「来たよー!」
来たよじゃないんだよ、来たよじゃ。
「なんで急に家来たのさ?」
あすたに尋ねてみる。
「う〜んとね、そろもんやっぱなんかあったんじゃん?」
「う”、っ…」
やっぱり、バレてる…?
「誰かに聞かれたら嫌だし、あとは直接話した方がいいかな〜…みたいな?」
「う、ん……」
「で、どしたの?」
「……わかった。…あのね、」
俺は誹謗中傷 に対して、だいぶショックを受けている、という事をあすたに話した。
話している間あすたは、俺の話に真剣に耳を傾けてくれた。一言も話さず、静かにに、俺の方を見て聞いてくれた。
「そっか〜…」
「うん、…」
「あの時でもみんなに言ったら良かったのに…」
「でも、…嫌われる、俺の居場所が、…」
「……そっか、」
「…ありがとあすた!だいぶ楽なったよ!」
「ほんと?良かった!」
「うん!もう気にしないでいいよ!」
「気にはするけど!w絶対誰にも言わないし、俺も普段から会話フォローしとくね」
確かに、ちょっとキツい時あるよね、ごめん……と、彼は俯く。
「いやいや、俺が勝手に思ってる事だし…気にしすぎってわかってるんだけどね!w」
嘘の笑顔を振り撒く。
「…ほんと?まぁ、またいつでも話聞くからね。」
「よし!ゲームしよう!!」
「お!いいじゃん!何する?」
「マイクラ!!」
「マイクラ…?!2人ですんの…?w」
「師匠教えてぇ〜っ!!w」
「もうすっかり夜だなぁ〜…」
「うわ暗いね〜…送らなくて大丈夫?」
「大丈夫!お邪魔しました!じゃね!」
「うん!バイバーイ!」
…ふぅ。
それにしてもあすたは、俺の事よく見てるな。
楽になった反面、あすたを困らせるんじゃないかと不安もある。
…まぁ、いっか
「俺にはあすたがいるし!」
夜ご飯も食べて、お風呂にも入った。
「よし、寝るか〜」
と、布団に入る。
………寝れない…。
よし!散歩でも行こう!!
「ふんふんふ〜ん♪」
相棒のしゃもじ片手に、夜の1時に散歩する成人男性。
通報されないか?これ。
(ま、いつもの事だし〜!)
ふと、ぐんと後ろに引っ張られ、「え、何?!」と大声を出してしまった。
後ろには、高校生くらいの女子がいた。
まあまあ可愛い。でも誰??
「えっと…どうかしました?」
「そろもんくん…ですよね?」
え。
「そろ、…何ですか?」
俺は咄嗟に知らないふりをした。
「そのしゃもじと、声…メメントリのそろもんくんですよね…??」
「人違いです、誰ですか…?」
知らないふりだ、知らないふり。
「私そろもんくん大好きなんです!!」
その言葉は、俺の弱みだった。
「え、うん!俺!そろもん!」
「や、やっぱり…!」
「大好きだなんて、嬉しいなー!」
「あの、私、家出してきて…」
「え!じゃ帰る家ないじゃん!」
駄目だと、分かっていても。
「そうなんです…」
「俺の家で良ければ、!」
分かっていてたのに__
「じゃ、俺の家行こ!」
そう言って俺は、女の子の腕を引いた。
引いてしまった。
「きゃぁぁぁ─────っ!!!」
その女の子は、甲高い声で悲鳴を上げた。
「え、ちょっ、!?」
「誰か─────っ!!!!」
女の子は泣いていた。
「ねぇ、ちょっと!?」
「なんだ、あれ…!」
「誘拐?」
「警察呼ぶ、?」
周りには人が集まってきた。
(やばい、)
状況を説明するのが…その場に残るのが正しい選択だったのだろう。
だけど、俺は…
俺は_走って逃げた。
何してるんだ、俺。
あの女の子の思うつぼじゃないか、こんなの。
きちんとあの場に残っていれば、少しは状況説明が出来たはず。
(何してんだ、俺…)
でも、別にもういいや。
警察呼ばれたって、俺は何もしてないのが事実だ。
(もう忘れよーっと。)
そして、もう1度布団に入る。
(あの子は…何だったんだろ?)
アンチ…以外考えられないか。
怖いなぁ、声だけで分かるんだなー。しかも外なのに…
すごいなぁ、メメントリしっかり見てくれるんだな…
だけど、やっぱ俺のことは嫌いなんだな…
考えてるうちに、眠たくなってきた。
今度は何故か、すぐ眠りに落ちた。
そしてこれは、これから起きることの予兆に過ぎなかった。
コメント
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うあああ……あすたくんで少しだけ軽くなったと安心したら女子高生!!!! 最後不穏すぎて結末予想できねぇ… 続きが楽しみ> <♡