テラーノベル
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「……うわ、また来たね、これ」
「えっ、うそ……また、あの部屋……?」
ドアが閉まる音。
気づけば、以前とよく似た室内。ベッドとソファ、薄暗い照明、そして壁にはまたも浮かび上がるあの文字。
《𓏸𓏸しないと出られない部屋》
「……なんでまた、ここなんだろ」
「わかんない。でも……」
すちが横を見ると、みことはほんのり頬を染めて笑っていた。
「前より、怖くない。……だって、すちくんと一緒だから」
「……そっか」
ふたりの関係は、前とは違っていた。
あの夜から何度も触れ合い、愛し合ってきた。
だからこそ──再び“𓏸𓏸”を求められても、もう躊躇いはなかった。
「じゃあ、始めよっか」
「……うん。すちくん、今日もちょっと強引でも、いいよ?」
みことの口からそんな言葉が出るようになったことに、すちは思わず顔を近づける。
「……責任、取ってもらうよ?」
「ん……んっ……」
深く口づけを交わすたび、みことの身体が小さく震える。
服の上からでもわかる柔らかさに、すちはそっと手を滑らせた。
「もう慣れてるでしょ。触られるの、好きになったんじゃない?」
「……すちくんの手、えっちだから……」
「言ったな?」
言葉と一緒に、みことのシャツの裾が引き上げられ、素肌にすちの指が這う。
部屋の中央に突如出現した“備えつけ”のベッドには、手首を縛るためのやわらかいベルトがついていた。
「……これ、つけてみる?」
「え、えぇ!? なにこれ、こんなの前はなかったよ……」
「でも、ちょっと気になってる顔してる」
「してない! ……してないもん……」
すちは苦笑しながら、みことの手首にゆっくりとベルトを巻く。
「怖かったら、すぐ外すから」
「……すちくんがいるなら、怖くない……」
腕を軽く縛られたまま、下半身を開かされる羞恥と快感に、みことの声は徐々に甘く濡れていった。
「声、我慢しなくていい。ここには、俺たちしかいないから」
「っ、う、ぁ……や、やらし……っ」
指先で丹念にほぐされ、奥へ奥へと広がっていく感覚に、みことの脚がピクリと跳ねる。
そして、すちは己を押し当てながら、熱く囁く。
「入れるよ……いっぱい、感じて」
「っ……うん……全部、来て……っ」
縛られたままの腕、開かされた足、繋がった体。
それでも、みことは逃げようとしなかった。
「んっ……すち、くんっ……それ、だめっ……」
「どこがだめ? ここ……?」
「っあ……っ、だめ、イく……また……イく……!」
果てたばかりのみことを、すちはなおも抱きしめながら突き上げる。
「まだ終わらないよ。もう一回、イけるだろ?」
「……ばか、すちくん、えっち……でも、だいすき……」
その言葉に、すちの動きが止まった。
軽く額を合わせ、みことの唇をふわりと啄ばむ。
「俺も、みことが好き。何度でも、愛したいって思ってる」
そして再び、彼の中に深く入り直す。
部屋は、快楽と愛の熱で包まれた。
激しく甘い夜を過ごしたあと、扉のロックは再び外れる。
「……また、出られるようになったね」
「でも……もう急がなくていいよね」
ベッドの上で、裸のまま抱き合うふたり。
「また、来てもいいかも……この部屋。ふたりきりで、誰にも見られずに、いっぱい愛せるから」
「じゃあ、また“𓏸𓏸”されに来ようか」
「ばか……」
けれどその“ばか”には、もう呆れも怒りもなかった。
ただ、あたたかく、とろけるような愛情だけが込められていた。
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