テラーノベル
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骸の王との壮絶な戦いを終えた後、捕らわれた村人達を救出する為にステル達は四階へ向かった。四階に上がると、他の階のように灯りは無く、瓦礫や過去の遺品などがそのままの状態で無造作に散らばっていた。 その荒廃した雰囲気漂うエリアを探索していると……。
「ン゛〜ン゛ン゛〜〜!!」
奥のほうから、何かくぐもったような声が微かに聞こえてきた。 三人は周囲に潜んでいるかもしれない残党のスケルトンに警戒しながら、声のする部屋の扉へそっと近づく。
恐る恐る取っ手に手をかけて開けると、そこには拘束された村人達の姿があった。
幸い、大きな怪我をしている様子はないようだ。
三人で協力して手早く拘束を解くと、村人たちはおぼつかない足取りながらも、自力で歩くことはできそうだった。
「パコの友人達だそうだな、この恩義は必ず返すよ」
「この恩は一生忘れません!」
「ありがとね、お兄ちゃん、お姉ちゃん!」
村人達は、それぞれの言葉で三人に感謝の気持ちを伝えた。 こうして、村人一人欠かす事なく、俺たちはスケルトンの城を無事に攻略したのであった。
✳︎ ✳︎ ✳︎
次の日の夜。
「皆の者!今宵は、悪しきスケルトンからこの村を救ってくれた勇者様と、そのお仲間様に心からの敬意を表して――かんぱ〜いっ!」
スコット村では、村中を巻き込んだ盛大な祝賀会が開かれていた。 長テーブルには彩り豊かなご馳走がずらりと並び、湯気と香ばしい匂いがあたりに漂う。 端では村人たちの楽団が陽気な音楽を奏で、会場の雰囲気をいっそう盛り上げていた。
「勇者様っ、ほれほれもっと飲んでくださいな!」
スコット村の村長は、感謝の気持ちを込めて年代物の酒を惜しげもなく振る舞ってくる。
「ああ……じゃあ、少しだけ頂こう」
普段はほとんど酒を口にしないステルも、その好意に押されてついつい盃を受け取ってしまった。
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その頃パコはというと、ちびっ子達とおもちゃの剣でチャンバラごっこに興じている様子。
「えいっえいっとりゃあー!カーッカッカッ!
いい太刀筋だ。だが…パコはこんな事も出来るぞ〜とりゃあ!」
いつもはどこか達観しているパコが、今は信じられないほど表情を緩めて、子どものように無邪気にじゃれ合っている。
(フッ、パコにもこういうとこあるんだな)
ステルは心の中で嬉しそうにそう呟いた。
一方、ミカはというと。
「ん〜〜幸せっ!アレも、コレも全〜部絶品よっ!
あ、おばちゃ〜ん!これあと二つ、おかわりくださ〜い!」
とにかく”めちゃくちゃ食っていた”。
目の前の皿はすでにタワーのように高く積み上がり、その食欲のせいで厨房は火の車のように大慌て状態になっている。
「あの子……!あんなにスタイルがいいのに、どうやったらあれだけ食べられるのかしら……! このままじゃ村が飢えちゃうわよっ……!」
厨房にいる料理担当のおばさんは、汗水垂らしながらもせっせとフライパンを振るっていた。
だが、そんな状況はつゆ知らず、ミカは出された料理に目を輝かせながら、満面の笑みでパクリ。
またパクリ。気がつけばペロリ。
ミカの胃袋を満たすにはもう少しかかりそうだ。
(フフッ、気持ち良い食いっぷりだな)
ステルはその様子を眺めながら、小さく微笑んでいたその時。
「一件落着ですね、ステル様っ」
割り込む様に脳内にモデスが語りかける。
(おお、いたのかモデス。お前にも助けられた、ありがとな)
「はい、改めてステル様を勇者に選んで良かったです!私モデス歓迎です!!」
(泣くなよモデス、冒険は始まったばかりだぞ)
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そうして、しばらくの間宴を堪能した後。
俺たち三人は村一番の宿を用意してもらい、その夜はそこでゆっくりと休むことになった。
「あ〜美味しかった、お腹いっぱい!ステルは〜?」
ミカが嬉しそうに、ステルへ問いかける。
「ああ、異世界と聞いて少し心配していたが、ここの料理はどれも口に合う。パコの料理もまた食べたい、結局、あの弁当は食えずじまいだったし…」
「あ、そういえば!結局あの時、弁当を盗まれた後どうなったのだっ?」
「ああ、少し長くなるが…」
俺はミカとパコに、その時の出来事を簡単に話して聞かせた。
弁当を盗んだやつを追いかけているうちに、気がつけば大量のガロウルフに囲まれていたこと。
そして、その群れの中に“ケルヴォルフ”という、とんでもなく強大な魔物が紛れていたことを。
「ブホッ……!ケ、ケルヴォルフだとな!!?」
パコは驚きのあまり、思わず口にしていたお茶を盛大に吹き出した。
「別名:地獄の番浪。 骸の王よりも遥かに手強い魔物だぞ!? この村に住んで十数年は経つが、そんな魔物見た事もない」
「ああ、俺も驚いた。でもアレは駄目だな、三頭の仲が悪すぎる」
「え……?」
「あいつら、頭が三つあるだろ?それぞれがかなりの頑固者っぽくてさ。誰が一番最初にどの部位を食うかで喧嘩し始めてな。 隙だらけだったから殴ったら、一発でのびたぞ」
「んなわけあるかいっ!」
パコとミカは同時に鋭いツッコミを浴びせた。
「いや、本当だ。結局ケルヴォルフと戯れてる間に、パコの弁当はガロウルフ達に食われちまったんだが……そのお陰で、ひと足先に魔力核《コア》を手に入れたってわけだ」
「も〜〜う!心配したのにぃ!じゃあ、結局ステルは骸の王を倒す前から、断捨離レベルの上限解放をしてたってこと?」
「ああ、そういうことになる。モデス頼んだ」
「はい!お任せをっ!」
ステルがモデスに指示すると、空間にゲームのステータス画面の様なパラメータが表示された。
称号:流浪の断捨離人:Lv.31
• HP《体力》132
• MP(魔力)0
• STR(筋力)250
• DEF (防御力)163
• AGI (敏捷)148
「って……前の時から10Lv.以上あがってるじゃない!?どこでそんなに断捨離したのよ?」
「ガロウルフの群れを倒して手に入れた魔力核で、3レベはすぐに上がったんだ。あとはスケルトンの城であちこちにゴミと骨が散らばってたから、全部断捨離したらこうなった」
「改めて恐ろしいほど便利なスキルね…ユニークスキル恐るべし……相変わらずMP0なのはちょっとムカつくけど!」
ミカはほっぺたを膨らませ、少しいじけてそう言った。
「なんでだ?俺にはミカがいるだろ」
「チョット…!私だって、いつまでついて来るかなんて分からないんだから……」
「そうなのか?ずっと一緒にいるもんだと思っていたが」
「ず、ず、ずっと一緒!?それって告、は……!」
ミカは慌てて赤面した顔を両掌で覆い隠した。
そしてブツブツとまじないのように何かを呟いている。
すると、すかさずパコが間に割って入った。
「と、とりあえず!これで再び”断捨離勇者”復活だなっ!」
「ああ、これからが楽しみだ!」
こうして、一行は互いの成功を労いながら、安心して眠りにつく。
次回、新たなる冒険の幕があがる――。
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