テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
「ああああっ!」
隘路を少しずつ押し広げられ、百子は思わず体を反らせた。半年ぶりだからかやや苦しいものの、蜜壺は彼を受け入れる体勢が整っており、痛みがあるわけでもない。
(きつい、な……)
半ばまで進んだところで陽翔は荒く息を吐く。百子の襞が熱杭にまとわりつき、侵入を拒むように立ちふさがっているからだ。どうやらレスだったのは本当らしい。陽翔は一度百子に覆いかぶさり、彼女の唇の中に舌を踊らせる。百子が舌を絡ませることに集中したためか、隘路がやや緩み、陽翔はまたゆっくりとそこを押し広げていった。
「百子……全部……入ったぞ」
陽翔が笑みを浮かべて百子の薄い腹を撫でると、その華奢な体が跳ねる。そんな彼女の反応を愛しいと思った彼は百子に覆いかぶさり抱き締めた。彼女の柔らかな双丘や、吸い付くような肌の感触が心地良く、そして何よりもずっと好きだった女性と極限まで肌を合わせている事実が、陽翔の昂りをさらに強めていた。
「んんー!」
「くっ……あんまり締めんなよ」
百子はそんな自覚がないので首を振るのみだ。だが時折百子の蜜壺が陽翔自身を締め付けており、陽翔は時折低い声を漏らす。陽翔としては、彼女の蜜壺に馴染むまでは、このまま彼女とくっついていたいところではある。昔は挿入してすぐに欲望のまま腰を振っていたが、そんな勿体無いことをする気はない。特に百子は久しぶりのようだから、しっかりと彼女の蜜壺を自分の熱杭に馴染ませる必要があると考えたからだ。
とはいえ、ピクピクと動く隘路にそろそろ限界であることも事実である。
「百子、少しずつ動くぞ」
陽翔はそう言うと、ゆっくりと抽送を始めた。彼女に侵入する時は拒まれるものの、出るときは引き止めるかのように絡みつき、陽翔はこみ上げる白い稲妻を懸命になだめなければいけなかった。そして百子の高い嬌声とベッドの軋む音の二重奏も相まって、思わず低い声が漏れる。それに反応したのか、百子の襞が陽翔自身を締め上げた。
「あっ、やっ、しののめ、くん!」
甘い声が自分を呼んでいることに陽翔は喜びを感じていたが、彼女が自分の腕で顔を隠したので、陽翔はその腕をつかむ。
「おい、なんで顔隠すんだ」
「だって……恥ずかしいじゃない」
「こんなことしておいてか? 今更だろ」
陽翔は百子の腰を少しだけ持ち上げ、ゆるゆると動く。百子は自身の蜜壺に陽翔の雄々しく逞しい熱杭が出入りしている光景を見てしまい、顔を反らそうとした。しかし彼が急に顔を近づけるものだから、彼の劣情を灯した目を見て話すことになってしまう。
「だって……東雲くんと……こんな……ことに、なるなんて……っ」
(……っ!)
陽翔はそれを聞いた瞬間、心臓が跳ねたと思えば全身が熱くなり、自身の熱杭がさらに膨張する感覚を覚えた。
「待って……! なんで大きくなったの……?」
「お前が可愛いこと言うからだろ!」
「そっ……そんなことわざわざ言わないでよ! 恥ずかしいじゃない!」
陽翔は百子の言葉を封じるために唇に触れるだけの口付けをしたと思えば、陽翔は一気に自身を押し込む。
「分からん奴だな」
(奥……当たって……)
百子の一際大きな嬌声がした瞬間、うねり、からみつくそれは陽翔が動くたびに淫靡な水音を立て、絶頂を誘うべく熱杭を揺さぶる。
「俺にはお前が全部可愛く見えんだよ」
彼の言葉と熱杭が、百子の心を、体を打つ。百子は何かが腹の底から湧き上がってくるのを感じた。自分が自分で無くなるような、体が宙に浮くような、白い稲妻に打たれるような、そんな心地は繋がっている時には感じたことが無かった感覚で、彼女はそれに戸惑う暇も無く、陽翔の背中にギュッとしがみついたと思えば、その体をびくんと震わせて、声にならない声を上げた。
「イッたのか?」
襞が痙攣したのを感じた陽翔は、苦しそうにその顔を歪め、荒い息を吐きながら百子に声を掛けて彼女の頭をなでる。彼女の脱力した腕が陽翔から離れ、恍惚を浮かべた顔を見た陽翔は、百子を抱き締めてその体を起こす。百子は思わず彼の首筋に手を回し、結合している場所がくちゅりと水音を立てたのを聞いて小さく声を上げた。
「えっ、ちょっと……」
「ここで終われる訳ねえだろ。俺まだイッてねえし」
陽翔はそう言って腰をゆるく動かした。百子は先程よりもさらに深く陽翔の熱杭が侵入したのを認めて短く、高く喘ぐ。自分の蜜壺が陽翔自身を受け入れて歓喜に震え、襞が百子の意志に反して陽翔の熱杭に絡みつくのだ。
(これ……深い……)
先程一瞬だけ気をやってしまったためか敏感になっているらしく、彼が少しでも動くだけで、彼自身の硬さと形がはっきりと感じられ、それが最奥に触れてしまうと喘ぐ声を我慢することはついにできなくなっていた。
「しののめ、くん、待って!」
(イッたばかりなのに……!)
「待てねえよ」
百子の懇願を無視して、陽翔は目の前でふるふると揺れている胸の中心に唇を寄せて、やや強く吸った。無視したというよりは、彼女の襞が陽翔の欲を解放しろと言わんばかりにうねるために、自身がそろそろ限界を迎えそうだと言った方が正しいのだが。
「ああっ、むね、だめ!」
「駄目なようには見えんな」
陽翔がまたもや百子の最奥を穿つと、再び彼女の体が震える。
「ちがっ……ああっ」
彼女の否定の声は、最奥を突かれるたびに出る嬌声の中に隠れてしまった。陽翔は一度百子をベッドに寝かせ、彼女の両足を自分の肩に掛け、彼女の腰を浮かせたのを確認してから、やや強めに腰を動かした。
「やっ! ふか、い……!」
百子はひたすら陽翔の腕にしがみつくが、彼が動くたびに何度も強い奔流を迎えたり、迎えようとするため、何度もその手を離しそうになる。それでも百子は陽翔を離そうとはしないので、彼はふっと笑い、百子が一番反応しているところに、淫靡な水音と共に自身を届かせた。
「むりぃ……おかしく、なっちゃ……」
「なれよ。おかしくなれ」
陽翔は百子の唇を自身の唇でふさいだ。その甘い言葉と声は陽翔の気分を高揚させるのには十分である。その声も味わえたらいいのに、と思いつつ、陽翔は激しく舌を絡めてきた百子に応え、彼女の口の中を蹂躙した。
「はじ……めて、だもん」
銀糸が二人の間を束の間繋いだのを見計らい、百子はぼそりと口にした。蕩けきって潤んだ瞳が陽翔を見つめ、どぎまぎしながら百子は言葉を紡ぐ。
「何がだ」
「こんな、に……きもち、いいの……はじめて、なの……」
陽翔は頭の中で何かが小さく爆発するような音を聞いた気がした。それと同時に熱杭がさらに膨張し、お互いの肌のぶつかる音と、結合部の立てる水音と、百子の甘い嬌声が部屋に響く。
「お前は……っ! 俺をこれ以上煽るな……!」
「しら、ない……っ!」
陽翔の加速した抽挿を受けて、百子に何度来たか分からないあの強い奔流が襲い掛かる。
「だめだ! 俺も……っく!」
「つれて、いって! 私も……」
ひときわ百子が大きく啼いたのと、陽翔の白い稲妻が弾け飛び、二、三度体を強く打ち付けたのは同時だった。陽翔はすぐに勢いを無くしかけた自身を引き抜いた。百子の小さな嬌声を聞きながら避妊具を取り去って口を縛って近くのゴミ箱に投げ入れる。百子はお腹に熱いものが弾けたような感覚の残滓に浸り、全身がふわふわとした心地に包まれながら、陽翔が自分を抱き締める光景をぼんやりと見ていた。彼が頭を撫でるので、ふにゃりと百子は笑って目を細める。彼はその後に唇を啄むように奪っていたが、彼女の細められた目はそのまま閉じられてしまった。陽翔が声を掛けても、その目が開かれることはない。
「百子……お前を一番愛してる。この世の誰よりも。だから俺から離れていかないでくれ」
百子から規則正しい寝息を聞いたのをいいことに、陽翔は彼女に向かって愛を囁き、上掛けを引っ張って彼女と自分に被せる。そして自らも微睡みに引きずり込まれるまで、彼女の頭を撫で続けていたのだった。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!