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206
水出し茶
6
Nora
1
雨が降っている。
私は雨に打たれることもできずにそれを眺めている。
もう全てに満足して、安心して、安らかだ。
今なら幸せに死ねると確信がある。
もう天寿を全うしたかと問われたら迷わず「はい」と答えるだろう。
雨は降り続いている。
感傷に浸っても涙すら流せない私のかわりに泣いているようだ。
私の望みは1本のナイフ。
生の喜びと死の喜びを同時に感じる妄想を。
雨は降り続ける。
止まらぬ思考と相まって。
このまま溺れて死ねたなら、どんなに愉快なことだろうか。
雨は止まない。
私は死ねない。
湿気の息苦しさ程度では。
ただ、息が詰まる。
コメント
1件
うわあ……これは重くて、でもとても綺麗な感傷でしたね。 雨が「主人公の代わりに泣いている」っていう表現、すごく刺さりました。自分では涙すら出せないほど何かが枯れてしまった状態と、それでも雨は降り続ける無関心な自然の対比が哀しい。 「生の喜びと死の喜びを同時に感じる妄想」というラインにドキッとしました。生も死も両方肯定しようとするその感覚、とても危うくて、でもどこか美しい。 「湿気の息苦しさ程度では♡♡♡ない」という最後の諦念が、逆に少しだけ現実に引き戻すようで……読み終えたあと、しばらく雨の音を聞いていたくなりました。 MAKOさん、この31話、短いのに胸をぎゅっと掴まれました。続きがすごく気になります。