは無いらしい。
リトが異変に気が付いたということだろうか。
そこまで気付くとは予想してなかったんだけどな。
思わぬ収穫。
ジジッ
――何かがおかしい、敵の量はそれ程でもないのに隊員が次々と倒れる
――症状は毒や病とかだったりで内側から毒されてる
コツ、コツ。
色々考えてるうちに、その時は来てしまったらしい。
こちらへ近づく足音の方を向けば、予定通り、ソイツは居た。
ジジッ
――……報告、医療班の責任者“アル”は内通者だ
リトの声だ。
流石、気付いたらしい。
そして自分達の前で足を止めたのは…
「アルじゃねーか。バレちまったけど、どーすんだよ?」
「……どうするもなにも、フミトももう長くないでしょ。あの時、毒を飲ませた訳だし」
「…はっ、やってくれるなぁ」
そう、アルはこの軍の医療を担っていると同時に内通者である。
医療という名目で、隊員を内から破壊する術を持つ、本当に厄介な奴だ。
「苦しませてごめんね?でも私はこれが仕事だから」
「そうかよ…あー、なんか、痺れてきたな…」
「そうだね、ごめん」
「……なぁ、なんで内通者なのに傷の手当とかしてくれたんだよ。毒とか盛ってたリしてたのは薄々気づいてた。でも、傷を見る度に苦しそうな顔すんの、なんでだ?」
「…なんでだろうね」
「……無理するなって、一番最初に言ってきたのはアルだったよな」
「…そうだね」
「……俺は死にたくねーな」
「…だろうね。私も死んでほしくない」
「そうだろうな。…んじゃ、お望みどーり生きてやるよ」
「…え?」
懐から一つの空き瓶を取り出し、見せつける。
そこにはありありと解毒薬と書かれていた。
「すまん、俺も生きたいんだわ」
「嘘、なんで…解毒薬はだいぶ前に処分したはずじゃ」
「潜入先で盗んだんだよ」
「っ…そういうこと、?」
アルには申し訳ないが、今ここで死ぬ訳には行かない。
まだ、やるべき事がある。
「…俺は、お前も助けてやりたい。皆が和解して、平和になることを望んでるんだ」
そのために、繰り返している。
何度も。
何度も、何度も…。
「フミト……」
「なぁ、アル。お前は、どうしたい?」
「…わ、たし…は、!」
ふと、目の前から鈍い音がなる。
赤が飛び散って、顔にへばりつく。
生暖かくて、鉄臭い。
「あーあ…失敗しちゃってさー…」
少し後ろから聞こえるその声は、仲間だと思っていた者の声だ。
手に持った銃からは、少しばかり煙が上がっていた。
「……ソラ、?」
「バラすつもりはなかったんだけどな…。まぁこれも僕の仕事だし、武器を持たせておいてくれて助かったよ。ありがとう、フミト」
「はっ、?…知らねぇって、こんなの」
本当に、知らない。
ここまでやっておいて、まだ知らないことがあったのか。
どうやらソラも内通者らしい。
だが今までそんな動きを見せなかった。
ああ、いや、そうか。
今回は武器庫を解錠して、武器を持たせたからか。
考えれば考えるほど、頭が痛くなってくる。
まだ続くのか。
まだ続けるのか。
じゃあ、遠距離部隊一般隊員の全滅はソラが行っていたということか。
なら次はどうするべきだ。
あれはだめだ。
これも、結局は成功しなかった。
それも、どれも…。
じゃあ、どうしたらいいんだよ!
「じゃ、ばいばい。次は頑張ってね、フミト」
「…まて、次はってどういう」