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「――な、に……これ……」
扉が開いた瞬間、葵の口から戦礫の吐息が漏れた。 勇敢な彼女でさえ、一瞬で思考が真っ白になるほどの、文字通りの「地獄」がそこに広がっていた。
広大な石造りの空間。その中央で、この城の絶対的な権力者である「殿」が、豪華な椅子に深く腰掛け、愉悦に満ちた歪んだ笑みを浮かべていた。殿の側近たちが、怪しく光る妖術増幅の刀を構えて周囲を固めている。
• 水攻めの地獄: 部屋の片隅に設置された巨大な水車。そこには一人の武士が逆さ吊りに張り付けられており、水車が回るたび、汚濁の満ちた水槽へと何度も頭から沈められていた。明治の世に今なお残る、息の根を止めぬよう絶望を長引かせる「水攻め」だ。
• 石抱責の酷刑: さらにその横では、別の武士がギザギザとした鋭い三角形の木馬の上に正座させられ、その太ももの上に、重々しい花崗岩の「責石」を何枚も重ねて置かれていた。肉が裂け、骨がきしむ音が響く「石抱責」。
「ははは! 素晴らしい声だ! 日頃の退屈も、お前たちのその鳴き声を聞けば吹き飛ぶというもの!」
殿は酒杯を傾けながら、ただ自らの「日々のストレス発散と娯楽」のためだけに、忠誠を誓っていた部下たちを蹂躙していた。
「ひ、酷すぎる……。娯楽のために、こんな……!」 葵は激しい憤りで拳を強く握りしめた。
「殿おおおォォォッ!! なぜ、なぜ我らをご自身の娯楽のために!!」 案内してきた武士たちが、あまりの裏切りに血涙を流さんばかりに絶叫する。
「おや、泥棒猫どもが迷い込んできたか」 殿は冷酷な目で葵たちを一瞥すると、愉しげに顎をしゃくった。 「なぜ、だと? 決まっているだろう。ただの娯楽だけではない。我が授けた刀を持つお前たちが、極限の『恐怖』と、私への『裏切りへの怒り』を抱いて死んでいく……その負の感情の極致こそが、刀の威力を何十倍にも跳ね上げる異形の妖『百々目鬼』を生み出す最高の苗床になるのだよ!」
殿がパチンと指を鳴らす。 瞬間、水攻めと石抱責にかけられていた武士たちの身体から、どす黒い怨念が噴き出した。極限のストレスによって人間の理性が破壊され、その肉体がドロドロとした紫と赤の泥へと変貌していく。全身に無数の「目」が浮かび上がり――彼らはリアルタイムで、百々目鬼へと変えられていく。
「さあ、お前たちも私の娯楽の一部になれ。特にそこのお嬢さんと少年、お前たちの絶望する顔はさぞ美しいだろうな」
殿の側近たちが、一斉に雷光の纏う刀を抜いて襲いかかってくる。そして部屋の奥の暗闇から、無数の赤、紫、青の百々目鬼たちが一斉に這い出してきた。
「……葵、一歩下がってて」
正一が、葵の前にそっと進み出た。 彼の顔からは、すでに一切の表情が消え失せている。 仲間を使い捨てる殿への怒りではない。目の前の男が、自らの最高で唯一の存在である葵を「娯楽の対象」として見たこと。その事実が、正一の胸の中の狂気を完全に覚醒させた。
コメント
1件
うわっ……これはガチで胸糞悪い展開だわ。拷問描写が克明で、水攻めと石抱責の地獄が目に浮かぶ……「娯楽のために部下を蹂躙」ってのがもう吐き気レベル。でも正一が葵を守るために一歩前に出た瞬間、鳥肌立った。彼のスイッチが入るトリガーが「葵を娯楽扱いされたこと」ってのが熱すぎる。次どうなるこれマジで気になる🔥